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『荒野の七人』:1960、アメリカ

 メキシコのイストラカン村は、カルヴェラ率いる山賊が来る度に食料を奪われ、苦しんでいた。長老は村人たちに戦うよう指示し、金を集めて銃を購入し、扱い方を誰かに教わるよう告げる。そこで村人の3人が代表して、町へ向かうことになった。

 町では老人の埋葬が行われようとしていたが、彼がインディアンだったため、町の掟で中止になっていた。だが、流れ者のガンマンであるクリスとヴィンが、逃げてしまった葬儀屋の代わりを引き受け、埋葬を阻もうとする連中を撃退した。

 村人たちはクリスに声を掛け、銃を購入する手伝いを頼む。クリスは銃を買うよりガンマンを雇うべきだとアドバイスを送る。クリスは村人たちに頼まれ、ガンマン集めを始める。それは、わずか20ドルで1か月半に渡って村を守るという仕事だ。

 早速、チコという若者が現れるが、クリスにテストされて立ち去ってしまう。クリスの親友のハリーが現れ、裏に大儲けのネタがあると勘違いして仕事を請け負った。さらに雑貨屋で働こうとしていたヴィン、続いてオライリーが仲間に加わった。

 さらに、銃とナイフの両方を使いこなすブリット、終われる身のリーも参加することになった。最後にチコもメンバーとなり、7人は何日も掛けて村へ辿り着いた。その翌日、彼らは祭りが行われている村に来た3人の山賊を退治した。

 クリスたちは村人に戦い方を教えて準備を整え、現れたカルヴェラたちを追い払った。山賊が再び村を襲う気だと知ったクリスたちは、先手を打って奇襲を仕掛けようとする。だが、その間に村人のソテロが山賊を呼び寄せ、クリスたちは村を追い出されてしまう…。

 監督&製作はジョン・スタージェス、脚本はウィリアム・ロバーツ、製作協力はルー・モーハイム、製作総指揮はウォルター・ミリッシュ、撮影はチャールズ・ラングJr.、編集はフェリス・ウェブスター、美術はエドワード・フィッツジェラルド、音楽はエルマー・バーンスタイン。

 出演はユル・ブリンナー、イーライ・ウォーラック、スティーヴ・マックィーン、チャールズ・ブロンソン、ロバート・ヴォーン、ブラッド・デクスター、ジェームズ・コバーン、ホルスト・ブッフホルツ、ホセ・マルティネス・デ・ホヤス、ウラジミール・ソコロフ、ロゼンダ・モンテロス、リコ・アラニス、ペペ・ハーン、ネイティヴダッド・ヴァシオ、マリオ・ナヴァロ、ダニー・ブラヴォ他。

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 黒澤明監督の『七人の侍』の翻訳権をユル・ブリンナーが買い取り、西部劇としてリメイクした作品。
 クリスをユル・ブリンナー、ヴィンをスティーヴ・マックィーン、オライリーをチャールズ・ブロンソン、リーをロバート・ヴォーン、ハリーをブラッド・デクスター、ブリットをジェームズ・コバーン、チコをホルスト・ブッフホルツが演じている。

 豪華キャストが揃っているようにも見えるが、公開当時に映画スターだったのはユル・ブリンナーぐらいのもので、マックイーンでさえTVドラマで人気が出た頃であった。つまり、これは決してオールスターキャストを売りにしたような作品ではなかったのだ。
 当時の西部劇といえば、白人ガンマンがインディアンを退治するというのが主流だったわけだが、この作品では敵がメキシコの山賊であり、退治する側もガンマン(しかも1人や2人ではなくグループ)だけでなく、農民も共に戦うという形になっている。

 クールにリーダーシップを発揮するクリス、テンガロンハットを触って自分をアピールするヴィン(というかマックイーン)、子供達と交流を深めるオライリー、ダンディに決めているが恐怖に怯えているリー、金への強い執着を見せるハリー、ナイフ投げの技を持つジェームズ・コバーン、若くて血気盛んなチコ。
 7人のガンマンは、「誰が誰なのか分からない」というようなことは無く、キッチリと描き分けが出来ており、キャラが立っている。悪役のカルヴェラにしても、単なるやられ役に終わらず、ちゃんと悪役としてのキャラクターを立てている。

 正義感と義侠心によって行動するガンマンたちは、村を追い出されたにも関わらず、命を賭けて山賊と戦う。
 「勝ったのは農民だけだ」というセリフがあるが、ガンマンたちも勝利者のはずだ。それでも負けた人間として村を去るのは、アウトローとしての美学だろう。

 悲壮感や重苦しさ、暗いテイストは全く感じられず、明るいタッチで爽快感が強い。重い人間ドラマを無理に描こうとせず、泥臭い匂いも拒否して、カッコ良く決めるアクション映画としての面白さを徹底して見せようとしたのは正解だったと思う。
 また、この作品に対するエルマー・バーンスタインの音楽の貢献度は非常に高い。

(観賞日:2002年9月27日)

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