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計画された偶発性理論 ~ Planned Happenstance Theory~


少しショックなことがありました。。

まあショックというよりは自分が知らなかったことへの少し残念な気持ちと「あ、自分が仮説を立てている理論にかなり近いものがすでに学会の場で発表されていた。。」というふたつがオーバーラップしてます。

ちなみにその僕が立てている理論の原点はフランス人の人類学者であり哲学者でもあるレヴィ=ストロースが提唱した『ブリコラージュ』にありそこから自分の考えと仮説を加えて「現代社会における偶発的な作用や運動、現象」などを個人的にフィールフォワークと言う名のもと研究しています。

そして今回はそのレヴィ=ストロースのブリコラージュに非常に近い考えを提唱した人物をご紹介するとともに彼のことと理論についてサマライズさせていただこうと思います。

「計画的偶発性理論/計画された偶発性理論(プランドハップンスタンスセオリー)」

この言葉を耳にしたことはあるでしょうか。

たぶんほとんどの方はないと思います。キャリア理論や社会学の分野では少しきくことはあるそうなのですが一般的に哲学的でもなく経済的でもないこの理論を耳にすることはほとんどありません。

紹介をしますとこの理論はスタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授によって提唱され、「個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」とし、その偶然を計画的に設計して自分のキャリアを良いものにしていこう、というキャリアパスに関するポジティブな考え方です。

「計画された偶発性」理論の背景と基本的な考え方

いや僕が使う言葉「偶然の必然」に意味がどこか似ていて親近感も感じます。


20世紀末に発表されたこの理論が米国で注目を集めた背景には、「自分のキャリアは自分自身で意図的に職歴を積み上げて形成するもの」という従来型のキャリア論の限界がありました。

それまでは「自分の興味、適性、能力、周囲の環境などを合理的に分析すれば、目指すべき最終ゴールやそこへ至るステップアップの道筋までが明確になる」はずと考えられてきましたが、実際にはそうしたアプローチが必ずしも有効とは限らないことが分かってきていたのです。

つまり実際に分析しても、いくら計画を100パーセント練っていても、練習や訓練を積んでいても実際に起きることは予期しないことがほとんどでそれが予想をはるかに上回ること、下回ることそれぞれあります。


むしろその産業革命が流行ってからというもの僕たちの時代の流れというものは非常に加速し変化の激しい時代になりました。その時代のなかであらかじめキャリアを計画したり、計画したキャリアに固執したりすることは非現実的であり、すべきでない、とクランボルツ教授は指摘したのです。

自分が何をしたいかの意思決定にこだわり、一つの仕事や職業を選びとることは、とりもなおさず、それ以外の可能性を捨ててしまうことに繋がるからです。


「計画された偶発性」理論を実践するための5つのポイント

「計画された偶発性理論」では、個人のキャリア形成をもっと幅広くとらえ、「キャリアの8割が予期しない出来事や偶然の出会いによって決定される」と考えます。その予期しない出来事をただ待つだけでなく、自ら創り出せるように積極的に行動したり、周囲の出来事に神経を研ぎ澄ませたりして、偶然を意図的・計画的にステップアップの機会へと変えていくべきだというのが同理論の中心となる考え方です。


これを実践するために必要な行動指針として、クランボルツ教授は次の5つを掲げています。 この5つは 彼の著書より参照

Krumboltz, J. D., & Levin, A. S. (2004). Luck is no accident. Atascadero. CA: Impact.


1.好奇心[Curiosity]
2.持続性[Persistence]
3.柔軟性[Flexibility]
4.楽観性[Optimism]
5.冒険心[Risk Taking]


こうみるとかなりメンタル的に自分をもっていないといけないように見えますが、簡単に言うと自分にまっすぐに生きていればこの計画的偶然を学びそのセンスやスキルを磨くことができます。


そしてできることや、やらないといけないこともですが、大前提として大まかに漠然とでもいいので、「こういうことがしたい」「自分の夢はこの方向」という自分の進みたい方向性を定めておくことが大切です。方向性が定まっていないとアンテナの高さと感度が不安定で、大事な種を見つけにくいからです。

もう一つ大事なのは「出来事」です。つまり、成功体験や失敗体験から如何に謙虚に学ぶことができるか、ということです。特に失敗の機会というのは、自己成長にとっての「計画された偶然」のようなものと言えるかもしれません。過信しない程度に自信を持ち、常に学び続ける姿勢こそが自己成長の上で重要なことなのでしょう。

クランボルツ教授(John D. Krumboltz)のいう理論はキャリアや教育にあてはめた理論なのでフレームワークは比較的大きく、一般的な社会構造の全体が研究対象でした。

僕の提唱するブリコラージュの偶発的な考えや理論もかなり似ていますが、実際にこれをエコロジーやsustainability(持続可能な社会)に特に力を入れて研究をしているので研究対象が少し異なります。

しかし個人的にクランボルツ教授の存在と「計画された偶発性理論」を知ったことで少し安心した部分もあります。

これを音楽やアートに落とし込むことができたら面白いんだけどなー。

では今日はこのへんで!

A bientôt !!

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