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わたしの出産レポート

お産のレポートを書くかどうか迷った葛藤についてはこちらの予告編にて。

明日1才を迎える長女の出産レポート。
1年間私のスマホのメモ帳に大事にとってあった記録をここに記しておこうと思う。


2019年11月15日
出産予定日・娘誕生まであと2日

本格的な前駆陣痛が始まるものの、間隔が定まらない。

子どもが産まれたらallタクシー移動するからチャイルドシートはいらないと言っていたのに、暇を持て余したせいか突然不安になり、このタイミングでチャイルドシートを買いに行く。予定日を聞かれて「今日」と答えると店員さんが腰を抜かしそうになったことが忘れられない。

入院に備えて冷蔵庫の中を極力整理していたが、前駆陣痛がきても生まれそうで生まれないので、ヤケになって買い物に。買い物中に少しずつ前駆陣痛が重たくなっていき、時折カートにしがみつくような姿勢で立ち止まって痛みを逃す。


2019年11月16日
出産予定日+1日・娘誕生まであと1日

午前中に定期検診。
この検診で助成券を使い尽くし、次回からは手出しでの検診となる。(結果、翌日 産んだので助成券ぴったりで出産となった)
だいぶ重たくなってきている前駆陣痛を伝えて内診するも子宮口は1cm。こんなに痛くて1cmかと気が遠くなる。

午後。
入院叶わず、ガッカリしながらマタニティビクスへ。(医者は許可してくれたどころか「むしろ動いたほうがいい」と。)
教室中も前駆陣痛が。痛みでずっと座っていたかったが、動かないといけない辛さにメンタルはどん底。
帰り際、私の前駆陣痛に気づいた経産婦から「辛いよね、ずっと重たい生理痛みたいな感じだよね」と声をかけられて秒で泣きそうになる。

教室のあと、実母と洋食店で遅めのランチ。
自分でも引くほど大盛りの唐揚げ定食を完食。妊娠後期のドカ食いは我ながらすごかった。

帰宅後、号泣。
みんなが次々に「生まれましたー!」と報告する中、自分の陣痛間隔が定まらないことへの苛立ちがすごい。間隔定まらないわりに1回1回はかなり痛い。痛みが来るたびに辛くてしんどくて、メンタル限界で落ち込む。このとき前駆陣痛に48時間ほど耐えていた。イライラするので、何度も立ち上げていた陣痛アプリを開かなくなっていた。


夜22時・産まれるまであと21時間

お風呂上がりに夫とテレビを見ていると再び陣痛が。

スタントマンの舞台裏の苦労を紹介する番組で 映像がなかなか激しかったにも関わらず、ひとつも内容が入ってこないほどの痛み。
今度こそはと測ってみると陣痛4~5分間隔。前駆陣痛と本陣痛、圧倒的に違ったのは「陣痛が収まるタイミング」に気づけたことだった。
前駆陣痛はいつのまにか陣痛が収まっていて、陣痛タイマーを止められなかった。一方、本陣痛は30秒〜60秒くらいで痛みがぴたりとやむ。


産婦人科に電話。夫と準備して出陣。
いつでも準備万全にしていたはずだったのに、入院するする詐欺(前駆陣痛のせい)でいざというときに夫のスマホの充電は2%だった。

天候不良でもないのに、車のちょっとした振動が身体に響きすぎる。
そして車の中で10分間隔に遠のく陣痛。頼む今度こそ陣痛間隔安定して、と祈りながら到着。

病院のロビーには、朝の検診時には無かったクリスマスツリーが出ていた。
写真を撮ろうとしたらスマホのメモリがいっぱい。陣痛が来てしまうのも怖くて、痛みが収まっているタイミングでそそくさと診察室へ。

半年の通院でほとんど全員の助産師さんに会ったと思っていたけど、分娩室で出会った助産師さんは3人とも初見だった。検診と分娩は担当が違うのだろうか。もしくは夜勤の方だったか。

内診すると子宮口3cm、入院決定。
いつも15分ほどだったNST(ノンストレステスト)を40分ほど受ける。赤ちゃんは元気、あとは産むだけ。


2019年11月17日 【結婚1周年】
出産予定日+2日・娘 誕生

検査を終えて夜中1時。明け方7時くらいにまた見てみましょうとの判断。6時間も耐えるの!?と心細くなる。(※実際は21時間耐えることに)
早ければ17日午前中に生まれるでしょうと言われて結婚記念日じゃん??と舞い上がる。(まさか21時間略)

途中「お風呂入ります?」と聞いてもらったため、家入ってきたばっかりなんです、と。……と言いつつ、深夜3時に1時間ほどアロマ風呂を体験。とても気持ちよかった。最新設備が整った産婦人科で良かった。病院の入口でクリスマスツリーを撮ろうとしたらメモリいっぱいで撮れなかったことを思い出し、生まれたらメモリを気にせず写真もムービーも撮りたいと思い、お風呂でせっせとメモリをあける。


私がアロマ風呂に入っている間に、夫は分娩前室の床で爆睡。わたしはドキドキしたまま一睡も出来ないまま朝。



朝7時 生まれるまであと12時間

病院到着から6時間経過。
子宮口は3cm→4.5cmへ。…あれ?そんだけ?6時間ずっっっっっっと陣痛耐えたのに????痛みの体感としては子宮口全開(10cm)ではと思っていたのにとんでもなかった。でも、この4.5cmが大きいんだと助産師さんは励ましてくれた。考えてみたらこのときはまだTwitterを更新していたので、今思うとなるほど、と。(全開大でスマホなんか触っていられなかった)

朝ごはんを食べる。
分娩室用に超質素なごはん、ヨーグルトやらゴボウのスープやら。なんというか、今のうちに大便を出しておけの圧がすごいメニューだった。出産のときに同時に出てしまう人も少なくないらしい。このごはんのおかげで私は無事故()だった。


午前10時・娘 誕生まで9時間

助産師 交代。
夫と病院内をうろうろしたり。ところが痛みが来ると立っていられない・会話ができないほどの痛みに、病院内にいる他の家族が「大丈夫?」と遠めに見てくることに耐えられず、部屋の周りだけを何周もする。

10時を過ぎて2度目の風呂に入る。至極。陣痛は何気にけっこう重たい。お湯の中にいると不思議と痛みが軽くなる。お湯から上がった途端、腰から下が身体から分離しそうなくらいの痛み。水中で出産したら痛みは軽いのか?と根拠がありそうでないことをスマホで検索していた。



風呂からあがっていよいよ子宮口全開かと期待したが、子宮口は5cm。なかなか進まず。促進剤の提案を受ける。「使ってもいいし、使わなくてもいいです。使うと、大なり小なりリスクはあります」という。リスクありで早く産んで痛みとさよならするか、ノーリスクでもう少し痛みと耐えるか。迷っているうちに「時間(夕方)になったので、この時間からは促進剤が使えません」と言われる。少し気が遠のいたが、娘にリスクを負わせることが無くて良かったと思う。(※促進剤を使わないと母体が危険な場合もあるので、ケースバイケース、あくまで私の場合の話)


夕方16時・娘誕生まで3時間

「思ったよりお産の進行がゆっくりなので日をまたぐかもしれない」と助産師が引継ぎをしている。結婚記念日に産めると思ったのに、と謎に責任を感じてしまいまた泣きそうになる。このあたりから急激にお産が進む。

後で思うと、前駆陣痛→本陣痛も号泣後で、停滞したお産が一気に進んだのも泣いた後だった。泣きたくて泣いたというよりホルモンバランスが大暴走していたのかもしれない。


夕方18時・娘誕生まで1時間

陣痛の痛みの逃し方が分からないほど痛かった。一睡もしていないせいで今さら眠くなっており、ウトウトしては激痛で汗が拭き出しているような感じに。

正直どうやって分娩前室から分娩台まで行ったのか覚えていない。ただ、今のうちにトイレに行きますと分娩室のトイレに行き、激しくなりすぎた痛みで立ち上がれずトイレに引きこもり、助産師さんからの声掛けでようやく外に出た。そのまま分娩台にあがったのだろう。「自分で歩いていましたよ!」と言われた。言われたからには、あの痛みの中歩いたのだろう。

ちなみに、私の記憶ではこのトイレから出たタイミングは生まれる30分前くらいのことだと思っていたが、後で話を整合させていくと、1時間~1時間30分前くらいだったそうだ。


夜19時・娘誕生まで30分

19時、子宮口全開大。ようやく、ようやく。
「子宮口全開から2時間くらいで生まれますよ!がんばって!」と励まされる。ということはつまり21時くらいには、なんとか結婚記念日内に産めそうな希望が持ててきた。はじめは午前中のうちに産む予定だったのに、思ったより長期戦に。

文字通り「目から星屑が飛び散る」ような痛み。息をするのも息を吐くのも痛い。

「いきんでいいよ!」と言われる。人生で初めての出産、いきみ方など分かるはずもない。「うんちするときと同じ感じで!」。まさかのアドバイスだったが、私には一番的確なアドバイスだった。

一気に力を入れると、助産師から「ママのいきみが上手すぎて、ちょっと進みが早すぎる。産道が避けそうなのでオイルを塗って拡張します」と聞こえるが、体感としては産道なんかとっくに避けていると思っていた。陣痛の痛みを、「無麻酔で指の腹を切断する感じ」と言った人がいたが、まさにそれ。指は切断したことないけど。

それでも二度目・三度目のいきみで助産師からまさかの「お産が早すぎるので、会陰を切開します」と言われる。産道が裂けるのだと。ちなみに産道がどうなろうとも陣痛がとにかく痛い。

ここで初めて産婦人科医が登場。「会陰を切ります」と言われ、言葉絶え絶えに「麻酔とかいいので、切ってください!はやく!」と叫ぶ。今考えると肝が冷えるが、麻酔もなしに身体(産道)を切断されたわりに、痛みは感じなかった。感じないというより、陣痛のほうが格段に痛い。身体を切るより痛いってどんなだ。良く死ななかったと思う。


19時35分・娘誕生

結局促進剤を使うこともなく、日曜夜だったので無痛分娩もすることができないまま、完全自然分娩で娘を出産した。

子宮口全開から2時間と言われていたのに、いきみが上手(!?)すぎて30分で娘を産み落とす。

ちなみに、ドラマや映画では妊婦があおむけで足を立てていきんでいる様子が映っているが、私は痛みでどうにも上が向けず、横向きになりながらの出産だった。閉じた足に挟まって娘がつぶれてしまわないかと助産師に助けを求めた記憶があるが、なんとかフォローしてくださったのだろう。

娘は生まれて割と早い段階で産声をあげた。どんな産声だったかしっかり記憶に刻んでおこうと思ったのに、産み落とした瞬間私のほうが大声で泣いてしまい、声をかき消していたかもしれない(なんてこった)


夫は、生まれる直前に「だんなさん!ムービーの用意はいい!?」と助産師から声をかけられ動画を撮ろうとしてくれたが、夫の手を握っていた私はこの手を放してほしくなくて「動画なんていいから!!」と手を握っていた。なぜか、あの手を離されたらこの世と自分を繋ぐものがなくなるような気がしていた。生まれて初めて、自分の命をかけていたと今なら思える。


不思議なもので、娘を産んだ3分後、私は片手に娘を抱き、スマホのインカムで夫と私と娘の自撮りをしていた。助産師さんから「えっ、ママ、元気すぎじゃない!?」と。

どうしても撮らないと気が済まなかった。あんなに痛かった陣痛は出産と同時に無くなった。私の身体はどこでお産をインプットしていたのだろう。不思議。

2時間ほど分娩室で助産師立ち合いのもと家族で過ごし、怒涛の育児生活がスタートした。



一気に書いた。
メモをそのままコピペするはずが、だいぶ加筆修正を施した。

そのうちもう少し手直しに来るかもしれない。娘が昨日から熱を出しているので、ひとまず今宵はここまで。


日付が変わるといよいよ娘1才の誕生日。
乳児最後の時間を楽しみたい。

2020/11/16 こさい たろ


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