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スウェーデン留学記#54 ドイツ料理spätzleを食す

ルンドでシェアハウスに住んでいる間、ずいぶんたくさんの各国料理をハウスメイトに教えてもらった。
その中の一つがspätzleというドイツのパスタだ。"パスタ"といえば真っ先に思い浮かぶのはイタリアなので、ドイツにも特有のパスタがあるのは驚きだった。
教えてくれたのはアメリと言う名のフランスとドイツ出身の女の子と、ヴィエラというドイツ人の女の子だ。私から餃子の作り方を教わったアメリはずいぶん喜んでいて、お礼に自分もドイツかフランス料理を教えてあげたいと言ってくれたのだ。ドイツ料理ならヴィエラも一緒に作りたいと申し出てくれたので、3人で料理会をすることになった。デザートは私がレモンメレンゲパイを作ることにした。

spätzleの作り方はいたってシンプルだ。まず小麦粉と卵と塩を混ぜて緩い生地を作る。これを適当な大きさにちぎって沸騰したお湯でゆでれば歓声なのだが、なにせ生地がゆるゆるなので適当な大きさにちぎるのが難しい。そこで用いるのが包丁とまな板だ。ゆるゆるの生地をそのまままな板の上に乗せ、端っこの方の生地から包丁で適当な大きさに切り、そのまままな板の上を滑らせて沸騰したお湯の上に落とすのだ。アメリとヴィエラはすいすいと生地を茹でていて、楽しそうに見えた。やりたそうにしている私の気配を察した二人は私にもやらせてくれた。ところが、これがなかなかに難しい。ゆるゆるだが弾力があるので、適当なところに包丁を入れても生地が伸びてくっついてくるのだ。だから、いい感じの大きさに切れない。苦闘している私を見て、アメリとヴィエラは楽しそうに笑っていたが「まあ、茹でてしまえば味は一緒だから大丈夫」とフォローしてくれた。

まな板の縁から生地を削り落とす
ゆであがって浮いてきた生地

ゆであがった生地は自然と浮いてくるので、それを回収して耐熱皿に入れた。不格好な芋虫みたいな形である。この不格好なパスタはチーズと絡めて食べるのが美味しいらしい。アメリたちは生地の上にチーズ、カリカリに炒めたオニオンとガーリックチップスを振りかけ、オーブンでしばらく焼いた。焼きあがったspätzleはこんがりチーズと絡まって美味しそう!

耐熱皿に投入
オーブンで焼成中
出来上がり!
チーズ乗せspätzle

いよいよご飯タイムだ。いつも通り、キャンドルに火を灯してムードを作る。グラスにワインも注いで、いざいただきます!
なるほど、生地はモチモチしててお餅のよう。そしてこの不揃いなspätzleに熱々のチーズがトロリと絡んでいて、塩気のバランスがちょうどよい。白ワインがグイグイ進む。表面はカリカリしていて、モチモチしたspätzleと一緒に噛んだ食感がたまらない。ドイツ料理って、ライ麦パンとソーセージのイメージしかなかったけれど、こんな美味しいものがあるなんて。

デザートのレモンメレンゲパイはパイ生地にレモン風味のカスタードクリームと、メレンゲを乗せてオーブンで焼き上げた。しばらく冷蔵庫で冷やすとレモンカスタードクリームの甘酸っぱさが引き立つ。
表面は焼いたメレンゲなのでサクッとしている。そして一口頬張ると、メレンゲがシュワっと口の中で溶け、その下の冷えて甘酸っぱいレモンカスタードクリームと混ざり合う。パイ生地は程よい塩気でザクザクしている。要はこれもとっても美味しかった。レモンメレンゲパイのレシピを考案した人は天才だと思う。

アメリとヴィエラとの料理会は終始楽しく、また開こうということになった。次はまた日本料理が食べたいとお願いされた。代わりにデザートは彼女たちが作ってくれるらしい。何を作ろうか、そして何を作ってくれるのか、また一つ楽しみが増えた。

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