Jリーグのトラッキングデータをもとに簡単な分析をしてみた
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大につれ、小売店ではトイレットペーパー等の日用品の買いだめが起きている。新型コロナウイルスの感染防止のためには、冷静になって、「手洗い、うがい」を忘れず、きちんと食事をとり、よく眠ることも大切だろう。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、サッカーJリーグなどにも及んでいる。Jリーグは、3月15日までに予定していた全ての公式戦94試合の開催延期を発表している。
Jリーグの公式戦は開催が延期された一方で、SNSの公式アカウントでは# エア明治安田生命J1リーグの試合が開催されていた。
# エア明治安田生命J1リーグの鹿島アントラーズとヴィッセル神戸の試合では、ヴィッセル神戸のゴールキーパーである飯倉大樹選手が得点もする活躍をみせたようである。
現在、NHKのサッカー解説者を務める早野宏史氏が解説を行ったとしたら、「Jリーグのサポーターはコロナでも転ばないですね。転んだら、ゆっくり休んで起き上がります。素晴らしい頭脳プレイですね」と解説をするかもしれない。
本文中では2019年のJ1リーグのトラッキングデータをもとに、各クラブの特徴を簡単に分析してみることとしたい。
1. Jリーグのトラッキングデータをもとにグラフで可視化する
ここでは、Jリーグの公式ホームページの日程・結果にあるトラッキングをもとに、プログラミング言語である「R(アール)」を使ってコーディングを行い、2019年のJ1クラブの総走行距離やスプリント回数を可視化してみることとする。
R(アール)でコーディングを行う際、変数である総走行距離を「running_distance」、スプリント回数を「sprints」、得点を「goal_for」、失点を「goal_against」、シュート数を「shoot」、勝ち点を「points」としている。
まず、2019年のJ1リーグのクラブを最終順位の上位から順に並べ、総走行距離を可視化してみることとする。
1.1 総走行距離(km)の可視化について
J1リーグのトラッキングデータをもとに、総走行距離(km)を箱ひげ図で可視化したグラフが下図である。
グラフをざっと確認してみると、総走行距離の中央値は優勝した横浜F・マリノスが最も長くなっている。また、第3四分位数(75パーセンタイル)でみると、走るサッカーでも有名な湘南ベルマーレが横浜F・マリノスの次に長くなっている。一方、ボールを繋ぎ、ボールポゼッションを高めるチームスタイルである川崎フロンターレは、総走行距離はあまり長くないようである。
上位のクラブから順に総走行距離を可視化してみたが、走行距離の長さと順位にはあまり相関関係がないのかもしれない。しかし、上位のクラブは試合を支配することが多く、対戦クラブの選手を走らせることが多いと仮説を立てることもできるのかもしれない。Jリーグのトラッキングデータにはボールポゼッションが掲載されていなかったためグラフで可視化していないが、ボールポゼッションと総走行距離および成績には相関関係があるのかもしれない。
続いて、スプリント回数(時速24km)の可視化を行ってみることとする。
1.2 スプリント回数(時速24km)の可視化について
2019年のJ1クラブを最終順位の上位から順に並べ、スプリント回数(時速24km)を可視化したものが下図である。
総走行距離と同様に、スプリント回数でも優勝した横浜F・マリノスが最もよく走っているようである。一方、総走行距離はあまり長くなかったFC東京はスプリント回数が多いようである。これは、足が速い永井謙佑選手によるショートカウンターが成功していたためと考えることもできるのかもしれない。
近年のサッカーではゲーゲンプレスと呼ばれるハイプレスとショートカウンターによるチームスタイルが流行していた時期もある。ペップ・グアルディオラ氏がFCバルセロナで作り上げたチームスタイルとはまた異なるものかもしれない。4-3-3のウイングを活用したチームスタイルや足の速い選手を生かすには、カウンターは有効であるのだろう。
1.3 トラッキングデータの因子分析について
最後に、トラッキングデータをもとに、得点、失点、シュート数、総走行距離、スプリント回数、勝ち点を使って因子分析を行い、特徴の似ているクラブごとに可視化してみた。
その因子分析を行った結果が、下図である。
1:北海道コンサドーレ札幌、2:ベガルタ仙台、3:鹿島アントラーズ、
4:浦和レッズ、5:FC東京、6:川崎フロンターレ、7:横浜F・マリノス、8:湘南ベルマーレ、9:松本山雅、10:清水エスパルス、11:ジュビロ磐田、12:名古屋グランパス、13:ガンバ大阪、14:セレッソ大阪、15:ヴィッセル神戸、16:サンフレッチェ広島、17:サガン鳥栖、18:大分トリニータ
2. # エアJリーグだけでなくeスポーツは?
世界で盛り上がりを見せ、日本国内でも注目を集めているeスポーツ。日本国内のコンテンツ市場でも今後の成長分野として期待されているが、# エアJリーグだけでなく、そのeスポーツを使った企画も考えられるだろう。
たとえば、PlayStationの『FIFA』や『ウイニングイレブン』を使って、Jリーガーがオンラインで対戦部屋を作り、子どもとサッカーゲームで対戦する企画を実施してもよいかもしれない(ガチでやるのではなく、カジュアルにワイワイ楽しむ感じで)。
(上のツイートは私のプレイ動画ですが)協力プレイでチームを作って試合をすることも楽しいだろう。
3. おわりに
パブリックヘルスの観点からは、体調が悪い方が休みやすい社会にしていくことなども、中長期的には重要になっていくだろう(傷病手当金の活用等も)。
新型コロナウイルスの早期の収束を願いつつ。
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