酔わずの私と夜
夜の鐘。指先が伸びる。
酔わずしていられない。
ああ、私は酔わずにいたいのに。
最後に酔わずに越えた夜はいつ?
気づくと杯を傾け、首は傾かれた。
ああ、夜はいつもそこにある。
不変の夜に、私は二人。
一人は壊れたメトロノームよう夜を越え。
両横の端を叩きつけるようにリズムを刻み。
一往復毎に、激しく早く。針が止まるまで。
酔わずの私は夜をどう越えるのだろうか。
同じ月を見て美しいと泣くのだろうか。
朝の鐘に心踊るだろうか。
酒との付き合いは難しいが
長く付き合っていきたい。
初めは自分へのご褒美だったのかもしれない。
いつ頃からか、夜に大酒を浴びるようになり
朝を腹痛と共に迎える事が多くなった。
前日に爆弾を仕込んだ覚えはない。
酒への愛は揺るがなかった。
現実を見る目を覆う瞼となっていた。
虎にもなれずにふて寝する。
稀に瞼の隙間に入ったものが
巨大化して見える事がある。
そして、感情が膨らみ、爆発。
この爆発は、恐れた方がいい。と思った。
酔わずにいられない日照が
酔わずにいられない夜を創る。
酔わずにいられない日照
場所を変えるか、太陽を創らなければ。
恋に盲目という言葉。
依存する事自体が恋のようで
僕たちは盲目になりゆる。と思った。
依存対象を介して、世界を見る。
好きな人には嫌われたくない。
酒が笑っているから、笑う。
本当に今過ごしている時間は
笑えるのだろうか。
たまには、自分で笑ってみたいよ。
また一緒に笑うために。
このような生活になってから
触れる物が変わってきた。
より簡単に楽しめる
コンテンツに流れた。
読書の時間は減ってしまった。
夜。酔わずの僕と酔に身を委ねる僕がいる。
登場回数が不公平だった。
酔わずの夜を越える。
鐘の音に心踊ることを祈って。
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