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満ちていく

藤井風さんの満ちていくという曲を聴いた。

初めは優しいピアノ音が流れて
聴く側の気持ちに寄り添ってくれる感覚。

2番目からテンポは上がってきて
歌詞と一緒に体を包み込んでくる感覚。

自然な曲調がありがたかった。
いきなり盛り上がられると
耳と心がついていかなくなる、今。

下記の歌詞が切なくて。身体が動いた。

愛される為に
愛すのは悲劇
カラカラな心にお恵みを

満ちていく


両手の拳を眉間にくっつけて上を見上げて
膝を地面に落とし込んだ。お恥ずかしい。

稀に歌に呑まれる。全身で聴くスタイル。

この愛って恋人の間に生まれるものだけが対象じゃなくて
取り囲む人間関係や仕事や色々な事が当てはまる気がして。

その後、更にテンポが上がる。

顔を覆って膝を地面につけながら
首はテンポにのせて上下に揺らせる。

色々なことを考えて、涙流しながら。

最後の方になると今までをなぞる様に
優しいピアノからブラックミュージック?風に
ぐーっと下から上がってきてクライマックスに。

何かを捨てて悲しい気持ちも水に流して
軽い身体をピョンピョン跳ねさせながら
どこか分からない未来に進んでいるような。


歌詞は結局自分が聴きたい言葉だけを
拾っている気がするので理解しているのか
僕はよく分からない。好きに書いてみる。

いくつか何度か使われるフレーズがあって。

愛でていく


愛される為に愛すのは悲劇と言っていて。
そして、カラカラの心にお恵みを。と。

Give & Takeの概念を越えた表現が
愛でていく、なのかなと思った。

かっちりとした関係性じゃなくて
ふらりと歩きながら優しく触れていく。

立ち止まる事なく、流れの中に身を任せ
目に入る綺麗なものを愛でていく。

愛でていく、愛するより軽いが自由だ。


一番繰り返されるワードはこちらだ。

手を放す、軽くなる、満ちていく


人が鎧を着て動ける重さには限界があって。

人の大きさや力も個人差があって。

手放した分だけ、軽くなるのは分かる。

僕はこの曲を聴いて思うのは、勇気だった。

きっと勇気には色々な種類があって。

何かを得る為に振り絞る、勇気。
何かを手放す為に振り絞る、勇気。

この世界で僕が難しいと思うのは後者だ。

何かを獲得し続け社会は形成されてきたので
自身も何かを獲得し続ける事で合わせていく。

ただ、大小や価値に関わらず
獲得した物が鎧の様に重しにもなる。

MVのお爺さんは手帳に何か書き続けていて。

お爺さんは女性との美しい思い出をなぞることで
自身に染み込ませたかったのかもしれない。

出てくる女性は執着の対象を表している気がする。

決して、手放さず。最後に、筆を止めた。

過去を手放して、もう得ようとせず、流れた。

安らかな眠りを迎えた。

これも勇気だと思った。

彼に何が満ちたかは知らない。

ただ、愛でればいい。


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