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ロードバイクでひとり天竜の山中、途方に暮れた話

こんにちは@tateshina_lifeです。

今日は浜松の山にロードバイクでヒルクライムして出会ったことについて書いてみます。結論のないとめどない旅行記です。

僕は経営コンサルティングの仕事をしていますが、そのクライアントと僕が以前から公私ともにお付き合いをさせて頂いている複数の経営者の方々に引き合わせる目的で浜松へ出張する機会がありました。

僕が住む長野県茅野市にある蓼科高原から浜松までは車で行きます。中央自動車道で韮崎まで出て、そこから中部横断道を南下し、静岡から新東名に乗り換えて浜松北ICまでの3時間の道中です。

中部横断道は自動車専用道ですが片側1車線対面通行で制限速度が70km/hとドライバーにはちょっとストレスがかかります。ですので帰路は別のルートを選びましたがその話は後で。

1日目に仕事を終えて2日目は山の日で祝日。ロードバイクを持ってきた僕は天竜スーパー林道の入り口へ向かいました。浜名湖一周、いわゆるハマイチは前回の出張時に走ったので今回はヒルクライムです。

天竜スーパー林道の全行程(片道)

天竜川にかかる雲名橋から秋葉(あきは)神社、秋葉山を超えて竜頭山、山住神社を経て水窪(みさくぼ)ダムへ至る行程で片道でも57.4km, 獲得標高1,804mというなかなかタフなルートです。特に前半の秋葉神社上社へ至る部分は8kmほどの平均斜度が9%を超えており国内でも有数の長い激坂です。

帰りは水窪の街に下りてしまえば平坦な国道をなだらかに下る形になるのでダムまでのタフな道を走破してしまえばご褒美だなと思っていました。

最初の洗礼はまず最初の秋葉神社上社へ至る激坂でやってきます。僕の変速に無理があったのかチェーン落ち。斜度は14%以上ありましたので脚付きしてしまいます。

この斜度で再びビンディングをはめるのは至難の技。一旦方向転換して下りつつはめようとするのですが上り返すところで苔に滑って立ちごけ。左肘と左膝側面に擦過傷ができました。バイクは無事でした。

秋葉神社上社まで上がると尾根を走る形になりますのでアップダウンが繰り返されるものの基本的に激坂は出現しません。しかし油断はできません。

林道というだけあって舗装はされているものの連続するグレーチング(溝)の前後が荒れていて凹凸があります。またこれはこのあたりの特徴らしいですが尖った落石がゴロゴロ転がっています。

この落石を注意しながら走っていた時に大きな溝を乗り越えるのに失敗して前輪がリム打ち、パンクしてしまいました。仕方ないので替えのチューブを取り出して携帯しているツールで交換しようとした時にはたと気づきました。

新しいバイクの前輪ホイールはディープリムで50mm。しかし僕が持ってきたのは48mm仕様のバルブ。バルブエクステンダーも持ってきていません。はめたところで空気を入れることができません…。本当にうかつでした。

車もモーターバイクもほとんど通らない山の中で携帯電話は圏外。ヒルクライムしていたこともあって持ってきたボトルの水は残りわずか。ちょっとした遭難状態です。

思い出されるはライド中に見かけていた山住神社まであと5kmという看板。そこまで歩くしかありません。ちょうど尾根の鞍部にいた僕は歩きにくいビンディングシューズで1つのピークを越えて1時間弱かけて山住神社へ辿り着きました。

携帯電話は繋がり、タクシーを呼ぶことができました。遠鉄タクシーを呼んだので到着するまで2時間弱。その間なんとかなったのは山住神社前に大杉という茶屋があったからです。

山菜そばとお茶4缶もいただきました。それでも1,000円。山でこの値段は安すぎでは?

御年84歳。とても気さくで頭も明瞭。水窪を中心とした話を色々としてくれました。

やってきたタクシーの運転手さんも水窪地区の方。江川卓の父親が炭鉱の現場監督でこのあたりに住んでいた逸話や、水窪を含めた浜松市天竜区の中でも地区によって言葉や風習などが違うことなどを、歴史の経緯も含めて色々と教えてくれました。

タクシーは迎車料は数百円でしたが、僕の車がある道の駅までの60kmほどを走ったので合計で12,000円以上。予定していたヒルクライムも完走できず、落車でちょっとした怪我もして、時間もお金も失った僕ですが、こういった出来事のおかげでとても幸せな気持ちになりました。

人間万事塞翁が馬。

帰りはのんびりと下道を通って阿智村へ出てから中央道で駒ヶ根経由で帰りました。素敵な場所と素敵な人に恵まれていることを味わいながら。

続いていく物語を楽しみます。

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