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日記;父母覚書

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脳内出血で倒れた父と認知症の母。もう亡くなりましたが、日記にしたためていたメモを後悔する事に意味を感じ公開します。
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#覚書

覚書:父よ母よ

覚書:父よ母よ

あと二ヶ月で、父、奇跡の生還より丸三年経過する。

脳出血で高次脳機能障害となった父は、リハビリを続けるも未だ歩けない。

当初あった言語障害は回復。

父の入院時より、母の認知症は悪化した。

父母の三年は、私にとっても、新しい三年でありました。

尊大で倣岸不遜が服着て歩いているような、巨躯の父は

その肉体のみ半分になり。伊達男たる父は、全てのスーツ、ネクタイ、手を通すことも着ることも

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ただそれだけが嬉しくて

ただそれだけが嬉しくて

母は喋ることも忘れつつあるのか、とみに無口になった。

栄養士さんとの面談。三ヶ月更新、状況報告あり。食べる量が減っていますとのこと。

前は80%は食べていたのが、60%、体重も急に5キロ落ちた。

なのに~クダンの医師め!母に間食させるなと?

BMIがどうだってのさ。そもそも、母の身長からして計算ミスでしょ。

母は165センチあったのだ。多少、縮んだにせよ・・背中の湾曲で145センチって計

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俺は鬱だー!

俺は鬱だー!

車椅子に乗り、半身麻痺の父は、大声でそう喚く。

脳内出血時の損傷箇所が大きくて、リハビリを頑張るも、結局、歩くこと叶わず。

ただ・・好きこそものの上手なれ。違うかw

生来、口の達者な、いや、饒舌、多弁、父が口を開けば誰もが時に感動で、時に

唇かみ締めて・・去ったという、その性格が幸いしてか

はたまた、言語療法士さんが、とびっきりの(父好みの)

スレンダーな若い美女だった為か、

言葉だ

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雛あられ、母が食べた

雛あられ、母が食べた

母が大好きな千鳥屋のカステラと、ふと目に留まった可愛らしい雛あられを買い、

僅かな時間、ホームに寄って戻る。

カステラは、口に含むも吐き出す。嚥下が困難になっているのか?と嘆くも、

突如、袋開き、「うわ~~可愛い、美味しい!」と、雛あられを音立てて食べた母。

色とりどりの小さなあられを無心に笑顔で口に運ぶ母。

ああ、嬉しい!

「ホントにお前は子どもになってしもうたのぅ」と・・苦笑しつつ

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