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☆「里芋、そして秋刀魚と日本人」~長月の旬(2013年9月)

●里芋は万葉集にもその名前が詠まれ、当時は「上古(うも)」または「いへついも」などと呼ばれていました。

 ちなみに万葉集は「現存最古の歌集」であり、古くは古墳時代から、奈良時代までを股に掛けたなんと(!)
 350年間(!)の、あらゆる類いの歌を集めたという歌集のことです。

 「防人の歌」や「東歌(あづまうた)」など。👀
 詠まれた歌がまた天皇や貴族、下級官人に至るまで。
 とにかく、様々な身分の人間が詠んだ歌集なので、歴史的資料としての価値も高い(!)
 また編纂したのは、貴族で歌人の大伴家持(おおとものやかもち)だとか。👀

 さて、日本で「芋」といえば。
 大きく2種類に分かれていて、「山で採れるモノは、山芋」で、「里で採れるから里芋」という事らしいです。😅
 ・・・日本の里芋は、亜熱帯のタロイモ類の中でも最北端で栽培されている種類で、サトイモ属はサトイモ科の植物になります。
 原産地はもちろん熱帯アジアからインドにかけてで、日本には縄文時代には伝わったとも。

●この里芋、初めに到来したのが「青茎系のサトイモ」で、室町時代に「赤茎系のサトイモ」が伝来しました。

 子芋をたくさんつける種類が、里芋の8割を占めるそう。
 他に「京芋」と呼ばれるような・・・親芋が肥大して、子芋はほとんどつけない系統と。
 「八つ頭」のように、子芋が分球せずに(!)ゴツゴツとした塊状に育つモノと、
 形状としては大きく3種類に分かれるそう。👀
 ・・・また「八つ頭」は伝来もずっと遅くて、十三代・家斉将軍の時代以降から、ようやく記録に出て来たとあります。

 芋の部分を食べる他に、茎の部分「芋茎(ずいき)」を食用にする他、もっと前の時代には、葉の部分も利用していたよう。👀
 桃山時代の献立書には、子芋を「酒宴の後で出される、お濃い茶用の茶菓子」として使用したとも。

 江戸時代の料理書には「漬け物にした」との記載もあり、親芋・子芋はもちろん、芋茎は吸い物の身や和え物、刺身のつまなどに利用され、ハスイモ(青茎系)は特に、鱠(なます)の添え物や刺身のつまに珍重されたとか。👀

 亜熱帯の植物ゆえ、日本の気候では花までは咲きますが、実はなりません。
 そして芋類ゆえに、根っこから増えてはいきますが、サトイモは一年草ですから。
 栽培までは出来ても、日本の風土にあうような品種改良までは出来ないのだそうです。

●旧暦では、7月が初秋で8月が中秋、そして晩秋が9月になります。


 名月を楽しむ趣向は、平安時代に中国から伝来とありますが、日本ではもっと古くから楽しまれていたようです。

 旧暦の8月15日(中秋の名月)を「芋名月」と呼ぶ地方は少なくありません。 そこでは「お月見団子」ではなく、里芋や枝豆などを供えるのだそうです。
 ・・・日本では、古くからの年中行事は先祖崇敬からなるものが多く。
 自分達の先祖時代の食生活を象徴するものや、つながりの深い食べ物を供えたり、食べたりする傾向があるそうです。

 この芋名月では、七夕の如く(!)  笹竹の先に、里芋などを籠などに入れて吊るし供えますが、この笹竹にもまた意味があります。
 「厄払いや悪霊除けのパワー」があると信じられていますが事実、笹には強力な殺菌作用もあります。
 今でも満月に団子を供えたりしますが、江戸末期の書物には、団子の形は丸ではなくって、子芋に似せて作るのが習わしだったとか。👀

●・・・これに対してさて、秋刀魚はどうだったかというと。


 秋刀魚を対象とする漁業は外国にはないと資料にあります。(※2021年では、もはやそうではありません★)
 サンマ漁は、三代将軍家光の終りから紀伊で発祥し、同じような漁法が安房(千葉県)にも起こって江戸時代の中期以降になってようやく、庶民の間でも食べられるようになりました。 (^_^)/

●・・・それまでの秋刀魚は、食用ではなくて「魚油を採るためだけの魚」でした★

 ・・・江戸の世にはもちろん、まだ電気はありません。 😅
 なので暗くなったら行灯を点けますが、菜種から採った油は高級なので、庶民は廉価な魚油を使ってました。👀

 魚網に匂いがつく如く、秋刀魚の油では黒い煙と共に匂いが出ます。
 ・・・匂いが出るから、これを食べるとなると(!)
 屋外で、七輪などで焼くようにもなりまして、十代将軍家治の時代には大衆魚になりました♡

 漢字で「秋刀魚」と書くのは、形も色も刀に似ているからだそうで。 体長は40センチほどにも成長しますが、寿命は1~2年程度。👀
 またサンマの鱗は、小さいうえに剥がれやすく(!)
 漁船から水揚げされる際に、殆ど取れてしまっているのだとか★

 そのため調理がしやすく、「サンマが出るとアンマが引っ込む」というくらいに健康を増進させる食材なのだそう♡
 落語「目黒のサンマ」のネタにもなっている秋刀魚は、家治の次の将軍の頃にははや、中流階級以上でも口にするようになりました。
 以上、里芋と秋刀魚と日本人でした。(^_^)/
 (文責・山野亜紀 2013.9.1)

〇2013年9月のお膳
「和心きらり(http://wagokoro-kirari.tokyo/)」より転載
  ・・・700以上のレシピ・旬エッセイ・ブログを現在、移築中。😅


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