パラグラフ・ラィティングを使って文章を構造化する【実践編】

みなさんこんばんは、福田達也です。

先日の記事では、論理的な文章を作るにはパラグラフ・ライティングを使うと良いという話をしました。

実際、論文や報告書など、ビジネス上で長大なデータや難しい論理を扱う場合は、必ずパラグラフ・ライティングが使われていると言っても過言ではありません(例外があれば教えてください)。

とはいっても、やったことがない書き方は、どうしてよいか戸惑うもの。今回は、実際に文章をパラグラフ・ライティングで書いてみるので、みなさんのイメージの助けになれば幸いです。

元ネタ:走れメロス

自分の記事をネタにしようと思ったのですが、元々自分の書き方がパラグラフ・ライティングなので、あまりいい記事がありませんでした。

あまり人様の記事をどうこう弄るのも申し訳ないので、今回は敢えてパラグラフ・ライティングが必要ない文芸作品(物語)を題材に書き直してみたいと思います。

ネタ元は太宰治の『走れメロス』です。選んだ理由は、著作権が切れていて青空文庫に掲載されていること、いい感じに短いこと、自分が好きな作品だからです。

太宰先生の素晴らしい文章を読みたい方はこちらからどうぞ。

全文は長いぞという方は、こちらの1分間あらすじをどうぞ。

メロスの美しい友情が王様を改心させた

序論:

人間不信となった王様の非道な振る舞いを許せず、メロスは暗殺を試みるも、捕まり死刑判決を受ける。故郷の妹の結婚式に参加するため、親友のセリヌンティウスを生贄に3日の執行猶予を得たメロスは、困難を乗り越え3日以内に戻ってくる。約束を守ったメロスと、信じて待ち続けたセリヌンティウスの美しき友情に感動した王様は、自らの人間不信を恥じた。

本論:

妹が結婚式を挙げる故郷は非常に遠く、3日という期限はギリギリである。実際、メロスは一睡もせずに家に帰ったにも関わらず、もどってくるのはセリヌンティウスの処刑直前であった。

人間不信の王様はメロスが帰ってくることを信じていなかった。メロスが3日の猶予を申し出たときには嘘つき呼ばわりし、3日以内に帰ってこなければお前は救われると告げている。

メロスの旅は辛く困難なものであったが、信じる友のために最後までやり遂げた。豪雨で増水した川の濁流を泳ぎ切り、襲ってきた山賊にも打ち勝ち、力尽きて倒れてなお立ちあがった。

セリヌンティウスは最後までメロスの友であった。メロスが帰ってこなければ自分が処刑されることを分かっていながら身代わりとなり、そしてメロスの懺悔を聞いた後には一度だけ自分も疑ったことを告白した。

結論:

人間不信に陥り、非道な振る舞いをした王様だったが、友のため困難に諦めずに走り続けたメロスと、友を信じて待ち続けたセリヌンティウスに心を打たれ、改心した。

余談:日本人は論理的思考が苦手?

余談ですが、日本人は論理的思考が苦手なのではないかという話を聞くことがあります。

論理的思考は後天的に身に着けられるものなので、人種的な差は無いと思いますが、育った環境が違うために身につきにくいという考え方はあります。その中でも、特に影響が大きいのが言語です。

日本語は、文法構造上、結論(動詞)が最後に来るという特徴があります。一方、英語を含む欧米圏の言語は、先に結論(動詞)が来るものが多いです。

例)
日本語:私はペンを持っている。
英語:I have a pen.

日本語:アメリカ人はみんな英語を喋ることができているから、英語を勉強することは簡単だと思う。
英語:I think learning English is easy because every American can speak English.

このように、日本語は理由や状況を説明してから最後に結論を述べるのに対して、英語は結論を述べてから、その理由や状況を説明します。日本語は最後まで話を聞かないと、肯定か否定かが分かりませんが、英語は最初に自分のスタンスをはっきりと述べるようになっています。

このように、英語の文法構造自体が、パラグラフ・ライティングやロジカルシンキングで重要な考え方の順序と同じなのです。だから、英語圏や同等の文法構造を母国語に持つ人は、ロジカルシンキングが身に着けやすいのかもしれません。

もちろん、落語のように、最後まで引っ張るからこそオチが面白くなる、というものもあるので、どちらの言語が優れているなどということではありません。このあたり、歴史的・文化的にどのように言語が作られていったのかを勉強するのも面白そうですね。

終わりに

今回は、物語文を敢えてパラグラフ・ライティングで書き直してみました。いかがだったでしょうか。

パラグラフ・ライティングは、内容を分かりやすく論理的に伝えるためにとても効果的です。一方で、物語のような情緒ある文章を書くのには向いていません(結論を最初に述べるのですから、盛り上がりもあったものではないです)。状況によって使い分けるのが大事ですね。

本日も読んでいただき、ありがとうございました。
また次の記事でお会いできることを、楽しみにしています。

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