詩 夢

そうだ、夢を見たんだった。
遠い昔のきおく、
ピリオドがついてない、
切り離された物語り、
あの人やこの人、
繋がる筈もない時間軸で、
恋人を待っていた。
まるで、幽体離脱みたいに、
心と体が、バラバラ、
夢と、現実のような幻覚、
その、終わらなかった執着に、
ひたすら、待つ、探す、さ迷う、
分断された、柔らかい地面で、
立つこと、存在することも、
泣くこと、騒ぐこと、さえ不能だ。
何処かの古びたビルで、君を待つ、
故郷の友人と、酒や、無駄話をしながら、
そこには、やはりあなたは来ない、
それだのに、過去でも現在でもない、
不確定な、期待値の尺度に、
人類の坩堝は、恋心の一片を望む。
ここはなんなのかさえ、疑わない、
純粋な、微睡みを、私は好んで味わいたい。
そうだ、これは夢なんだ。
そして、記憶の集積と知識と経験が、
萎縮されて、変容された結論なのだ。
そうだ、夢だってのに、
不覚にも、心は抉られ、
感情という女神に、
支配されていく、
そのような、夢を、見た。




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