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10人乗りのホンダCR-Vは税金によって生まれ、税金によって潰された

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こんにちわこんばんわ。
全ての増税に反対し、全ての減税に賛成する自由人、七篠ひとり(@w4rZ1NTzltBKRwQ)です。

今日は

税金によって生まれ、税金によって潰された10人乗りのホンダ「CR-V」の物語

をご紹介しましょう。

ホンダ「CR-V」は1995年の発売以来、今でも人気を博すミドルサイズのクロスオーバーSUVですが、今日の主人公は2002年にホンダカーズ・フィリピンにて製造販売された「2代目CR-V」です。

このフィリピンで現地生産されたCR-Vの中には、日本で製造される車両とは大きな違いがあるモデルが存在していました。

その違いとは「乗員の定員」です。

日本で販売されたCR-Vは5人乗りなのですが、フィリピンで販売された車両にはなんと倍の10人乗り!がラインナップされていたのです。

10人乗りといっても通常の5人乗りをベースに、運転席と助手席の間やトランク部分にシートを詰め込むことで強引に10人乗りにしたどう考えても快適性も居住性もない設計なのですが

10人乗りCR-Vの1列目及び2列目のシート

フィリピンの消費者はこの10人乗りCR-Vを大歓迎します。

その理由が「税金」です。

当時の法律では、「自動車」の定義として「10人未満の座席を備えた車両」というものがあり、10人乗り以上の車両は自動車ではなく「大型輸送バン」に分類されていました。

そして同じく当時の法律において、「大型輸送バンは物品税が非課税」という規定があったために

10人乗りCR-Vは物品税分だけ他より安くなる

という大きなメリットを生み出したのです。

wikipedia「Honda CR-V(英語版)」より

この「課税回避CR-V」は、開発したホンダカーズフィリピンの狙い通りに2002年の発売と同時に大きく販売台数を伸ばします。

具体的にはそれまで年間1,800台程度だった販売数が2002年には7,125台まで増え、さらに2003年には9,664台も売れたというのですから、開発陣は笑いが止まらなかったことでしょう。

しかしそんな「課税回避CR-V」の快進撃を面白く思わない人達がいました。

それは「同業他社」です。

実はこの「10人乗り」への変更は「他も真似すりゃいいじゃん」というほど簡単な話ではありません。

法律によって各シートの幅などが規定されているために、現行車両ではどのメーカーも10人乗りへの変更は物理的にほぼ不可能であり、CR-Vも試行錯誤を重ねてギリギリで規制をクリアしているような状況だったからです。

真似できないとなると出てくるのが「あいつだけズルい」という嫉妬です。

他メーカーはCR-Vのことを「10-cheater(10人乗り詐欺)」と揶揄したり、合法性を疑うキャンペーンを行うなど、CR-Vが売れれば売れるほど足を引っ張ることをやり始めました。

そして当然、各メーカーは政治側にも圧力を掛けます。

しかしどこの世でも「あいつだけ税金がかからないのはズルい」が「じゃあみんな非課税にしよう」になることはありません。

政府がやることは「了解、じゃああいつからも税金取るわ」です。

案の定フィリピン政府は、

2004年より全ての車両に乗用車と同じ物品税を課す

という増税を決定します。

この増税によりメリットを奪われた10人乗りCR-Vは、当然ながら急激に販売台数を落とし市場から姿を消すことになり、まんまと同業他社の思惑通りになったのでした…

と言いたいところですが、しかし話はここで終わりません。

なんとこの増税により他のメーカーも軒並み売り上げを落とすことになってしまったのです。

なぜならこの税制改正では「全車両を乗用車と同じ物品税とする」となったために、何人乗りかに関係なく乗用車より税金の安かったSUVなども全て増税になってしまったからです。

つまり「あいつだけズルい」と言っていたら自分達も増税となり、その影響による価格の上昇から販売台数を落とすという笑えない結末となったのでした。

企業は売り上げを落とし、消費者は手頃な車を奪われ、結局笑ったのは増税した政府だけだった…

これが

税金によって生まれ、税金によって潰された10人乗りのホンダ「CR-V」の物語の哀れな結末

です。

「あいつだけズルい」や「あいつからも公平に税金を取れ」「あいつの負担を増やせ」と増税を認める主張は、結局は自分で自分の首を絞めることになる愚かな行為でしかありません。

そしてこれは当然逆もしかりです。

政府様に税金を献上するのが当然と思うからこそ誰かの税負担が減ることを特権だの施しだの言っている真っ赤に茹で上がった社会主義者さんには理解出来ないでしょうが、どんな減税であれそれに反対することで笑うのは政府だけでしかありません。

対象が何だろうが税負担が増え、政府の取り分が増えることには反対する。

対象が誰だろうが税負担が減り、政府の取り分も減ることには賛成する。

これ以上でもこれ以下でもないのであって、「あいつだけズルい」と言ってる限りきっと増税は止まらないでしょう。

そうではなくズルいのは課税根拠もない税金を取り続けている政府です。

政府の取り分を増やす全てに反対しましょう。

ということで、今日はここまで。

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それでは、ナイス減税!

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