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ラナプラザ崩落事故から10年〜Remember Rana Plaza〜

こんにちは、台湾正規留学からプラハで一年の交換留学中のTasukuです。

今日、4月24日は、2013年に起きたアパレル史上最悪の事故である、ダッカ近郊縫製工場(ラナプラザ)崩落事故からちょうど10年という節目の日です。

以前の記事で紹介したように、我々先進国の人間が身にまとう衣服の多くは、大量生産された衣服であり、その影には、途上国で劣悪な労働環境で低賃金で働く多くの若い女性の存在があります。生産コストを抑えるために人件費を大幅にカットし、設備投資を怠った結果、さまざまな凄惨な事故を生み出してきたのが、アパレル業界です。

今回は、その中でも最も多くの犠牲者を出し、アパレル業界の闇が世の中に知れ渡るきっかけとなった、2013年4月23日ラナプラザ崩落事故について詳しく紹介します。以前私が書いた記事の最新版となります。

悲惨な事故の概要

バングラデシュの首都ダッカ近郊の都市、シャバール。ここには当時から、先進国に輸出される衣服の製造を行う縫製工場が多く所在していました。商業ビル「ラナプラザ」もその一つで、多くの若い労働者が、日々先進国に輸出するための衣服を生産していました。

2013年4月23日、事故当日、その日もいつも通り、約5000人の従業員が汗を流して作業に取り掛かりますが、作業を始めて間も無く、作業場のあった建物上層部から崩落が始まりました。当時4基の大型発電機と数千台のミシンが稼働しており、その重みに建物が耐えきれず、崩落したと見られています。

他にも建物の6階〜8階が違法に増築されていたことや、緩い地盤を無理やり固めた場所に建設されていたことなど、構造上の問題が多く見つかっています。さらに、事故前日には建物の床や壁にヒビが見つかり、営業を中止するよう要請されていたにもかかわらず、ビルの責任者らによってこれはもみ消され、翌日凄惨な事故が起きてしまったのです。

事故の結果、1134名が命を落とし、約2500名もの人々が負傷しました

この事故に関する報道は瞬く間に世界中に拡散され、人々に衝撃を与えました。衝撃を与えたのは、その死傷者の数だけでなく、その工場自体が、先進国の人々の手にわたる衣服を作る工場であり、その労働形態があまりに杜撰(ずさん)で過酷な労働が課されていたという事実でした。

The True Cost

ラナプラザに限ったことではありませんが、このような縫製工場で働く人々の多くは若い女性で、中には自分の子供を養うため、その身ひとつで出稼ぎに来ていた人も多くいました。工場内の労働環境は言うまでもなく劣悪で、責任者による暴行や半強制的な労働も横行していました。驚くべきことは、このような環境下で働いていても、日本円に換算して時給たったの数十円しかもらえないという事実です。日本に比べて物価の安いバングラデシュであっても、これだけの給料で生活していくのは困難です。まして子供を養う母親にとって、時給数十円では、子供を学校に通わせることすら叶わないほどです。

労働環境の過酷さを涙ながらに訴えるシーマさん(出典:The True Cost)

このような実態は2015年に公開されたドキュメンタリー映画、「The True Cost」にて詳細に語られています。実際に工場での労働を経験した人によって語られる縫製工場の実態は、とても私たちの生活からは想像もできない悲惨なものです。上の画像はドキュメンタリー映画のワンシーンです。女性の名前はシーマ・アクターさん。実際にラナプラザで働いていた彼女の口から、過酷な労働環境が語られます。以下一部抜粋和訳、

「消費者には私たちの血によって作られた服を着てもらいたくない。」

シーマ・アクター

この映画は現在YouTubeで無料で公開されているので、読者の皆さんには一度ご覧になることをお勧めします。(上の画像のリンクから動画をご覧いただけます。)

大事なこと

この事故を、ビルのオーナーや工場を採用しているアパレル企業だけの責任だと考えていては、この問題の本質的な解決にはなりません。そういったプロセスで製造された服は、実際私たち消費者の手に渡るということを忘れてはならないと私は思います。つまり、こういった不条理な現状は社会全体に責任があり、私たち消費者も、自身の消費行動に責任を持つ必要があるということです。

事故から10年の月日が経過した今、この事故のことを過去の出来事として風化させてはいけません。このような事故が2度と起きないために、私たち一人ひとりが価格の裏に潜む現実に目をやり、消費行動を改めることが重要です。

こういった問題に対する解決策の一つが、古着の利用です。エシカル消費が浸透しつつある現代において、増加傾向にあるサステナブルブランドを利用する選択肢も大いに有効です。しかし、多くの人にとって、こういったアイテムは高額で手の届きにくいものであるという現実があります。また、環境に配慮した原材料を使うアパレルブランドが増えている一方で、生産ラインの透明性は未だ低く、一般消費者にとってその商品がどのように作られているかを監視するのは非常に困難です。

古着を利用すれば、知識や経済力に乏しい消費者であっても、ファッション業界のサプライチェーンの改善に貢献することができます。少しでも、今この世界のどこかで苦しむ人たちの生活を助けられるよう、小さいことからでも、日々の生活を見直していくことが私たちに求められています。

最後に、

私のNoteでは、サステナブルファッションに関する記事や留学に関することなどを中心に情報発信をしています。今回の記事でサステナブルファッションに関して興味が湧いたという方は是非他の記事も一読ください!

また、私が運営するポッドキャスト番組「チェコっと放浪旅」では、台湾留学で出会った世界一周旅行中の友人とお酒を飲み交わしながら、国際問題や留学、世界一周旅行に関する話題など、海外生活で生まれた生産性のあるお話をお届けしています。毎週木曜日に更新していますので、興味のある方は是非、そちらの方もチェックしてみてください!


古着の可能性を世の中へ、
著:Tasuku

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