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伊上 申
2023年10月31日 23:17
チャプターエンド ――真っ白な空間にその人はいた。 上か下か、天井か地面かも定かでは無い空間にその人は横たわっており、まるで目醒めを待つ神の如く祈る様子で眠っている。 ーー俺は、目を覚ました。 俺? そう思い、ゆっくりと上半身を起こす。 首の付け根から両サイドに伸びる腕を動かし手の平を自身の目で見て確かめる。「ああそうか。お前はこの姿がいいんだな」 彼はそう呟いて静
2024年2月16日 14:09
チャプター11「…復讐を代行してくれるって本当なの?」 その女性は開口一番にそう聞いてきた。「……」 シンは向かいのソファに座る女性を値踏みするように見る。「ねぇ。聞いてるんだから答えてよ」 女性はテーブルに手をついて身を乗り出し、少し拗ねたような表情を見せる。「要件を言え」 端的に言い放つシン。「ー…ッ」 シンの低い言い回しに女性は一瞬だけ躊躇したが、「復
2023年10月25日 06:47
チャプター10 その男はソファにふんぞりかえるように腰掛けていた。神門穢流(みかどえる)が用意した紅茶を一気に飲み干して、「ー…ん」 と、空になったティーカップをシンの少し後ろで控える穢流に差し出す。「お茶汲みさんでしょ? 早く次淹れてきて」 ティーカップの取手に指をかけてカップを揺らす男。「かしこまりました」 そんな男の横柄な態度に気を留めず穢流は軽く会釈をし、侍女の