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【読書感想文】センス・オブ・ワンダーと山小屋クライシス【踏青工作室の本棚】

こんにちは!踏青工作室です。
今日は、最近読んでいる山や自然に関する本2冊について、胸に響いた内容をまとめてみました。


センス・オブ・ワンダー(レイチェル・カーソン)

レイチェル・カーソンと言えば、農薬による生態系破壊を訴えた「沈黙の春(Silent Spring)」が有名ですよね。私も子供の頃からこの本の名前を何度も耳にしてきました。
が、私が最初にレイチェルの本を読むことになったのが、こちらの「センス・オブ・ワンダー」。

読んでみると、レイチェルに勝手に抱いていたイメージとは全く異なり、詩的で美しく愛にあふれた文章にびっくり!これには、山の詩人と言われるレビュファの「星と嵐」に似た雰囲気を感じました。

私は田舎育ちで、幼い頃、周りを田んぼや畑、山に囲まれている時期がありました。ですので、このセンス・オブ・ワンダー(自然から”何か”を見出す感性)の考え方がすっと腹落ちし、非常に共感できました。自分に子供がいたら、特に幼少期には山に連れて行きたいなと思いますし、やはり情操教育は人間の芯となっていくんですね。

「教えなくても子供は自然から何かを感じとる。そして勝手に学ぶようになる」

この「センス・オブ・ワンダー」は短編で非常に読みやすく、何か機会があれば、誰かにおススメしたいと思う一冊になりました。

山小屋クライシス(吉田智彦)

コロナ禍で明らかになった山小屋の営業危機。そしてそれは国立公園の危機にも直結し、我々登山者は登山そのものができなくなるかも知れないー。

この本では、特に北アルプスエリアの山小屋と国立公園が今直面している問題がまとめられています。

日本では現状、山を管理する行政機関と法律、山小屋という建築物を管理する法律等が多岐に渡っており、しかも実態に即していないものだったりする上、費用の面でも山小屋が自主努力で登山道整備等の公益的な仕事に関わってきましたが、それが今限界を迎えているのだそうです。

制度管理者が分かれている上に、原資がない…。これ一体どうまとめていけばいいのよと読めば読むほど暗たんたる気持ちになってしまいました。

もちろん行政側には制度の改善や予算確保など多方面からのアプローチをして山を守っていってほしいと思いますが、一登山者としても考えを改めなければいけない時期に来たのかなと思います。これからは、自然は無料で享受できるものではないことをきちんと認識し(価値の再認識)、様々な費用(通行料、入山料、宿泊料)を負担していく必要があることを受け入れていかなければいけないのだろうなと思います(今までは見えなかっただけで、山小屋が負担してくれていた部分が大きかったのではないでしょうか)。

自分が自分の登山を守らないと、早々に北アルプスは歩けなくなってしまいそうで大変危機迫る内容でした。

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