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良い時は「窓」 悪い時は「鏡」

良いことは窓を開けて仲間を称え、悪いことは鏡を見て自分を省みる。

偉大な企業について書かれた本『ビジョナリーカンパニー2』
ジム・コリンズの名作

多くのリーダー本が、偉業を成した1人のリーダーについて書かれているのだけど、この本は全米1435社の中から傑出した業績を長期間持続させることに成功した企業11社と、それぞれの業種で競合関係にある企業とを、詳細に比較・分析し”飛躍した企業の共通した特徴”を表出化させたもの。

つまり、誰か1人の話でも一瞬の話でもなく、1435社と長年のデータを元にした社会科学。
その中で、特に印象に残った優れたリーダーについての要件について少しご紹介。

大企業の経営者の話だと思わずに、小さなチームのリーダーや例えば自分に自信がなかったり、最近うまくいかないな〜と思っているリーダーのヒントにもなると思うのでぜひ。

謙虚さ+不屈の精神

飛躍を導いた経営者は、派手さやカリスマ性とは縁遠い地味な しかも謙虚な人物だった。
その一方で勝利への核心を持ち続ける不屈の意思を備えており、、カエサルやパットン将軍というよりは、リンカーンやソクラテスに似た思索する経営者であった。

偉大なリーダー(以下、第5水準の指導者)は2面性の典型例。
謙虚だけど意思は強く、控えめだけどとても大胆なのだとか。

??控えめでチームを成長させることができるなんて不思議ですね。


驚くほどの謙虚

第5水準の指導者は、徹底して謙虚であり、控えめで飾らない。これに対して比較対象企業の3分の2以上は経営者のがが強く欲が深く、この点が会社が没落したり低迷が続く一因になっている

偉大なリーダーは驚くほど謙虚で、自尊心の対象は”自分+偉大な企業を作る”という目的に向いている。

謙虚とは、
『広辞苑』によると、「謙虚」とは「自分の存在を低いものと客観的に見、相手の考えなどの中に取るべきものが有れば素直に受け入れる態度を失わない様子。
他にも
・つつましく控えめなさま。おごりたかぶらず素直なさま。
・自分を偉いものと思わず、すなおに他に学ぶ気持があること。

謙虚とは卑下とは違って、もっと成長できることが自分にはあるという自分への期待なのかもしれない。

私は、様々な年代の人とコミュニケーションをとるけれど、その中で一番私の話をメモしているのは60代のお医者さん。
「教えて〜。勉強になりました、ありがとう」と些細なこともよく言ってくださって、それにより私はもっと学びたくなるし、この人にはもっともっと協力したい、力になりたいと思ってしまう。

今まで関わったリーダーたちをみても、店舗売上のよいチームを作ったリーダーの多くが「謙虚」。ミーティング中も、たとえ入社したばかりのメンバーの意見であっても耳を傾け、採用する。

自尊心の的が”自分”にあれば、入社すぐのメンバーに店舗の改善案を貰えば自分のリーダーとしての能力が未熟なように感じ傷ついたり、防御したりするのだろう。けれども、自尊心の的が”自分+店舗の成功”であれば、傷つくよりも”店舗がよくなるヒントくれてありがとう”と素直に感じるのだと思う。

総じて、謙虚な人は「ありがとう」の感謝の言葉がとても多い。
そして、「ごめんなさい」もありがとうと比例して多い。


不屈の精神

第5水準のリーダーは、熱狂的と言えるほど意欲が強く、優れた成果を持続させなければ決して満足しない。偉大な企業への飛躍に必要であれば、どれほど大きな決定でもどれほど困難な決定でも下していく。
第5水準のリーダーは職人のように勤勉に仕事をする。見栄えのいい馬より濃厚ように馬に近い。

優れたリーダーは謙虚だから、なんでも仲間の意見を推奨するのかというとそうでもない。ゴールはチームの成功なので、妥協はしない。

とびきり優しいけど、とびきり厳しい人という印象で、こだわりにこだわるのが尋常でないというのは特徴だなと感じる。

そして、チーム全体にもその律を浸透させるために、異常なほどに自分に厳しい一面を持っている。

謙虚+不屈の精神というのはまさにそうで、謙虚だけど、一部分は異常なほどわがまま。

けれども、そういうリーダーって、一緒に働く仲間から見ると、”大切にしているも”が明らかなので、自由と責任の範囲が明確。

だから、チームも自律しているし創造的でいられる。



鏡と窓

第5水準の指導者は成功を収めた時は窓の外を見て、自分以外に成功をもたらした要因を見つけ出す。結果が悪かった時は鏡を見て、自分に責任があると考える。

比較対象企業の経営者はその逆の態度をとることが多い。成功を収めた時は鏡を見て自分の功績だと考えるが、結果が悪かった時は窓の外を見て責任を押し付ける。

幸運なことに、私のチームメンバーは偉大なリーダーのたまごが多かったと思う。

もちろん、この本に出てくるような大きな会社の経営者ではないけれど、3人の店舗の店長だって小さな経営者で偉大なリーダー。

そういう店長は販売員の時から、売上がよかった時に褒めても
「たまたま購買意欲のあるお客様が多くて」とか
「前回アドバイスいただいた〇〇を実践したから」とか
「メンバーの〇〇さんが途中フォローしてくれたので」と言う。

あまりにも非道なクレーム等ネガティブなことが起きても
「私が〇〇を事前にしておけばよかったです」とか、超ロング接客でお買い上げに繋がらなくても
「私以外の人が対応していても同じではありません。〇〇とか、〇〇とか、、(改善案)」と自分に矢印を向ける。

これは、評価面談の時にも分かりやすく現れる。

結果を出すリーダーは、半期の評価面談などでもポジティブな話にはたくさんの登場人物が現れ、ネガティブな話の時は自分の行動について話を進める

うまくいかないメンバーほどこの逆で、ポジティブは自分だけの登場、ネガティブはメンバーがたくさん登場してくる。

無意識なのだろうけれど、結局は日頃仲間と自分をどのように見て、どのように振る舞っているのかは、やはり”言葉”に現れる。


我々は当初、第5水準のリーダーシップやそれに近いものを探していたわけではないが、データの圧倒的な説得力によって、この概念に行き着いた。第5水準のリーダーシップは事実から導き出された概念であり、何らかの思想に基づく概念ではない。

そもそも、この本は偉大な企業について分析したかったので、リーダーシップというような抽象的なものを出す気はなかった様子。

けれども、実際にはデータで出てしまったから、業績とリーダーシップの相関があることが証明された。

しかしながら、この第5水準のリーダーであることは成功するチームのリーダーの要件であって、イコール成功とはならないわけだけど、
少なくとも私が見てきた謙虚で不屈の精神をもったリーダーたちは、人生の多くの時間を使う仕事に情熱を注ぎ、仲間に愛されとても幸せそう。

第5水準の指導者の要件を満たせるように努めることは、
人生を楽しむコツなのかもしれません。

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