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肝試し美人化【毎週ショートショートnote】

とある肝試しイベントが人気だという噂を聞いた。
何でも、心霊スポットを一緒に巡ってくれるアテンダントが、とにかく美人揃いらしいと聞き、試しに申し込んでみた。

「こんばんはー」
「今日はよろしくお願いしますねっ」
集合場所のとある広い霊園の入口に行くと、確かに噂に違わぬ美しい女性ばかりが、ずらり待ち受けていた。
しかも、参加者と一対一で回ってくれるらしい。なんだ、最高じゃないか!

何組かを見送り、いよいよ俺の番だ。色白で黒髪長髪、自分好みの美女。夜の霊園に足を踏み出すと、すっと腕にしがみ付いてきてくれた。こんなサービスまでしてくれるなんて。
真っ暗な墓石の間を二人で歩きながら、浮かれた俺は彼女に尋ねてみた。

「なんでこんな仕事してるの?」
「欲しいものが手に入りやすいんです」
「え、そう?」
「ええ」

女は、冷たい手を俺の首に伸ばし、くすりと妖しい笑みを浮かべた。

「美しさを保つため、効くものを選んでいるんですよ。……人間の生き肝をね」

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