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スラムダンク原論 Ⅰ

 僕の生きてきた中で大好きな漫画と言えばひとつはドラゴンボール。で、もうひとつはスラムダンクです。前にドラゴンボールについていろいろ書いたので今回はもうひとつの大好きな漫画「スラムダンク」についていろいろ書いていきたいと思います。
 僕自身はリアルタイムで少年ジャンプでスラムダンクを読んでいた世代で、ジャンプで連載開始した時のこともよく覚えています。1990年42号に第1話が掲載されて、当時僕は多くのジャンプ読者と同じように看板作品のドラゴンボールが楽しみで読んでいたイチ読者でした。だから新しく始まったこの「スラムダンク」はよくある学園ものとかでまさか後に20世紀最高の漫画などと呼ばれる希代の名作になるなんて思ってもみなかったです。バスケの漫画を描いている時点で当時小学6年だった僕は少しませた考えで「サッカーはキャプテン翼やし、野球はめっちゃいろいろあるし、そことかぶらんようにするゆうても『バスケ』ってかなり題材としてキツくないか?すぐ人気なくて終わるに違いない」と思ったりしていました。で次の号からしばらくまた元通りにほとんど「ドラゴンボール」目当てでジャンプを読んで、スラムダンクはほぼスルーしたりしていました。当時は確かドラゴンボールはフリーザ編が佳境で悟空が超サイヤ人とかになってかつてないくらい盛り上がっていたから、多くの読者にとったら少年ジャンプは「ドラゴンボール」と「それ以外」って感じだったんじゃないでしょうか。そんなドラゴンボール独り勝ちの時代のジャンプにひっそりと始まったスラムダンクですが、僕は最初はノールックで通していました。でも中学に入って周りの運動神経いい男子が昼休みに遊びでバスケットしていたんですね。で、あのスラムダンクの天才プレイヤー陵南の仙道の名セリフ(?)「さあ、いこーか」とかを喜んで言ってたりしたのを聞いて、「なんや結構人気あるんやな」と思って一回目の陵南戦くらいから読みだしたんでしたかね。いつから真剣に読みだしたか忘れましたが、周りの人気が出だしてから「俺も読んでみようかな」と思って読み始めました。最初のあの「つまらない学園モノ」「どうせすぐバスケやしすぐ終わる」とタカをくくっていた中学生の僕は大いに間違っていたことにすぐ気づきました。今までのどの漫画からも感じられなかったスタイリッシュなバスケの動き、キャラデザインの格好良さ、当時平成3年くらいで新しい昭和の次の時代が始まった、そんな空気感をものの見事に井上雄彦という今や巨匠ですが描き切っていましたね。
 そんなスラムダンクについてここからストーリーの流れに合わせて所々個人的な感想も交えて語っていきたいと思います。まあ最初はどこにでもある感じの学園モノで、少し当時のヤンキー漫画の影響下にある感じもして、そこまでバスケ以外で新鮮味は感じなかったです。バスケの動きも桜木花道のまさに漫画的な「フンフンフンフンディフェンス」とか、結構サブかったですね。まあバスケを描く漫画なんてそれまでほとんどなくてメジャーにもならなかったから、そんなもんかとか思っていました。そういや僕は運動神経あまりよくないくせに小学校でミニバスケットやってまして、抜かれまくりのドヘタでしたのでバスケ自体にあまりいい印象を持ってはいませんでした。でも大人になって読み返すと花道が一回「つまんねえ、辞める」と言って元の不良グループの水戸洋平らとケンカに明け暮れる道の戻りそうになった時に「俺ちょっと用事思い出した」とか言って洋平に花道が言うセリフがあるのですが「準備運動にもならなかったな」と花道の良き理解者ぶり示した水戸洋平は格好いいですね。深く人間を理解している感じがして。初期のキャラ人気投票ではまだ本格的なバスケ漫画になり切っていないころこの水戸洋平が人気ナンバーワンだったことも覚えています。後のエピソードで僕が一番好きな「三井寿」ら不良グループとの体育館での乱闘とかでも本当に水戸洋平は格好良かったですよね。完全にあの場面の隠れた主役だったんじゃないでしょうか。それも後で書いていきたいと思います。
   スラムダンクの初めの方は井上雄彦先生も言ってましたが、ジャンプというか今までバスケ漫画がヒットしたという前例がないので、もしバスケで当たらなかった場合は学園モノ、ヤンキーものとかでも行けるように、いろいろと詰め込んだらしいです。コメディ路線でも、晴子ちゃんめぐってのラブロマンスものでも、和光中のメンバーを中心とした「ろくでなしBLUES」、「今日から俺は!!」的な不良同士の抗争とか描いても、どれでもやっていける保険はかけていた、ということらしいです。でも最初の陵南との練習試合でかなり「これで(バスケ)でいける」との手ごたえを感じたらしく、そこからは足りないメンバーを補充する感じで、宮城リョータ、そして三井寿が加わるエピソードが始まります。
 その前に読者の心をバスケットに引きずりこんだ陵南戦のエピソードも少し振り返っておきたいと思います。2m越えのセンター魚住、天才仙道を中心とした陵南は神奈川県下でもトップクラスの実力を誇る名門校で、赤木しか目ぼしいメンバーのいなかった湘北ではとても太刀打ちできる相手ではなかったのですが、そこに1年のスーパールーキー流川、そして初心者ながら驚異の身体能力を持つ主人公桜木花道が加わり、強豪陵南に1点差で惜敗するというくらい接戦を演じます。印象に残っているのはやはり仙道の華のあるプレーですかね。序盤のシュートと見せかけて後ろにパスを出す、そのシーンだけで「これは今までのスポーツ漫画にはない『何か』がある」と思った人も多かったんじゃないでしょうか。井上先生自身がバスケをやっていて、NBAとかも現地やビデオとかで「本物」のバスケの躍動感を肌で体感しているからこそ、そしてあの身体性からにじみ出るペン先の色気というか、男の本気の戦いをバスケを通して描ける新しい時代の才能、そこら辺が完璧に融合されて唯一無二のスポーツ漫画になっていったように思います。まあ、そこら辺は僕の拙い言語表現より本物の「スラムダンク」の漫画を見てもらうのが一番いいと思うのでまだの方は読んでみてください。陵南戦からかなりの完成度でバスケの試合が描かれています。
 で、陵南戦が終わりどう展開していくのかと思ったら、ここからまさかの「ろくでなしBLUES」「今日から俺は」などより遥かにリアルな不良同士のケンカ、抗争が描かれます。そして僕が「スラムダンク」で一番好きなエピソードでもあります。まず宮城リョータがヨソの学校の女の子に告白して花道みたいに振られるシーンが描かれ、水戸洋平たちが花道にするみたいに茶化したりします。でもそこは他人、初対面の宮城リョータがマジ切れして、大楠の手を握ってケンカが始まる感じだったのですが、そこは水戸洋平がとっさに「どうみても俺たちが悪い」と割って入って止めます。その行動から宮城は水戸洋平をただ者じゃないと思って名前を聞いたりしています。ここら辺の空気感とかがやけにリアルなんですよね。そうとう不良の空気感リアルに感じて生活とかしていないと描けない、間の取り方とかだったりするんですが、バスケじゃなくてヤンキーものでも十分名作になったであろう「三井寿による湘北バスケ部乱闘事件」へと入っていきます。
 最初の三井寿をよく見てもらえば分かるのですが「完全に」不良でしかない、敵キャラなんですね。井上雄彦先生も三井はただ宮城リョータをつぶすためだけに出した単なる不良キャラのつもりだったらしいです。よく見ると井上先生が三井寿がこの時点でバスケやってたことなんか微塵も考えていない、そんなただの「悪の帝王」として描いていることがわかると思います。後の名3Pシューター三井の面影は全くありません。そこら辺のギャップがたまらないという向きもあるかもしれませんが、後日談として「三井は単なる不良でしかなかった」設定を知ってみると、この「バスケ元MVP」の設定が無理やり感も孕みながら、しかし見事にスラムダンク名エピソードとして成り立っている辺りにリアルな人間描写を求める牧歌的な昭和でない、後に混沌としていく平成になった時代の空気感があったのかもしれません。
 その前にその乱闘事件のエピソードについていろいろ語っていきたいと思います。宮城が戻ってきてさあこれから県大会の予選が始まる、ここら辺から絵面もすごく洗練されて男前度がそれぞれアップして井上雄彦のペン先も脂が乗ってきている感じがしますね。で、そこにバスケじゃなくてまず本物の不良同士の抗争を描けてしまう、血の気、色気、才気、ただただ凄すぎる。鉄男や竜とかマジで怖かったもん。初めてスラムダンクでここ読んだ時。気の弱い中学生でしたし、90年代初頭ってまだヤンキー文化が色濃く残っている時代で。僕の幼なじみの大親友も不良の番長とかやっていたから、決して遠い世界の話じゃなくて僕自身リアルにそのケンカとかビビりながら読んでました。それくらいこの井上雄彦が描くある種の命を懸けた闘い、ケンカもそうですし、バスケもそう、後の名作「バガボンド」とかの真剣の闘いもそうですが、迫力が他の漫画と段違い、今風で言えばレベチで、圧倒されます。で、赤木は物理の補習で遅れていて花道、流川、宮城、木暮、彩子さんなどの他のメンバーがいる中、三井たち不良グループが体育館の方へ向かいます。そして最初にそれに気づいた水戸洋平が「おい…あんたらこの先には体育館しかないぜ。何するつもりだ」と声をかけるものの鉄男に強力なパンチもらって、でも次の蹴りは鞄で防ぎケンカ慣れしているところをさりげなく描けていて、本物感が滲み出ていますね、ここからも。で、徳男の舎弟のメガネ男に連れて行かれますが、水戸洋平は余裕で蹴散らし、背後からスコップでメガネ男の襲われそうになりますが大楠とかに助けられます。で桜木軍団は体育館に向かっていくわけですが….…。
   三井とその不良仲間が湘北高校バスケットボール部が練習する体育館に乗り込んだ時、バスケ部は赤木キャプテン以外は全員揃って練習してました。バスケットボールに打ち込む部員とそれをブッ潰しに来た三井達との対比が何とも言えない緊張感というか、味があるというか濃厚な漫画紙面を形成していましたね。バスケも不良もそれぞれの熱量が本物で、それを同時に描ける井上雄彦は本当に天才だと思います。バスケに命をかける面々はケンカになってもただ者ではなかったですね。特に流川と桜木花道、宮城もですが。後のバスケの名場面を彷彿とさせる表現は難しいですが、リアルな身体性を描いていて、ケンカの場面、流川が竜に反撃のボディブローを浴びせるところとか、バスケの運動神経さながらの説得力を流川に持たせています。流川が普段は無言ですがバスケに並々ならぬ情熱を傾けていて、それを踏みにじろうとする輩に対する殺気じみた怒りが紙面から伝わってきますね。緊張感は高まる一方です。また宮城が恋する彩子さんが不良に暴力を振るわれた後、宮城がキレて相手を殺さんばかりに殴りつける描写も人間のリアルな感情、狂気が描かれているようで、迫力ありますよね。ちょっと前後しますが、その諸悪の根源、三井寿も動き出して、鉄男に唆されてモップの先で宮城の頭めがけて振り下ろす場面、少しだけ三井の額に汗が垂れるところが、完全な悪になり切れていない葛藤のようなものを感じさせますが、井上先生はここら辺から三井をただの不良に終わらせるのではなく、元バスケ部員として背景を思い付いたのでしょうか?どのタイミングかまでは分かりませんが登場当初は三井の人相、ホントに悪かったですもんね、人間性のかけらもないというか。でもバスケ部員と関わる中で三井というか井上先生の中で化学反応が起こり、キャラが勝手に動き出したかのように、漫画史に残る稀代の名バイプレーヤー三井寿が誕生していったのかもしれません。
    鉄男により流川、宮城と倒され桜木も三井によりモップで顔面やられて流血し、そこから鉄男と対峙しますが、いろいろ追い詰められ、三井、鉄男、徳男、竜に囲まれ絶対絶命のピンチに桜木軍団が登場する。ヤンキー漫画の王道みたいで、リアルタイムで中学生だった僕はこの体育館に没入してました。下手なヤンキーモノより余程カッコいい。そして、桜木は鉄男と、水戸洋平は三井寿と対戦。でもただの薄っぺらいケンカ漫画、格闘モノと異なりこのスラムダンクの喧嘩には太い人間性が底層に流れている。だからこそ、水戸洋平の三井寿に対するセリフ「おい逃げんなよ主犯」「相手がいねーんだわあんた相手してくれよ」「来な」が尋常じゃなくカッコいいんですね。もはや別のバスケ以外の名作漫画の領域だと個人的には思ったりします。三井を殴ってぶっ飛ばす直後のシーンは水戸洋平を主人公にした別の漫画のワンシーンみたいな華というか生命力があるようにすら思います。初期の人気ナンバーワンに輝くのも無理ないわな。まあでもこれはすべてこの段階での井上雄彦のバスケットボールに対する凄まじい熱量が根底にあって成り立つ描写だから、彼がただの目的もなく不良モノ描くとは思えず、例えが正しいかどうかわかりませんが、バスケットボールの漫画読んでたら、思いがけず不良漫画の名作も混ざっていた、最高のサイドメニューを備えたコース料理に巡り逢えたこの眼福に感謝します、みたいな感じですか。
 で、桜木の方は「ケンカのプロ」で謎の男でもある鉄男とタイマンしていて最初の方は一方的にやられはするもののダメージがない素振りでやせ我慢か、とも思わせましたが反撃に転じると一発一発が重くて鋭い、バスケで初心者ながら超人的な活躍を見せたり、柔道部の青田に「百年に一人の逸材」と評される程の身体能力をここでも遺憾なく発揮し、これがバスケをする前の不良の世界に名を轟かせた「桜木花道」であることを読者に知らしめます。バスケでは三枚目を演じてますが、不良、ケンカものではナンバーワンの実力を兼ね備えていることを、桜木花道の「別の顔」、暗い過去に起因する奥行き感みたいなものを想像させるところが、この「体育館抗争」エピソードの秀逸なところだと思います。ほぼ神レベルの流れだと僕は何回読み返してもこの完全版5巻の宮城の登場から三井がバスケ部に戻るまでの話が本当に好きで、これがあるからスラムダンクは最高傑作と呼ばれる奥行きを手に入れたのだと個人的には思っています。このエピソードの締めみたいなこと言ってますが肝心なところはまだ書いていませんでしたね。そう、三井寿の過去です。
    水戸洋平に完膚なきまでボコボコにやられて「もうバスケ部にはかかわらないと言え」「この体育館には2度と来ない言え」と言われるのですが、水戸と三井が対戦する前から木暮のカットが入り始め「何かわけあり」な伏線が張られ、三井は頑なに水戸洋平に抵抗し続けて「殺されなきゃわからねーのか」と反撃を食らうところで木暮が「もういいよ…もういい」と水戸に「もういいだろ…」とそこから赤木も物理の補習から戻ってきて体育館の惨状を目の当たりにして全てを理解します。そこから明かされる三井寿の栄光と挫折の過去。あの漫画史上に輝く安西先生の名言「最後まで…希望を捨てちゃいかん」「あきらめたらそこで試合終了だよ」はそんな三井の中学時代のエピソードから生まれたものでした。
    中学時代の三井は武石中学のエースで県大会決勝で1点ビハインドの終了間際に3ポイントシュートを決めて逆転勝ちで優勝します。その逆転劇の少し前に諦めかけてた三井に貴賓席で見ていた安西先生がかけた言葉が件の名言なんですね。その安西先生に惹かれて三井は強豪の海南や翔陽の誘いを断って湘北高校に入学します。入学してすぐに安西先生の提案で赤木ら他の1年生同士で分かれて試合をします。この時点で赤木はまだデカイだけの下手くそで中学MVPの三井は群を抜いて上手かったのですが、膝を痛めてしまい入院を余儀なくされます。その三井を見舞いに来た木暮に対して件の安西先生の名言エピソードが語られいかに三井が安西先生に救われ、今があるかという伏線がさりげなく張られます。それはすぐに漫画史上最高の名場面の一つとしてすぐに回収されるのですが……。で、三井は入院中も医師や看護師の言うことを聞かずしょっちゅう病院を抜け出してバスケの練習をしたりして、結局自分の判断で勝手に膝が治り切っていなかったにもかかわらず、退院、病院を抜け出して湘北高校バスケ部体育館に戻ってきます。赤木ら部員の心配をヨソに。よほどバスケがしたい、そんな15歳の未熟さ、でも純粋な想いとかがこの三井寿15歳から滲み出て悪い気持ちはしない、むしろ好感の持てるキャラ立ちをしています。しかしながら、この純粋な未熟さが仇となり、復帰したばかりのバスケ部の練習で再び膝を痛めてしまい、目標としていた夏のインターハイ予選にケガのため出場出来なくなります。最後の描写がかなり切ないですよね。インターハイ予選を客席の後方廊下で見ている三井の視線の先で、ライバルの赤木が試合に出てシュートを決めて先輩らチームメイトに褒められる。そして、それを見続けることが出来ない三井は松葉杖をついて試合会場を後にする。「オレが三井について知っているのはここまでだ……」という木暮の回想シーンはここで終わります。
    そして、場面は乱闘後の現在の体育館に戻り、三井は過去を明かした木暮につっかかたりして何か自分の中で起き始めた動揺を隠そうとします。それは何なのか?その後部員達との一連のやり取りの後、体育館の扉がノックされます。「私だ……開けて下さい」安西先生の声とノック音で今まで散々悪態をついてきた三井の胸が「ドキッ」って鳴ります。安西先生が体育館に入りその姿で三井の脳裡に純粋だったあの頃が走馬灯のように駆け抜けます。「最後まで希望を捨てちゃいかん…あきらめたらそこで試合終了だよ」……それまで必死で打ち消そうとしていたもの……それは安西先生の目の前で泣き崩れながら絞り出した「バスケがしたいです……」でした。
   僕の拙い表現では伝え切れない圧倒的なバスケに対する熱い想い、情熱、それ故の挫折時における圧倒的な絶望、正直な話、これはイチ少年誌を超えたいや、ジャンルレスな表現における傑作中の傑作だと個人的には思います。ここまで濃厚でいて美しく絵として、読み物として完成されたエピソードは僕は知らないです。それくらい、あの単なる不良キャラで終わる予定だった三井寿のこの劇的な展開を誇る「体育館抗争編」は今読んでも時代を超える傑作エピソードだと思います。僕自身、個人的な話になりますが、三井のように高校時代は受験勉強に情熱を燃やしておりました。関西の某国立大学理学部物理学科に行く夢を持って早い段階から受験を意識した勉強を誰よりも早く始めたりしていました。しかし、この三井の膝のケガのように僕は思春期では1万人に1人くらいしか罹らないうつ病になり、周期的な鬱のリズムになかなか勉強は出来ず、挫折してこじらせて引きこもりにまでなった苦い思い出があります。だからバスケに人一倍自信と情熱を持っていても、ケガのために思うように出来ず闇落ちしてしまった三井寿の気持ちが痛いほどわかります。でも三井はこの後湘北になくてはならない存在となって活躍していきます。僕もかなり余談ながら一度は諦めた大学を30歳からまた独りで勉強し直して42歳とかになりましたが地元の国公立大学工学部に入学することが出来て余計に三井寿にシンパシーを感じたりしています。このように自らの挫折とかの経験を三井に重ねてスラムダンクを読んできた読者は結構いるのではないでしょうか?だからスラムダンクで三井寿は1、2位を争う程の人気があるのかもしれません。【Ⅱに続く】


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