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小売業は「情報小売業」へ

ジャパンライフデザインシステムズ代表・谷口正和が、10年前に『顧客革命 3人の旅人たち』という書籍をリリースしました。

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3つの旅人たちとは3タイプの顧客を言い表しているのですが、1人は「ホームグラウンドカスタマー」、続いて「ツーリストカスタマー」、最後が「メディアカスタマー」という分類。

このメディアカスタマーについて、当時はいくらクライアントに話してもイマイチご理解いただけなかったのですが、今はとても重要な存在。もっと言えば、このコロナ禍にあって、1億総メディアカスタマー時代になったなと感じます。

メディアカスタマーとは、メディアを通じて顧客になる人たち。分かりやすい例で言うと、Amazonや楽天などのECサイトがまさにそうですね。ただ、当社ではもう少し広義で捉えていて、情報を通じてリレーションシップが築かれている顧客は全てメディアカスタマーと定義しています。

例えば、TVや雑誌で掲載された商品が売れる。これもメディアカスタマーです。つまりは、モノが売れたのではなく、情報が売れたのです。昨今のインフルエンサーによる商品訴求は、その典型です。

人だけではありません。ストーリーも同じですね。例えば「創業明治元年。維新とともに生まれ、数々の文化人に愛された天ぷらの銘店」と聞けば、なんとなく美味しそうに感じます。顧客はあくまでもモノではなく、情報を買っているのです(食べログなんて、まさにそう)。もちろん、モノが良くなければ、リピーターにはなりませんが(笑)。

withコロナ時代は、ますますもって情報発信の質が問われています。最近ではオウンドメディアやSNSなどに予算を投じて、情報発信に努める企業も多く見かけます。

ただ、ショッピングセンターの皆さまとお仕事をすると、お付き合いしたて当初は「もったいなぁ」と思うこともあります。いつもテーマを決めて、媒体に載せる商品をテナントに打診し、ほぼ出てきた商品を掲載する。そこに、ディベロッパーの意思はそこまでなく、テナントが出したい商品を基本は出す(ショッピングセンターは不動産賃貸業。テナントはお客さまなので、「違うなぁ」と思っていても言いにくい関係…ということもありますが)。

テナントの商品がどんな情報(顧客への共感ポイント)をもっているかあまり共有できていないまま、ただ、掲載している。しかも、働き方改革で、販促チームに十分に人をあてられず、どうしても流れ作業になってしまう。これだと情報が弱くなって、モノが売れません。

ディベロッパーは各テナントの「宣伝・販促」隊長。テナントの皆さまの商品が売れるように、TV局や雑誌社のような役割をしないといけません。メディアの編集長になったつもりで、ストーリーのある商品を発掘し、魅力的に発信しなければならないのです。

あなたは、この商品に共感し、買いたくなりましたか?自分が共感しないものを発信しても売れるわけがありません。まずは、私が最初のお客さま。顧客の立場で見ることが大切です。

良い編集部というのは、外部も含めての体制づくりにはなりますが、まずは「私はこの館の編集長」という考えが肝要です。

ちなみに「私たちは情報小売業だ」と宣言されている企業があります。ユニクロです。次回はユニクロの情報小売業について、お話したいと思います。







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