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直感を信じて

僕は今44歳ですが大学の工学部の3回生です。
なぜこの年齢で大学の工学部に通うようになったかを話したいと思います。

もともと大学には行きたかったのですが、高校の時はいろいろあって当時目指していた大学には行けませんでした。
若くて頑なだったこともあり視野も狭く、大学に行くことしか頭になかった精神構造でしたので、「人生負けた」感が強くてなかなか切り替えることが出来なかったです。

かなり長く引きずって引きこもり生活も経験しましたが、すべてなくなって、前に行くしかないところまで落ちてから仕方なく新聞配達から社会に出ていきました。

それから整骨院の専門学校に通っていた2009年の冬に母親が交通事故で瀕死の重傷、重体となって救急救命病院に運ばれました。その変わり果てた母の姿を見て「これはもう助からない」とショックを受けて、説明を受けていた医師からも「大丈夫ですか、かなり顔色が悪いようですが」と心配されるほどでした。

しかし翌日運よく大阪、いや日本で一番の脳血管手術の医師にドクターヘリで運ばれて緊急手術してもらうことが出来て、一命をとりとめ、その後元の搬送された病院の救急救命室で医師や看護師の人たちの治療やリハビリでほとんどあれだけの大事故だったにもかかわらず後遺症もなく3か月で母親は退院することが出来ました。

その医師たちの仕事を見て感動した僕は「僕もこんな医師になって救急救命病院で働いてみたい」と30歳越えていましたし、専門学校通っていましたが、高校の時に諦めてしまっていた大学受験を専門学校で国家資格取得後、10年ぶりに再開しました。

整骨院で働きながらの独学だったので7年くらい国公立大学の医学部を受けましたがセンター試験80%取るのがやっとでなかなか合格することは叶わなかったです。

医師は難しいから薬剤師に、と思って薬学部も受けましたが国立大学で医学部並みに難しくそれもだめ、でもここまで10年近く頑張ってきたし高校の頃の無念の思いもあったので「理系学部、理学部や工学部入って塾の先生にでもなれればいい」と思うようになりました。

仕事は整骨院から認知症の人のグループホームでの介護職に変わっていましたが、大学受験を諦めることはなかったです。しかしもう40歳を超えていて、働いていた介護職の仕事にも向いているような気がして、「このままこの年齢から医学部でも薬学部でもない普通の理系学部に進んでだいじょうぶなのかな」と悩んで、知り合いの大学の先生に相談したところ「絶対に介護職の正社員になった方がいい」と強く説得されるようにアドバイスを受けて、僕はそのまま大学を諦めて介護の仕事で生きていこうと思いました。

しかし、そう決心したその夜に「ああ、もう大学受験の勉強をしなくていいんだ。楽が出来るぞ」と思って少しだけほっとしたのもつかの間、今度は激しい「うつ」になり、「あれ、大学受験から解放されたはずなのに、おかしいな。ひょっとしたら大学進学を諦めたらだめだってことか?」と思って、「やっぱり大学受験続ける」と決心したら、不思議と「うつ」はなくなり元通り大学受験勉強をして、その翌年の春に今通っている地元の国公立大学の工学部に合格しました。

僕の場合は選択をしたからというか、間違った方向へ行こうとすると昔から「うつ」になったりするので、それを判断基準にすることが多かったです。そして大抵というかほぼ100%、その「うつ」にならない方向で正解だったと思います。今回の「介護より大学進学を」という直感を信じてたぶん正解なのでしょう。この年齢からの就職活動が今、インターンとかが普通の20歳の同級生と一緒に始めたりしてやや不安とかもありますが、でもあのまま大学に行けないままだったら、一生学歴コンプレックス抱えて生きていて、選択肢も大学に入っていなかったら受けられなかった企業とかも出て来たりしているので、やっぱりあの時の「大学進学する」という選択は間違ってなかったと思います。

若い人に比べると残り時間とかは少なくて、働いて稼げるお金も少ないかもしれませんが、自分の気持ちに正直に生きることは自分の人生に後悔しないためには必要なことだと思うので、そんなに深く悩んだりはしてないです。むしろ、この年齢からどこまで違う景色が見られるか、そっちの方が楽しみであったりします。

アメリカやヨーロッパでは年齢を取っても大学に入り直すのは結構普通に行われているみたいです。日本だけが18歳でみんな一緒に大学生って感じで、一回浪人とかして遅れたらもう「大学」の選択は難しいみたいになっているのは、残念なことだと思います。実際高校までの受験勉強漬けでどうやって本当に自分の人生の道を選べるというのでしょうか。大学入ってみてそこまでやりたいことを見つけて入っている学生はいないように見えるから、もっと社会に出てから自分のやりたいことが見つかってから、大学に入り直す20代、30代、40代、もっと上の人が大学のキャンパスを欧米並みに歩くようになれば、この国の行き詰った感も解消されていくと思います。今はその途上だと思って、僕は自分の人生を再生し続けていきたいと思います。

#あの選択をしたから

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