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人の歴史は瑞泉である

沖縄に行ってきた。 前の記事が【線を引く】で「琵琶湖と淀川」について書いた。 更新がほとんどないこのnoteで、久々の更新が「沖縄の川」だというのはご愛嬌である。 沖縄本島(沖縄島)の話だ。以下、沖縄と書いてあるのは沖縄本島(特に那覇周辺)限定のこととしてご理解いただきたい。 他の島々は今回は触れない。 沖縄は意外と川が多い。 東京からの観光客目線なのでご容赦ください。 川というのは、山奥から渾々と湧き出ている水が集まって流れているものだと勝手におもっている。 しかし

    • 【線を引く】

      琵琶湖はデカい。 何を当たり前なことを言っているんだとおもうでしょうが、東京23区に住んでいる身としては 琵琶湖は東京23区より大きい ことに畏怖を覚えるのです。 琵琶湖が襲ってきたら、23区は負けて沈んじゃいますからね。 そんなことを考えながら、湖沿いを歩いた。 琵琶湖は日本一大きい湖だと小学生の時に習った。 しかし、河川法上、 琵琶湖は一級水系「淀川水系」に属する一級河川であり、法律上の名称は『一級河川 琵琶湖』 らしい。 「え? え? そうすると、『一級河

      • ある男の考察

        男  ストッキング、今日履いてる? 女  履いてるけど、なんで? 男  ストッキングとかタイツとかになんとかっていう単位なかったっけ? 女  『デニール』のこと? 男  そうそう、それそれ。確か厚さの単位だよね? 女  よく知ってるね。繊維の太さの単位で、25デニール以上がタイツで、25デニール以下がストッキングって言われてるの。 男  数字が大き方が冬用みたいな感じ? 女  まぁ、そういう解釈で良いかな。 男  今日履いているストッキングは25デニール? 女  そうだね。

        • ヤリたいに騙されるな

          英語が話せるようになりたかった。 ハリウッド映画は好きだし、字幕ではなく聞き取りで話が分かったら格好良い。 漠然とだが、海外で仕事をしているイメージがあるので、その時に困らない自分でいたかった。 中学、高校と真面目に授業を受けなかった。 文法もよく分かってない。 ものすごく基本的かつ簡単な単語だけ知っている。 高校受験も大学受験もしないで進学したので、受験英語の要領で単語を覚えた記憶もない。 そんな僕が英語を話せるようになりたいとおもった。 海外に行って、なん

        人の歴史は瑞泉である

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          4本

        記事

          無風の時

          時代は残酷だ。  この草原に吹く風のように、時に強く、勝手気ままだ。  彼らは風と共に生きてきた。風に導かれるように土地を移動してきた。羊や馬が食べる草を探し求め、山を越え、砂漠を渡った。  ある部族が治めている土地もあった。部族と部族が土地の権利を巡って争っているところもあった。  彼らが争いに巻き込まれることもあったが、それに屈することはなかった。  屈するのではなく、パイプとなることを選んだ。流通である。  家ごと移動するので、生活を営みつつ、大量の物資

          無風の時

          プロフィールver.1

          高校生の時、つかこうへいさんの舞台を観た。 下着姿の主人公がヒロインに向かって、罵倒し、はたき倒し、愛を語った。 ヒロインは主人公を睨みつけた。 どんなに寂しかったのか、どんだけ我慢してきたのか、どれだけ主人公のことが好きだからこそ仕事で他の男に抱かれてきたのか。 感情を剥き出しにして、罵り合った。 好きも嫌いもぶつけ合いながら、ふたりは徐々に近付き、抱き合った。 このシーンを観て、僕は演劇をやるんだ、と決めた。 演劇をやるにしても何をやりたいのか? つかこうへいさんの

          プロフィールver.1

          コロナに罹って入院したので諸々記す④

           11月14日(土)退院しました。  土日ゆるゆるして本日から仕事とかしてます。  退院出来る基準は聞いてはいませんが ・PCR検査2回陰性(これは確実) ・肺炎の回復傾向(血中酸素飽和度とレントゲンにおける肺炎の状況確認) ・血液検査における抗体の確認 あたりではないかと。 「退院になるので荷物まとめてくださいね~」 とちょっとそこまで買い物行くよくらいのノリで言われて、数時間後には青空の下に居りました。  インターネットでやり取りしていたとはいえ、リアルで会っていた

          コロナに罹って入院したので諸々記す④

          コロナに罹って入院したので諸々記す③

          ◎入院してからの経過 ・11月2日(月)16:30 都内某病院の感染病棟に入院。  しばらくは飲み薬を飲みながら寝続ける生活。解熱剤ありで38度台と37度台を行き来する。  僕の場合、肺の外側から肺炎が進行していったらしい。画像は見せてもらってないが、肺が白くなっているのが肺炎らしい。  咳が辛い。喉の風邪だと、喉が痛いとかだけど、肺炎なので、咳のし過ぎで喉の調子がおかしくなる。トローチを処方してもらった。  肺炎の咳が辛いところは、身体に響くことだ。頭に響く、肋骨に響く、肺

          コロナに罹って入院したので諸々記す③

          コロナに罹って入院したので諸々記す②

          ◎症状(あくまでボク個人において発症したもののみ) ・発熱:36度台〜39度台を行き来 ・咳:肺炎が原因 ・咽頭痛:咳のしすぎ ・倦怠感:主に発熱による ・便が緩い:腹痛ではないがお腹が緩い。食欲もない ・息苦しさ:肺に息が入らない ・痰:白色。 味覚異常、嗅覚異常は現状なし。匂いあるものとか少ないし、料理の味はしてるから異常を感じるほどの自覚はなし。 ◎検査について ・CTスキャン ・レントゲン(廊下で撮る) ・血液検査 ◎治療法(主に薬について) ・ツムラ葛根湯エキ

          コロナに罹って入院したので諸々記す②

          コロナに罹って入院したので諸々記す①

          題名の通り、コロナに罹った。 本日2020年11月8日(日)、入院7日目である。 ◎入院するまでの経緯 10月29日(木):夕方から体調不良を感じる。風邪のひき始めに似た感覚。なるべく早めに就寝。 30日(金):変わらず体調不良を感じたが、連休前で片付けておかないといけない仕事があったので出社。11月2日の平日を有給申請して4日間の連休にしていた。この4日間でセミナーサポートをする予定だったので、職場のことを区切りつけておきたかったし、仕事を持ち帰るつもりでもいた。 3

          コロナに罹って入院したので諸々記す①

          月が隠れる

          時は晩秋の頃である。 縁側に男女が腰かけている。2人は寄り添い、空を見上げていた。 どちらも50くらいであろうか。 月は明るく、瞬いている星々を薄めている。 肌寒い風が時より吹く。 男は左手を女の肩に回し、抱き寄せた。 「痛いです」 女が男に訴える。 「え? あぁ、悪い」 男は肩から手を離す。左手の行き場がないのだろう。女の背中辺りで宙に止まった。 「どうしたんです?」 「いや……」 女が男の顔を覗き込む。女の優しい眼差しに男の口が開く。 「……月が」 「月が?」 「綺麗だ

          月が隠れる

          グリザイユ

          今、自分は腕組みをしている。 腕組み自体は毎日しているのだが、今はいつもと違う。強制的な腕組みだ。 普段は右腕を下にしての腕組みなのだが、今はいつもと違う。左が下だ。 いつもと違う腕組みに違和感を覚える。 違和感があるのだから解きたいと思うが出来ない。強制的に動かすことが不可能なのだ。 お気付きの方もいらっしゃるだろうが、自分は今、拘束衣を着ている。 つい先程まで目隠しをされていたし、口にロープを咥えさせられていた。 足は椅子の脚に縛り付けられていて身動きがとれない。 要は、

          グリザイユ