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面接の本質。大人が生み出してきた価値観と向き合う。

言葉は人によって、使ってる意味、解釈の仕方が異なる。

ある就職活動中の学生と面談をした際の話。
少し長いけど、この出来事を、忘れてはならない
自分への戒めとして、綴ってみました。

面談を受けに来たその学生は、就職活動の中である会社の面接を受け、「大変な仕事だ」と、感じた印象をコメントした。
うちの仕事は、聞いてみてどう思ったかを聞くと、同じく「大変な仕事と思う」と答えた。

ちなみに、就職活動を始めたのは4回生の3月から。
2次面接でお見送りが続いているとのこと。

冒頭、アイスブレイクで就活の状況はどうですか?と聞くと、「思ったより大変」と答えてくれた。


大変…

いや、そりゃ大変だろ…
しかも、コメントは、大変。以上。


それだけか…?笑


実はお会いした学生は、既に弊社の社員がお会いしていて、印象としてはネガティブだった。
その前振りもあって、僕も同様にネガティブな感情を抱いた。
ミスマッチ感があった為、お互いにとってベストではないといった印象。

なので、これはご縁は無かったかなーと思いながらも、久しぶりの学生との面談であり、この機会がその学生にとって何かの収穫や気付きの機会になればと思い、話を続けた。


ここまでが、面談前半までの話。


ここからが違った。



「○○さん、世の中に大変じゃない仕事なんて、ないと思います。どんな仕事でも、或いはどこに入社しても、仕事や人間関係において、大変ではないことはない。

その“大変だと思った”の後に続く感情を、話してみてもらえますか?」

僕が質問をすると、学生が答えた。



「大変だけど、やりたいと思った。
大変な仕事だからこそ、魅力を感じた。」


あれ?
そっち!?

てっきり、だからやりたい仕事ではない、という思考だと思い込んでいた。




もう少し話を進めた。


「○○さん、過去に、最も印象深く残ってる出来事や、自分の中で没頭した出来事って、どんなことがありますか?」

学生は、高校時代の挫折と、そこから這い上がって目標を達成したことを話してくれた。
正直、情熱だの野望だのという、目的が伝わってくる話であったかというと、そうではない。
何かそこに明確な意思や目的があった訳ではない。

ただ、学生なりの想いや考えがあり、1ヶ月費やしてやり遂げたことだった。


諸々話を聞いたけど、僕自身の初めの印象を払拭する情報は得られず、Win-Winのイメージは見出せなかった為、やはりお断りすることを決意した。

でも、このままこのスタイルで面接を受け、NGをくらい、その時間を過ごし続ける学生を思うと虚しくなり、僕が感じた印象を正直に伝えることにした。


「○○さん。前にうちの社員が税理士という仕事についてお話をして、その仕事に興味を持ってくれたこと。知識や人脈を活かして中小企業を支援することに魅力を感じてくれたこと。シンプルに嬉しかったです。だけど、申し訳ないけど○○さんにステージを用意することは難しいと感じました。
その理由を今から話します。
前、税理士の仕事について、うちの社員から説明させてもらって、興味が沸くようなら次の面談をセッティングしたいと話しました。で、あなたは受けたいと言った。そして少し時間が空いて、今日を迎えた。
僕はさっき、税理士という仕事の話を聞いてみて、どう思ったかを聞いた。すると大変そうだと答えてくれた。でも、うちの社員を見ているとチームワークがありそうで、そこでならやりたいと思ったと言ってくれた。
僕が期待したのは、税理士という仕事の何に興味を持ったのか、税理士○○さんという自分自身をイメージした時、どんなワクワク感を抱いたのか、それが聞きたかった。けど、○○さんの話は表面的な話だった。税理士の仕事に対してではなくうちの組織に対するコメントを返してくれていた。
だから、その答えは僕の期待値を満たす回答ではなかった。
大切な就活において、企業の良し悪しを見極める立場でもありながらも、やはり就職という活躍への切符は勝ち取る必要があり、相手のニーズを満たすことが求められる。
これは、面接だろうが営業だろうが事務だろうが、どんな仕事でも同じ。
人と仕事をする以上、相手が何を求めているのか、それに対して自分は何ができるのか、それを考えて行動して成果を出すことが求められる。
それが働くということであり、その中で自分のやりがいを見出していく。
○○さんには、まだまだできることがある。
もっと情報収集して、目の前の出来事や出会い、抱いた感情に意味づけをして、価値を見出してほしい。
まずは就職活動の仕方を変えてみてはどうだろう?」



お節介だなーと思いながらも、
学生の表情をみてると心が痛いなーと思いながらも、伝えた。



すると、学生はこう答えた。



「私、御社に応募したいです。例えば、改めて自分と向き合い、考えをまとめ、それをしっかり伝えられたら、インターンから始めさせてもらえませんか?」




こんな耳の痛いこと言われても、それに対して即返答してきた言葉がこれだった。

めちゃくちゃ嬉しかった。



「勿論OKです。いつでも待ってます。」



その後、学生からメールがきた。

自分がコミュニケーション力が乏しいこと。
今回の事前準備が甘すぎたこと。
せっかくつかんだ機会に対し、そんな姿勢で臨んだ自分を猛省していること。
なにより、テキストベースでお断りメールが来る中で、直接フィードバックで気づきをもらって嬉しかったというコメント。


改めて、この面談という機会の重要さ、その責任の重さを痛感した。

僕らは面談・面接を通じて、人が人生に活力を見出す機会を、そのキッカケを提供することができる。
その可能性を秘めている。


ここで、僕が強く感じたこと。


やはり、言葉は人の価値観によって意味合いが異なる。分解して分解して、噛み締めながら話さないと、本当に理解はできない。
そして、特に学生にとっては、フィードバックを受ける機会は少ない。
特に、今回は自己に対するフィードバックを受ける機会を得ることなく、就活を迎えていた。

これは、ある意味僕たち大人が反省すべきことかもしれない。


今時の子は…
承認欲求が強くて…
情報が独り歩きして、パワハラだのモラハラだのと主張をして…



僕も人間だからそう思うこともある。
僕は体育会で育ってきたから、そういうスタンスを反省するシーンも多い笑

だけど、こういう世の中を作ってきたのは僕たち大人である。

そうだからといって、諦めだったり、効率化を求めて向き合わなかったのも僕たち。


少子化が進む今だから、
労働者不足で生産性が問われる今だから、
若者との向き合い方を、改めなければならないと感じた。

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