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私が管理本部長だ! vol.18

兵どもが夢の跡 後編の2

私は、うまくタイミングを見計らって専務の部屋から自分の部屋に戻った。運良くそこは宴会場とはなっておらず、ただ静かに布団だけが6組並べられていた。

ホッとした私は、一番奥の布団に潜り込み、仰向けで目を閉じた。

・・・

・・・ギィ、バタン

入口のドアが動く音がした。
もう時間も時間だ。きっと宴会からの離脱者が来たのだろう。

「・・・から・・・いる・・」

「い・・・すね」

「・・う・・・とりあえず・・」

何やら小さな話し声が聞こえたが、私は狸寝入りを決め込むことにした。

そして、すぐに夢の中に飛ぼうとしていた私の意識は、布団の斜め下から少しずつ上半身に向かってくる違和感に移動した。

モゾモゾ

ん?

モゾモゾ

んん!?

私は、咄嗟に自分の掛け布団を引っぺがした。

「誰だ!?」

「・・・あ、起きちゃいました」

私の脇腹辺りに、ほぼゼロ距離状態でそこにいたのは川島だった。彼女は、ほふく前進の体制で私の布団の中に潜り込んで来ていた。

そして、

「ははは!ヒューヒューだな、高良川!ヒューヒューだな!」

私の足元で大きな笑い声をあげていたのは、下痢で戦線離脱したはずの社長だった。

*****

「社長!いったい何をさせてるんですか!?」

ひたすら笑い転げている社長は、私の問いかけに答えようとしない。

「川島さん!君も!こんなことしたらダメでしょう!?」

「だって~」

「だってじゃない!」

「社長が行けって言うんですもん・・・」

「・・・!社長!」

社長はヒィーヒィー言いながら、

「ははっ!川島が「高良川さんカッコ良かったぁ!」なんて言ってたからな。ちょっと気を利かせてみたんだ」

と言った。

「何にせよ、男の布団の中に女性を潜り込ませるなんて、言語道断です!」

「いや~、川島もノリノリだったぞ」

「はい、ノリノリです~」

「っ!」

もう限界だ。

「だとしても!社長はそれを止める立場でしょうが!!」

さすがの私もキレた。

が、社長はしれっとした顔で、

「大丈夫だ。ウチには『高良川』という優秀な歯止め役がいるからな。私はいつでもハメを外して良いことになっているんだ」

と言った。

「私、飲み足りないんですよ~」

川島は、もはや完全にただの酔っ払いと化していた。

「私~、今日はすっごくお手伝いしたと思うんです~」

いや、まあ確かにそうだが。。

そんな私たちを見ながら笑い転げている社長に無性に腹が立つ。

「高良川さ~ん、飲みましょうよ~」

川島が薄いピンクのショールを肩にかけ直した時、私は察した。
きっと、彼女はもう止まらない。

「・・わかりました。。。飲みましょう!今日はとことん飲みましょう!」

すべてをあきらめた私がそう発した時、社長の笑いのボリュームはとうとう最高潮に達したのだった。


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