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「当事者じゃない自分を責めるな」 〜代わりにスキルとしての想像力を〜

ママじゃない独身男性が子育てメディアの編集長をしている

コノビーという子育てメディアの編集長をしている僕は、独身の男性だが、そのことで誰かに批判された事はないし、一般的にそのようなことが受け入れられるのかどうかにも興味はない。

けれど僕には他でもない"自分自身"によって「それってどうなの」という視線を向けていた時期があった。編集長になってすぐの頃だと思う。

「君じゃあ出産の大変さは理解できないだろう」「独身じゃあ説得力がないかもなあ」「ていうか読者の気持ちがわからない編集長って…」というようなことを考えて、扱うテーマに対する自分の"ふさわしさ"を不安がった。

今なら悲観的にならずに思えるが、実際、どの不安も「事実」だったと思う。というか、それが「事実」であるということを受け入れることを通じてはじめて、身勝手なコンプレックスから逃れられたのかもしれない。

自分と他人は違う。他人を理解するなんて究極的には、できないんだよな、てことは「仮に僕がママだったとしても同じことじゃん!」という結論になって。

そこからは、スキルとしての「想像力」を磨くことがテーマになった

まずしたことは、さっき言ったこととは矛盾するようだけども、読者のことを知ろうとした。

中学の同級生に子どもが生まれたと聞けば会って話を聞きに行ったし。会社のスタッフが出産した時は、おせっかいな取り組み(産褥ヘルプ)をしてみたり。夜泣きを体験すべく家に泊めてもらい、哺乳瓶でミルクを飲んだりもした。(乳首キャップはそのために買いました)

そうした経験を通じて、解像度高く「想像」するためには、できるだけ粒の細かい「素材」が必要だと気づいた。

「夜泣きは辛い」という粒度の素材と、「近所に迷惑かからないか心配」「旦那はスースー寝てやがる」「乳首が切れて吸わせるのが恐怖」「他の階から赤ちゃんの声が聞こえてちょっと安心する」といった素材たちでは、想像力への貢献度がまるでちがう。だからできるだけ細かく細かく、素材を集めたほうがよかった。

自分の中に「読者'(ダッシュ)」をみつける

もう一つは、断片的な「素材」をかき集めた時に抜け落ちてしまう"何か"を補うための作業。これが想像の解像度をさらに上げてくれる。

僕の場合は、読者の物語と、実家で暮らしている時に家族で最期を看取った「祖母の介護経験」が重なる部分が多かった。「ああ、これはまるで僕の話みたいだな」と思うことが何度もあった。

祖母の認知症の周辺症状として幻聴や幻覚が出ていた時期の介護生活は、本当なら愛したいはずの相手を憎らしく思ったり叩きたくなる気持ちをもたらした。かと思えば、まるで幼児のようになった祖母の発言に思わず笑わされることもあって。さっきまでイライラしていたのに、ふと力が抜けて「幸せだなあ」と思うみたいな経験が、僕にもあった。それは、僕の中にいる「読者'(ダッシュ)」だった。

自分のそうした気持ちを掘り起こす作業は、内容によっては勇気のいることかもしれない。だから、それが辛いときには無理に掘り起こさなくてもいいと思う。向きあえるときに、向き合っておく。そうすると、人の気持ちを想像するときの手がかりとして、資産になってくれるんじゃないだろうか。

当時はこんな思いは僕だけがしているんだろうと思っていたけれど、他にも似たことを考えている人がいるかもしれないと思って、書きました。

クリスマスまでに多分また書きます。ごきげんよう。

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レーベル「遊と暇」代表。東京藝大修士課程←LITALICO9年(子育てメディア「コノビー」編集長←発達障害児支援←障害者就労支援)←SFC。これからの時代の遊びと芸術と感受性について考えています。TOKYO PLAY所属。『ことな』(2009)発行人。八朔好き。

コメント1件

子供は、親以外の沢山の人たちにも、お世話されて、幸せに成長しますよね。とても大切なことと思います。
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