ステロイドで体重10kg増えたが、マグカップをかえたら４kg減った話

2014年のこと。私はほんの数ヶ月で体重を10kgも増やしてしまい、暗黒時代へ突入した。原因はわかっている。この年は持病が再発したので、異常暴動を起こしている私の免疫さんたちを鎮めるため、大量のステロイド投与を行なった。その副作用に初めて翻弄されたのが、この年だった。

それまでステロイドは四、五年服用し続けていたし、20mgくらいまでは経験済みだった。でもこのときは外来で出せる20mgまで試したものの反応がなく、最終的に入院してパルス療法――1000mg×３日間、点滴投与を行った。こんなに大量投与したのは人生初。外来で対応できる量まで徐々にステロイドを減らしていくため、入院期間は１ヶ月に及んだ。

このステロイドの副作用によって異常な食欲が起こり、体重は一気に増加。お腹が苦しく、吐きそうなほど満腹になっても、食欲がまったく止まらないという異常さ。情緒も不安定になった。

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ダイエットというのは詰まるところ、ライフスタイルの変更である。

ステロイドは減ったが、体重と丸顔は全然戻ってくれない。一晩寝て起きれば体重はリセットされるなんてのは二十代まで。当時三十代の私は、まったく戻らない体重と丸顔に悩み続けた。

増加が止まって下降し始めても、たったの１kg減で安定してしまう。これ以上を望むなら、やはり何かしらのライフスタイルの変更をしなけらばならない。

以前試して効果があったやり方を、ここで再びやり始める。カロリー消費の面では、日常の動きに絡めたながら運動が軸となる。愛犬の散歩でキビキビ歩いたり、常に姿勢を正すよう心がけたり、ドライヤーで髪を乾かす間、仰向けで上半身を起こし、腹筋に負荷をかけ続けたりなどなど。

本格的な運動は残念ながらできない。また入院する恐れがあるから。

摂取カロリーについては、毎回ごはんの三分の一を減らした。計算上１ヶ月で１kgほど落ちていくことを雑誌で知り、試してみたら本当にそのとおりになった。しかし私の場合、いつも１kg減で下げ止まる。

だけど去年実家に戻ってきてからは、ちょっと期待していた。実家では野菜をとにかくたくさん食べる。通販番組でよく「一日でこんなにたくさんの野菜を摂るのは難しいですよね」とサラダボウルいっぱいの野菜を見せているが、実家ではそれが一食分として出てくると言っても過言ではない。

しかし３ヶ月経過しても、目に見えて効果はなかった。なんかこう、体のスイッチがうまく切り替わらないような、そんなもどかしさが６年も続いていた。

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それからしばらくして、マグカップを新調した。実家にあるのは小さくて、すぐ飲み干してしまうから。ちょうど行きつけのドラッグストアに大きくて軽いマグカップがあり、迷わず購入。

その大きいマグカップを買ってから、図らずもライフスタイルがちょっとだけ変化した。

いつもはドリップコーヒーをブラックで飲んでいたが、なんとなくカフェオレを飲むようになった。カフェオレが似合うデザインだったからかもしれない。

マグカップに濃いめのインスタントコーヒーと牛乳を注ぎ、レンジで温める。それを午前と午後、毎日のように飲んだ。

それからである。
するすると体重が落ちていったのは。

明らかにカフェオレ効果としか思えない。ではなぜカフェオレで体重が落ちたのか。

私なりに考えてみたところ、まず間食をしなくなった。午前、午後と飲むと、大きいマグカップだし、牛乳というのは結構腹持ちがいいし、間食しようという気がそもそも起きなかった。

それから、お通じが良くなった。それまでも決して便秘ではなかったが、毎日ではなかった。毎日ではないが、一定の周期でお通じがあるならそれは便秘ではない、とテレビで言っていたから良しとしていた。

大きいマグカップdeカフェオレ生活を始めてから、その周期が、明らかに短くなった。

もともと、濃いめのコーヒーを飲むと便意が促される傾向が私にはある。もしかしたら軽くお腹を壊しているのかもしれない。それに子供の頃は、時々牛乳でお腹を壊すこともあった。

ちなみに鍋で温めた牛乳の場合は何も起こらない。便意を催すのはレンジで温めるからなのか、コーヒーが濃いからなのか、牛乳とコーヒーとレンジの合わせ技なのか、正直どれが決定打なのかはよくわからない。

今のところ、マグカップを買いかえてから４kg減で安定している。ステロイドで10kg増えてから、なんだかんだで合計で５kg減。ようやく半分。

便が４kgもあったのかと一瞬思ってしまうが、多分そういうことではない。体内の流れが良くなったことで、体のスイッチが良い方へ切り替わったのだろう。わかんないけど。

夕食前にもカフェオレを飲むと、缶ビール１本とおかず（野菜大量）だけでお腹がほどよく満たされる。それ以上の食欲が湧かなかったこともあり、「ごはんはいいや」という日が続いた。母からは「せっかく炊いたのに！」と苦情が出たが、おかげでこの時期はするすると体重が落ちた。

マグカップdeカフェオレ生活により４kg落ちたが、多分そのへんで下げ止まりだろう。ダイエットとはライフスタイルの変更であるから、さらに落としたい――というか戻したいなら、さらに何か変化を取り入れなければならない。

でも焦りはない。図らずも今年は草刈りという新しいライフスタイルをすでに始めている。これからは体重というより、筋力や体力、体の締まり具合に目が向きそうだ。

先日、久々に会った知り合いが、
「腰のとこ、くびれてる」
と言ってくれた。長く苦しんだステロイドの副作用地獄から、ようやく抜け出せた気がした。