石井強詞

『東京ウォーカー』『毎日が発見』(KADOKAWA)などの編集長を務め、大学生のデート…

石井強詞

『東京ウォーカー』『毎日が発見』(KADOKAWA)などの編集長を務め、大学生のデートバイブル誌からシニアライフスタイル誌まで幅広いユーザーへ情報を発信。昭文社へ移籍後、『○○県のトリセツ』シリーズ、『地図でスッと頭に入る○○』シリーズなどヒット作を手がける。現在フリーランス。

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死ぬまでにつくりたい10の本と埋名著(my名著)Prologue

 今年(2023年)からフリーランスとして、書籍編集に携わる石井強詞と申します。40年近くの版元生活を経て、残りの人生では、組織では企画できなかった本をつくるつもりです。  仕事柄、制作した本の売れ行きを確認するため、出先の近くにある書店には必ず寄るのですが、新横浜の「三省堂書店」が閉店していたのには驚きました。日本の書店数は出版科学研究所のデータによれば、2003年の2万1000店弱から2022年の1万1000店強まで、20年間でほぼ半減しています。  流行作家とはよく

    • 死ぬまでにつくりたい100の本と埋名著=my名著 Epi.9 中堅出版社の生き残りをかけた闘い 次の一手を模索する編集者たちへの愛しき思い

      昭文社のイメージカラーから脱却するため悪戦苦闘した日々  定年1年前にKADOKAWAを退職したのは、昭文社のS社長に移籍を打診されたからでした。S社長に「昭文社を普通の出版社にしたい」と言われ、不完全燃焼のまま燻り続けていたのが、ふたたび燃えさかるような気持ちになりました。  地図や旅行ガイドブックの老舗として数多くのブランドを持つ昭文社は、紙媒体への依存から抜けきれず、情報源としての存在価値をインターネットに奪われ、電子書籍など自らのウェブ戦略にも出遅れ、ご多分にもれ

      • 死ぬまでにつくりたい100の本と埋名著=my名著 Epi.8 権力奪取に血道を上げる自民党総裁選の民意なき三文芝居

        イカサマ賭博の自民党総裁選と、アメリカ大統領選の矛盾  日本は法治国家です。日々の生活を営む上で規範となるルール、即ち法律に守られた社会です。その法律は、立法府である国会において、衆議院議員と参議院議員が提案・審議します。法案を可決するのに必要充分な議席数を持つのが、与党である自由民主党です。  国会議員によって首班指名される内閣総理大臣も、衆参ともに過半数の議席(2024年8月現在)を持つ自民党に主導権があります。必然的に自民党の総裁、つまり一政党のトップが総理大臣にな

        • 死ぬまでにつくりたい100の本と埋名著=my名著 Epi.7 100歳が射程圏内に入った食文化エッセイストが、現役で働き続けるため心がける誰もが実行可能な食生活

          御年92歳、永山久夫さんの新刊を編集しました  NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる!』で、食べもの関連のコメンテーターとしてもっとも登場回数の多い永山久夫先生。長年食文化史研究家として活躍され、著作もたくさんありますが、最新刊『食べて、100歳 サプリメントより滋養食』(きずな出版)を刊行されました。  https://x.gd/QsbpF  古巣の版元時代から知己を得ておりましたが、ようやく編集のお手伝いをさせていただいたのがこの新著です。今年(2024年)92歳

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        死ぬまでにつくりたい10の本と埋名著(my名著)Prologue

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          死ぬまでにつくりたい10の本と"埋名著" =my名著 Epi.6 都知事選の武蔵と小次郎

          小池百合子と蓮舫の〝巌流島対決〟で盛り上がる東京首長選    今年(2024年)後半は、東京都知事選(7月)、自民党総裁選(9月)、アメリカ大統領選(11月)と、日本の将来にとって重要な選挙が続きます。  7月7日の東京都知事選は、新聞やテレビなど各メディアが〝七夕決戦〟と煽り、現職都知事の小池百合子と参院議員から急遽出馬表明した蓮舫との〝元キャスター対決〟の構図に仕立てます。  小池は自民党と公明党、蓮舫は立憲民主党と共産党、それぞれの出身母体の支援を受け、保守VS革

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          死ぬまでにつくりたい10の本と"埋名著" =my名著 Epi.5 反権力を貫いた松浦総三

          体制側を利する中立を批判し、反戦を唱え続けたジャーナリスト  この『note』への投稿タイトルにある「埋名著=my名著」には、世間では忘れ去られているけど、もう一度光を当てたい〝埋もれた傑作〟という思いを込めました。ひとりよがりで私的なセレクトかもしれませんが、いままで心を突き動かされた作品、即ち〝自分にとっての名著〟という意味もかけています。ただ多少意識しているのは、同時代をともに生きる人々が直面する問題には、複雑に絡み合う過去の因果関係があり、連綿と続く時間軸を振り返る

          死ぬまでにつくりたい10の本と"埋名著" =my名著 Epi.5 反権力を貫いた松浦総三

          死ぬまでにつくりたい10の本と埋名著(my名著)Epi.4 森村誠一と奥の細道

          松尾芭蕉の道行を追い求め、東北、北陸をめぐった日々  昨年(2023年)7月、90歳で逝去した作家・森村誠一を偲ぶ会が、2024年4月16日、東京紀尾井町のホテルニューオータニで開かれました。かつて森村先生に同行して、俳文学史に輝く松尾芭蕉の紀行『おくのほそ道』の足跡をたどったのは、2011年の「東日本大震災」が起きる前でした。  この旅の目的は、俳句にも造詣が深く、句作に画像を添える『写真俳句』を提唱・実践してきた森村先生が、芭蕉の道程を現代の視点で追体験しながら創作活

          死ぬまでにつくりたい10の本と埋名著(my名著)Epi.4 森村誠一と奥の細道

          死ぬまでにつくりたい10の本と埋名著(my名著)Epi.3 水丸さんとの約束

          民藝の里めぐりを連載、最終目的地はセント・アイブス  安西水丸さんが逝ってから、今年(2024年)3月で10年が経ちました。私が担当していたシニア女性向けライフスタイル誌『毎日が発見』の表紙を2年にわたり描いていただき、打合せにかこつけては水丸さんの事務所があった北青山界隈で、よく夕食をご一緒しました。  表紙だけではなく、不定期の特集記事にもお付き合いいただきました。タイトルは『水丸が行く!酔眼 慧眼 目利き旅 手仕事のニッポン 現代民藝の里巡り』。柳宗悦が推進した民藝

          死ぬまでにつくりたい10の本と埋名著(my名著)Epi.3 水丸さんとの約束

          死ぬまでにつくりたい10の本と埋名著(my名著)Epi.2 竹中労の〝一発筆誅〟

          夢だった芸能ジャーナリズムの世界へ足を踏み入れた20代のころ  無頼な生き方にあこがれました。複雑な家庭環境から逃げたかった10代のころ、東京の山谷で日雇労務者になろうと思い、職安に相談したら「きみの行くところではない」と諭され、仕方なく別の仕事に就きました。皮切りは夕刊紙の三行広告の営業です。古びたビルの一室にあった小さな広告代理店で宇崎竜童似の胡散臭い社長から電話勧誘のコツを仕込まれました。他にも書店員や大手就職情報誌の営業外回り、スポーツ新聞の整理部記者など職を転々と

          死ぬまでにつくりたい10の本と埋名著(my名著)Epi.2 竹中労の〝一発筆誅〟

          死ぬまでにつくりたい10の本と埋名著(my名著)Epi.1 流行語の神様大宅壮一

          出版不況の一因となった老舗雑誌の相次ぐ休刊  昨年度(2023年)に休刊した雑誌は、Wikipedia「2023年の出版 出版関係の出来事」より拾いだすと、紙媒体だけで12誌ありました。  特に、日本最古の総合週刊誌として100年以上の歴史を誇る『週刊朝日』をはじめ、駆け出しの編集者・記者として所属した『週刊ザテレビジョン』など著名なタイトルが多く、感慨深いものがあります。  都市情報誌として一世を風靡した『東京ウォーカー』は、既に2020年に休刊しましたが、私が関わっ

          死ぬまでにつくりたい10の本と埋名著(my名著)Epi.1 流行語の神様大宅壮一