掌編小説【うさぎ】♯毎週ショートショートnote
お題「運試し」「擬人化」
【うさぎ】(410文字)
初詣を終えて鳥居を出た僕の前に、兎が飛び出してきた。
「あたしを擬人化してほしいの」
「今年は君の年なんだから、そのままでいいじゃないか」
「毎年恒例の『運試し擬人化』なの。去年の虎さんは声をかけた人を食べちゃったから擬人化できなくてアウトだったのよ」
「アウトって、どうなるの?」
僕は興味をそそられて聞いてみたが、兎は悲しそうに首を横に振るだけだった。とりあえず、僕に声をかけたのが虎じゃなかった事に感謝すべきなんだろう