亀谷彰一 | 管楽器を100倍楽しく吹く方法

トロンボーン奏者。1954年生まれ。東京藝術大学卒業。長年の演奏経験と理論研究により管楽器に必要な呼吸法を体得する独自の方法を開発。1982年プラハの春国際音楽コンクールで日本人初の本選進出。尚美学園、名古屋音楽大学講師を務めた他、各地で今も後進を指導。日本トロンボーン協会理事。

亀谷彰一 | 管楽器を100倍楽しく吹く方法

トロンボーン奏者。1954年生まれ。東京藝術大学卒業。長年の演奏経験と理論研究により管楽器に必要な呼吸法を体得する独自の方法を開発。1982年プラハの春国際音楽コンクールで日本人初の本選進出。尚美学園、名古屋音楽大学講師を務めた他、各地で今も後進を指導。日本トロンボーン協会理事。

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00 呼吸法と、このnoteについて

はじめに 呼吸から楽器の演奏を見直してみませんか? 「呼吸法」をマスターすることで、体がスムーズに動き、楽に楽器を吹けるようになります。  このnoteでは、まず、管楽器演奏の基礎となる「呼吸法」について、解説します。次に、正しい息の吸い方と吐き方を、無理なく体に覚え込ませる練習法を紹介します。  理論だけでなく、実践で使える正しい「呼吸法」を習得し、必要な時にすぐに体が反応するようになれば、演奏の大きな助けとなります。  続いて、「呼吸法」を演奏に応用する「発音法」につ

    • 22 Warm-up Exercise

      これまでの記事一覧(トップページ)はこちら→ 改訂版:7月15日(PDFのみ)  いよいよ7月。夏の音楽シーズンの始まりですね。吹奏楽にオーケストラに、思い切り音楽を楽しめる季節の到来です。  そこで今回は、毎日の練習前におすすめしたい、どの楽器でも使える、呼吸法のウォーミングアップの方法をご紹介します。  この"準備運動"は即効性があり、たった5~10分で効果てき面。楽器の鳴りが変わります。ぜひお試しください。 はじめにお腹ベコベコ  下腹を凹ませて息を吐いて、力を抜

      • 21 「完全呼吸」への道

        これまでの記事一覧(トップページ)はこちら→  今まで呼吸法について書いてきましたが、少しまとめてみましょう。腹式呼吸は管楽器の演奏にとても役立ちますので、ここで確認をします。 腹式呼吸 腹式呼吸とは、吸気時に横隔膜が下降して腹部が膨らみ、呼気時に横隔膜が上昇して空気を押し出す呼吸法のことです。腹式呼吸を正しく実践してみると、驚くべきことが起こります。「お腹の底からたっぷりとした息を気持ち良く吹き出す」とイメージするだけで、音色はとても豊かな表現力のあるものになります。

        • 20  天使の羽の運動 part2

          これまでの記事一覧(トップページ)はこちら→  久しぶりに呼吸法の訓練に戻ります。ここからは上級ですので、前の練習17 首まわし(肩と首のリラクゼーション)の習得は必須となります。  最初から完璧にできなくて良いですが、焦らず繰り返し積み重ねれば、呼吸法習得に向けてとても効果があります。しっかりお腹を動かして息を出しながら練習してください。 ① 天使の羽の運動 Part 2(ひだり、前から後ろ)  楽な姿勢をとり、顔は正面を向いて、両手は体側に自然にぶら下げ、お腹の力を

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        • 管楽器を100倍楽しく吹く方法
          18本
        • Q&A | 管楽器を100倍楽しく吹く方法
          1本

        記事

          19 「ホワイトノイズ奏法」

          これまでの記事一覧(トップページ)はこちら→  今回は、前回の18「コラム:響きと振動」で取り上げた発音原理に基づいて、新たに開発した演奏テクニックについてご説明します。私はこれを「ホワイトノイズ奏法」と名付けました。  このユニークな奏法で、どれだけ演奏が楽になることでしょう!  ポイントは、楽器から出る音の決定権は口(マウスピース、リード、唇)ではなく管体にある、という音響学の知識にあります。「コラム」を今一度読んでイメージをつかんでください。その上で、楽器を持って以

          18 コラム:響きと振動

          これまでの記事一覧(トップページ)はこちら→ ホワイトノイズ 音響学の先生の話。 「管楽器の発音の仕組みはとても複雑で、どうして鳴るのか、科学的にはよく解っていません。しかし、その仕組みは共振であるということだけは、はっきりしていて、パイプオルガンのように構造の単純なものは、だいたい解っています。」  パイプオルガンのパイプ(共鳴筒)をはずしてみると、そこで鳴っているのは「ホワイトノイズ」です。ホワイトノイズ(白い雑音)とは、「サー」と聞こえる音です。すべての色の成分を

          17 首まわし(肩と首のリラクゼーション)

          これまでの記事一覧(トップページ)はこちら→  今回は腹式呼吸の訓練をさらに充実させる方法として、「首まわし」をご紹介します。これにより肩と首の周辺の緊張がゆるみ、リラックスした状態になります。楽器演奏に限らず、肩こりの解消にも大いに効果があります。 息を吐きながら首をゆっくりまわす まず、椅子に座って楽な姿勢をとります。床に直接座ってもかまいません。その場合、両足を崩しても良いし、あぐらを組んでも良いので、自分の楽な方法で座ってください。  どの場合も、会陰と肛門の両

          17 首まわし(肩と首のリラクゼーション)

          16 「息が音に変わる場所」の意識

          これまでの記事一覧(トップページ)はこちら→  09「喉を開ける」では「一の呼吸」を基本とする発音法の最初のアプローチをしました。お腹からの伸びのある息と開いた喉(のど)があいまって、美しい音を生み出します。「歌うように吹く」テクニックです。  これに対して、器楽的な演奏をするには、「息が音に変わる場所」の感覚に対する意識が非常に重要になってきます。音域の拡張・音量の調整・素早い動きなど、器楽演奏に求められる多様な表現には必須の発音法といえるでしょう。  息が音に変わる

          16 「息が音に変わる場所」の意識

          15  肩の上げ下げ

          これまでの記事一覧(トップページ)はこちら→  久しぶりに呼吸法の訓練に戻ります。ここからは中級ですので、前の練習(08 伸びの練習まで)の習得は必須となります。よっぽど勘のいい人でないと、これだけ取り出してもなんのことか分からない人も出てくると思いますので、復習と共に反復練習が必要です。  最初から完璧にできなくても問題ありません。焦らず繰り返し積み重ねれば、誰でもできるようになります。お腹を動かして息を出しながらいろいろなところを動かすことで、気づくことがあります。

          14 コラム: 身体は水の入った皮袋?

          これまでの記事一覧(トップページ)はこちら→ 「水の入った皮袋」とは 管楽器の演奏の上で、とても大切なのは唇と舌先の感覚です。特に意識を集中しなければならない場所です。加えて、演奏という行為の中での「呼吸法」のテクニックでは、全身の感覚を敏感にする必要もあります。全ての感覚を一つにまとめてコントロールするのにとても有効な方法があります。  体を「水の入った皮袋」として意識する。  このイメージの仕方を、私は東京藝大の体育の教官だった野口三千三先生に教わりました。野口先生

          14 コラム: 身体は水の入った皮袋?

          13 Q&A: 「呼吸法」の疑問にお答えします

          これまでの記事一覧(トップページ)はこちら→  管楽器の演奏に不可欠な「呼吸法」と「発音法」を体得する訓練法について、前回まで12回にわたってご紹介してきました。練習の成果は上がっていますか。  今回は、読者の皆様からいただいた質問にお答えしたいと思います。  また、Q&Aに続く「14 コラム」では、私が恩師から教わった「人間の身体の捉え方」についてご紹介します。自分の身体をどのように認識するかは、楽器を演奏する上でとても大切です。参考にしていただければ幸いです。 Q&

          13 Q&A: 「呼吸法」の疑問にお答えします

          12 歯切れの良い音、メリハリのある演奏

          これまでの記事一覧(トップページ)はこちら→  今回は、「二の呼吸」を使って歯切れの良い音を出したり、メリハリのある演奏をしたりすることに挑戦しましょう。ポイントは、息の圧力を鳩尾(みぞおち)に感じることにあります。 「二の呼吸」の発音は鳩尾がポイント あらかじめ下腹を数回出し入れして、お腹をリラックスさせておきます。次に、「一の呼吸」で息を下腹に入れてから、「二の呼吸」で鼻から胸に息を吸います(お腹は自然に軽く引っ込みます)。  口を閉じたまま軽く「咳」をしてみて下さ

          12 歯切れの良い音、メリハリのある演奏

          11 「歌うように吹く」ためのテクニック

          これまでの記事一覧(トップページ)はこちら→  前回の練習で、お腹は自由に動くようになってきましたか? この動きをうまく使って、曲を思い通りに吹けるようになってください。 お腹を「引っ込めてから」音を出す 今回は一歩進んで、膨らませたお腹を引っ込めてから音を出す練習に入ります。お腹を十分に膨らませたら、あらかじめ「スッ」とお腹を引っ込めて、それから演奏を始めるのです。  譜例4で予備練習をしましょう。お腹を膨らませてから休符を三拍数えます→四拍目に「息を出さずに」下腹を

          11 「歌うように吹く」ためのテクニック

          10 お腹を動かす

          これまでの記事一覧(トップページ)はこちら→  前回は発音法の準備として「喉を開ける」ということを学びましたが、今回はもう一度基本に戻ってお腹の動きの訓練をします。この練習は06~08でご紹介した「呼吸法」の導入部分を楽器を使って練習するもので、簡単に楽しくできますのでぜひやってみてください。 お腹を自由に動かせるようにする訓練 「呼吸法」には、04「一の呼吸」を使う発音の練習、05管楽器の音が変わる「二の呼吸」の練習で学んだように、大きく2つのテクニックがありましたね。

          09 喉を開ける

          これまでの記事一覧(トップページ)はこちら→  今回から、いよいよ楽器を演奏する「発音法」の解説に入ります。  さまざまな楽曲への応用事例を紹介していきます。それらを教材にして、息を自在にコントロールする練習を重ね、最適な表現を可能にするテクニックを身に付けてください。 喉を開けるとは 管楽器の演奏時には、喉(のど)を開けることがきわめて重要です。これについては、いくら強調しても足りないくらいです。でも、難しく考えることはありません。「喉を開ける」とは、「あくびを噛み殺す

          08 伸びの練習

          これまでの記事一覧(トップページ)はこちら→  腹式呼吸の訓練の締めくくりとして、今回は「伸びの練習」をします。眠りから覚めた猫が大きく伸びをするように、この運動は楽器を吹く準備として、身体の状態を整える効果があります。 ① 前方への伸び  楽な姿勢でイスに座り、正面を向いてお腹を凹ませ、まず息を吐き切ります。続いて、お腹の力をスッと抜いてください。お腹が自然に膨らんで、息がお腹に入ってくる感じがします(note記事03の、理想的な息の吸い方を参照)。  この状態で、体