【小説】太陽のヴェーダ 先生が私に教えてくれたこと(あとがき)
あとがき
闘病ものというと、余命宣告されて、残りわずかな時を精一杯生きて、惜しまれながら散る――そういうドラマばかりでうんざりした時期がありました。
もちろんそれで救われる人もいるでしょうし、かくいう私も以前は涙を流して視聴していたものです。
しかし「持病があるけど、他の人と同じように明日も日常をこなさねばならぬのだ」という立場に立ったとき、命を散らして終わるドラマでは明日が見えなかったのです。
決して反抗的な態度を取りたいわけではありません。ただ、「生きる物語」がほしかったのです。
中途半端な症状と付き合い続けねばならないとわかったとき、それでも屈するだけではない生き方ができるという、希望を持ちたかったのです。
ともすれば病にのまれて、働くこと、友達と遊ぶ約束をすること、明るく生きることに自信を失い、立ち止まってしまいかねない状況で、
「これ読んだら明日からまた頑張れる」
「明日は今日より優しくなれる」
そう思える物語がほしかったのです。
少しでもそこへ近づけるように、その一心でこの物語を書きました。
初めは自分のために書き始めたこの物語。
願わくはこの物語が、皆さんにとっても穏やかな太陽となってくれれば幸いです。
2017年2月
高橋和珪
※このあとがきは、
2017年に製本した際に書いたものです。
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