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11 「歌うように吹く」ためのテクニック

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 前回の練習で、お腹は自由に動くようになってきましたか? この動きをうまく使って、曲を思い通りに吹けるようになってください。

お腹を「引っ込めてから」音を出す

 今回は一歩進んで、膨らませたお腹を引っ込めてから音を出す練習に入ります。お腹を十分に膨らませたら、あらかじめ「スッ」とお腹を引っ込めて、それから演奏を始めるのです。

 譜例4で予備練習をしましょう。お腹を膨らませてから休符を三拍数えます→四拍目に「息を出さずに」下腹を凹ませ、そのまま次の小節の一拍目の音を吹き始めます。

譜例4
予備練習:発音する一拍前にお腹を凹ませてください。

 次に、この「発音法」で、有名なG.F.ヘンデルのアリア「私を泣かせてください」を演奏しましょう(譜例5)。

譜例5
アリア「私を泣かせてください」G.F.ヘンデル

 前と同じく、あらかじめ「スッ」とお腹を引っ込めてから演奏を始めてください。

 この曲は三拍子なので、お腹を膨らませて息を入れたら休符を二拍数えます→三拍目に「息を出さずに」下腹を凹ませ、そのまま一小節目の一拍目の音を吹き始めます。二小節をワンブレス(ひと息)で演奏し、次の二小節も同じ手順で演奏します。
 最初のうちは休みが長くなってテンポが乱れても気にしないでください。慣れてくれば、テンポの中でもお腹の準備ができるようになります。

 大事なのは、①膨らませた下腹を「スッ」と凹ませてから演奏を始め、②休符でお腹の力を抜いて元の状態に戻し、③再び下腹を凹ませてから発音することです。

 これができるようになったら、最初の八分休符のところでは、下腹を凹ませたまま戻さないようにします。さらに、六小節目の八分休符では、お腹の戻しと発音の準備(下腹を凹ませる)を一瞬のうちにやる、という“名人芸”に挑戦してみてください。難しそうに思えても、練習を繰り返すうちに必ずできるようになります。

 ところで、スポーツの世界には「ドローイン(draw in)」と言われる体幹の安定法がありますが、その原理は上述した「発音法」と同じです。管楽器や声楽の世界では、昔から合理的な方法で身体をコントロールしていたことが分かります。ドローインで使われる筋肉には、腹筋群である腹横筋や内腹斜筋の他、肺の底にあって鍛えるのが難しい横隔膜(これも筋肉)、姿勢維持に必要な背筋群のひとつである多裂筋などがあります。

 ここまでが基礎的な腹式呼吸「一の呼吸」を使う「発音法」の練習です。音色の美しさを際立たせたいフレーズではとても有効なテクニックです。フォルテからピアノまで、思い通りに「歌うように吹く」ことが可能になります。どうぞご自分の好きな曲で試してみてください。

 ワクワクしますね!


→ 次回へ続く


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