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たたら製鉄講座【鉄穴流し実験】

今日は雨が強かったが、たたら小屋で鉄穴流し(かんなながし)の実験をした。

鉄穴流し(かんなながし)とは、採取したばかりの砂混じりの砂鉄を選り分けるための作業。自然の丘陵や傾斜地と川の流れを利用して、砂と鉄の比重差によって選り分ける。

砂鉄の種類は大まかに三種類に分かれる。

①山砂鉄:山の斜面を直接削りその土砂から採取した砂鉄
②川砂鉄:川底や河川付近にある土砂から採取した砂鉄
③海砂鉄:海岸に打ち上げられた、または海底に溜まった砂鉄

種類によって選り分ける方法も違うが、現在まで資料が残り明確に分かっているのが①山砂鉄、②川砂鉄の選り分けで使われたほ鉄穴流し(かんなながし)という方法だ。

国内で大規模にたたら製鉄が操業されていたのが、海が近くない奥出雲などの山陰の山間部だったのでこの方法が近代まで伝わっている。(たたら通の間では。)

↓詳しくは『和鋼博物館』サイトを参照

国東半島はというと、海砂鉄を主に使い操業規模も大きくなかったということなので恐らくこの方法ではなかったと思われる。瀬戸内式気候の水が貴重なこの地域では、潤沢な水の流れを利用した選り分けは難しい。

今まで、たたら製鉄講座では磁石を使って砂と砂鉄を選り分けていた。

違うだろうという見解はありながらも、やってみよう!ということで実験をしてみた。

傾斜をつけた板の上に砂置いて水を流すだけだが、確かにちゃんと砂鉄は板に溜まって残り砂は水と流れていった。

↓水と一緒に流れていった砂

そして、この流れて行く土砂が原因で昔は農耕をする人と製鉄をする人の間で諍いが絶えなかったという。

また、鉄穴流しをすることで土砂が流れ削られた山や丘陵自体が消滅するくらい環境負担が大きかった。山陰では、削り取られた山の山頂付近の祠などだけが残った鉄穴残丘(かんなざんきゅう)という地形がみられるほどだ。

実験をしてみて、これを山が無くなるほどの規模でやればそれは戦になるくらいの諍いになるだろうと実感した。


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