前回はJ-NETWORKに入社した経緯についてお話をしました。
今回はこのキックボクシング業界に所属して僕が感じたことや、フィットネス業界との違いについてお伝えしたいと思います。

意思決定できるポジション

J-NETWORKでは、統括本部長という役職で仕事をしていました。
会社のナンバー2というポジションです。
これまでの実績や能力を評価されてのことで、諸々の意思決定の決裁権があり、仕事がしやすい立場ではありましたが、フィットネス業界と異質なことも多くて色々と大変でした。

キックのブームは来ていたが・・・

現場はというと、元々ガチのキックジムなので、ゴリゴリの男性も多く、プロ選手がインストラクターとしてクラスの指導を担当したりしています。

この2015年から2016年にかけては、女性のキックブームのような波が来ていて、女性の体験者や入会者も上昇トレンドでした。
モデルの菜々緒さん、ローラさん、タレントの広瀬すずさんらが、キックボクシングをやっていることをテレビやメディアで発信していた影響も大きかったですね。

「菜々緒がキックボクシングをやっている」と聞けば、オシャレでカッコイイというイメージがあります。
が、実際の格闘技ジムは、わりと狭いところが多いし、男どもが汗を飛び散らかしてサンドバッグやミットを打ち込んでいて、不衛生なところも多く、フィットネス目的で通おうとする女性には、なかなか厳しい環境だったりもします。。
J-NETWORKの各ジムもこの波に乗り、「フィットネス、ダイエット目的の女性大歓迎」などと謳っていましたが、やはり環境が理由で辞めていってしまう人も多かったですね。
ただ、J-NETWORKは大会事業部もあり、プロやアマチュア大会の開催、運営もしていて、キック業界の中では最大手だったので、傍からは華やかに見えるところもあって、問い合わせや体験者は多かったです。

フィットネストレーナーの観点から

キックボクシングは、フィットネスとしても理にかなっている動作が多く、応用しやすいし運動量も多いので、ダイエット効果も高いです。
しっかり考えて作り込めば、良いビジネスモデルができると思っていました。

チャンピオンになったプロ選手も多く在籍していました。
僕は個人的に仲が良かったし、彼らのことは好きですが、サービス業向きではありません。笑
それに強くなりたくてジムに来ている男性から見れば、現役のプロ選手は憧れの存在で、先生と生徒、師匠と弟子といった関係になりますから、カルチャー色が強い習い事の部類に入ります。
ここがフィットネス系のジム、スタジオといちばん大きく違うところです。

↓2人のチャンプと飲んだ時の写真。ガラ悪い。笑

画像1

それと、トレーナー視点で選手たちの身体やトレーニングを見た時は、「練習やトレーニングの内容と質を上げればもっともっと強くなるだろうな」という印象を持ちました。
身体のことを理解してトレーニングメニューを組んでいるジムは殆どなくて、そういった意味では格闘技界は、他のスポーツに比べても立ち遅れていると思いました。

タチの悪いクレーマー

キックボクシングに限らず、格闘技ではスパーリングという実践練習があります。
フィットネスクラブは「安全第一」で運営しますが、実際の格闘技というのは、誤解を恐れずに言えば「相手を潰しにいく競技」ですから、怪我は付き物です。
もちろん、ジム内でスパーリングをする時は、ヘッドギア、グローブ、レガーズを装着することをルールとしていますが。

そんな中、ルールを守らずにスパーリングをしていた会員の一人が怪我をして、ジム側に治療費と高額な慰謝料を請求してきました。
ジム側の管理に落ち度もありましたから、謝罪と保険適用の対応はしましたが、保険の支払いには上限があり、治療費の全額負担はできませんでした。
その会員は、負担額が少ないことに腹を立て、治療費の全額負担加え、慰謝料の請求額をさらに上積みしてきました。
一般企業に勤めるサラリーマンでしたが、お金に困っているのか、金銭に拘ってきて、ここぞとばかりにとれるだけとってやろうと考えているのがわかりました。

それでも丁重にお断りしていたら、ついに
「今回のことSNSで拡散して、もう営業できないようにしてやるからな!」と脅してきました。

よし、かかったと思いました。

こういった輩は排除していかないと営業に支障がでるので、タチの悪い人の対応をする時は、会話を録音しています。
僕はここで勝負にでました。

「今のは脅迫罪になりますよ。録音した証拠と共に警察に被害届を出させていただきます。今のお勤め先にはいられなくなると思いますが、それでもよろしいですか?」

これを聞いた相手は急にトーンダウンして、しどろもどろになり、
「被害届だけは勘弁してくれ」と。

「では被害届けを出されるか、強制退会に応じるか、どちらかを選んでください。」

「退会します。。」

「被害届を出さない代わりに強制退会に応じるということを一筆書いてもらいます。そして退会後も弊社やスタッフの誹謗中傷を見つけた場合は、被害届を出させてもらいます。」

こうして一気に畳みかけ、誓約書と退会届を書いてもらい、さよならしました。

この事象からの学び

一般的にフィットネス業態はサービス業ですから「会員様=お客様」ですが、格闘技ジムは会員は会員であってお客様ではないし、そういう輩も一定数いるので、下手な謝罪をするとかえって面倒になることもありますから、毅然とした対応が必要な場合もあります。

これはほんの一例ですが、こういった対応が数件ありました。
そんな対応に時間と労力を割かれること自体、不毛で生産性がありません。
でも各ジムで起こった問題は、最終的に本部の僕のところに集まってくるので、話を聴いて、説得して納得してもらうか、折り合いがつかない場合は辞めていただくかということをルーティンワークのようにやっていました。笑

僕は自分がビジネスをやる時に「お客様を選ぶ」ということがどれだけ大切かを学びました。
お金を払ってくれれば誰でもいいというわけではないと。
また、そのような状況を野放しにして教育できないと、善良なお客さんが離れていってしまいますからね。
まさに「割れ窓理論」です。

次回予告

次回はJ-NETWORKから、次の企業へ移る経緯をお話したいと思います。
今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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