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等身大

また忘れた
目を使わない
思うことばかりで
風景があったことも
忘れている
遠くの山は
記憶でしかないだろうか
目に入っても
記憶の山には
勝てないから
僕らは
記号を当てはめて
世界に羅列して
閉じ籠る
アイデンティティーは
揺らぐ
山は遠くにある
文字通り
遠くにある
言葉に
覆い尽くされた
壁の向こう
記憶の彼方に
触れられることを
ずっと
待っているかのように
そして
その側で
お前を用意して
立ち尽くしている
それに
気付かないで
言葉は
ストレスとともに
世界を限定して
守りに入る
時には排除して
コスパがいいとか
何とかで
忘れたことも
忘れた
僕たちを
どこかで誰かが
せせら笑っている
聞こえないだけで
もしくは
聞こえないフリして
最短距離で
生きようとして
東京は今日も
密度を高めて
どこへ向かうのか
わからない
大勢を乗せて
夜間飛行へ
飛び立つ
言葉の果てで
誰かが見た景色を
拡散希望
網目を越えて
息が長く続くような
祈りに揺らぐ
天界に近い
部屋を夢想
アイデンティティーは
揺らぐ
でも
それでいい
離れたなら
放たれるから
それの繰り返しで
矮小化を
避けつつ
明日を
等身大で
生きていくんだ

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