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20歳の夏休み全部使って日本一周してみた(33:明石〜鳴門〜和歌山〜大阪)

第33日目

今日の明石の快活で快活クラブ6連泊目となりますが、暗闇の中23時近くなって見つけるオレンジ色の看板は見るだけで実家のような安心感を彷彿とさせてくれます。結局この旅では約40泊中の半分は快活泊となっています。1泊1500円のフラットシートを寝床に格安で旅行できるのも若いからこそできることなのかもしれません。

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その明石の快活を今日は割とゆっくりめに出発します。今日は舞子という明石海峡大橋の兵庫県側のたもとにある場所から高速バスに乗って、鳴門に渦潮を見に行きます。前日に四国を脱出し、本州で寝泊まりしていた理由はこの明石海峡大橋を渡るためでもあります。元々の予定では姫路の快活に泊まる予定でしたが、今日は青春18きっぷを使わないことを踏まえて、昨日のうちにJRで移動できる距離を長めに取り、姫路よりもさらに舞子に近い明石まで移動してきたというわけです。これで交通費が約400円安く済みました。

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明石と言えば明石焼きで、来る前からずっと楽しみにしておいたのですが、残念ながら今回は食べることができません。それは全て今から向かう鳴門の渦潮観光の難易度の高さが原因であります。今からその難易度の高さを説明します。

渦潮観光ができる徳島県の大鳴門橋にある「渦の道」という観光名所は海上45mの高さから渦潮を観察することができる施設であります。渦潮は常に発生し消滅することを繰り返しているのですが、干潮か満潮か、そして大潮か中潮か小潮で全く見応えが変わってくるのです。1番の見どころは鳴門海峡の徳島県側に発生しやすい干潮時の大潮を狙うととてつもなく大きな渦潮のスリルを体感することができるでしょう。渦の道のホームページを見れば潮見表というので、いつが見頃かを確認することができます。本日9月2日はというと中潮であり、満潮が15時半ごろで、干潮が8時半ごろとなっています。

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どうせなら近くで見たいので、干潮を狙って訪れることにしました。つまり8時ごろには舞子を出発し、9時に開館する「渦の道」に誰よりも早く入館すればよいのです。この行程が明石焼きを食べることを不可能にさせてしまいました。流石に朝7時台に明石焼きを提供しているお店はありません。それに前日の夜も23時に明石駅に到着しているわけですから、もちろん店も閉まっています。明石焼きはまた今度の機会にしましょう。早く食べたいなと思います。

ということで、舞子からバスに乗って淡路島を素通りし、鳴門公園口というバス停で下車します。予想していた通り、渦の道には1番乗りで入館することができましたが、渦潮の様子はどうでしょう。ん?まあ、たしかに渦を巻いていることは確認できますが、僕が事前に調べて見てきた渦潮とはかなり規模が小さいです。「んあー観光客来たから一応巻いといてやるか」程度のやる気のない渦潮たちです。紀伊水道と瀬戸内海を結ぶこの鳴門海峡に流れ込む海流によって生じる渦潮は、激しい時は直径20mにも及ぶ巨大な渦潮が発生するらしいです。また、海底の地形もこの渦潮が発生しやすい条件にさせているらしく、この場所は世界的に見ても渦潮が発生しやすい場所であるのです。

しかし、これもこの旅で学んだことの1つなのですが、人間、時間を潰すにはぼーっと水の流れを見てれば、時間は流れていきます。新夕張で6時間普通列車を待った時も、近くに流れる夕張川の眺めを見ていたら、時間の流れ方が早くなったように思います。見応えには劣るかもしれませんが、物凄い渦潮ができないかなと海の流れをずっと眺めているのもそれはそれで楽しかったです。

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この鳴門の渦潮を世界遺産へ認定させようとする動きがあるようですが、僕は一応世界遺産検定2級を持っているので、登録の流れくらいは覚えているのですが、世界遺産に登録されるために必要な条件が割と厳しくて、渦潮単体だけでは登録が難しいと思うのですが、どうなんでしょうね。最近は奄美も三内丸山も登録されてどんどん増えていくなという印象です。

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この渦の道、別に渦潮だけを見に来たわけではありません。土木建造物マニアの僕にはもう一つ、この大鳴門橋を別の角度で楽しむ視点を持ち合わせています。それがこちら、まずはこの写真をご覧ください。

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なんだ、ただの橋脚じゃないかと思った人、奥にある黒い大きな穴に違和感を抱いてください。何を通すための穴なんでしょう。実はここ、大鳴門橋を建設する当時は大阪から四国を経由して大分までを結ぶ四国新幹線を通す予定だった橋なのです。そう考えるとこの、渦の道という渦潮展望台はもともと作るはずはなかった観光施設であることも想像できます。たしかに妙に鉄道が走れそうなスペースが空いており、そこに遊歩道を設けている感が否めません。渦潮が楽しめなくても、このような幻の新幹線計画に妄想を膨らませてワクワクするのもこの観光地の楽しみ方の1つだと思います。

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大鳴門橋のたもとには日本一入館料の高い美術館である大塚国際美術館というのもありまして、いろんな世界の名画のレプリカを飾っていることで知られています。「夢ならばどれほど良かったでしょう」でもお馴染み米津玄師氏が以前、大晦日の紅白歌合戦でLemonを生中継した美術館でもあります。彼は徳島出身ですから、ここを中継場所に選んだのだと思います。

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10時半ごろに鳴門公園から鳴門駅へ向かう路線バスに乗って鳴門駅に向かいました。鳴門に着いたらぜひいきたいと思っていた「あそこ食堂」といううどん屋があるのですが、毎週木曜は定休らしく行けませんでした。久しぶりに曜日という概念に触れた気がします。駅の近くにある地元のスーパーで安い菓子パンを探しに行ったのですが、大体この手のスーパーは地元のおじいさんおばあさんの溜まり場となっていて、方言の訛りがひどく何を言っているのか全く聞き取れません。同じ日本にいるとは思えないほど別の言語に聞こえます。

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鳴門駅からは鳴門線で池谷駅、池谷からは高徳線で徳島へ向かいます。徳島県は47都道府県で唯一電気で走っている鉄道が存在しないことで知られています。沖縄県にはゆいレールが一応電気で走っていますから、カウントに入れるとして、この徳島県は全て気動車が運行しています。そもそも鉄道が高徳線と牟岐線しか走っていないのもそうなんですが。

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徳島から和歌山へ向けて運航しているフェリーが減便されていて13時に出た便の次が16時半の便となってしまうので、この徳島駅周辺で3時間ほど時間を潰さなければいけないことになったのですが、今日は再び大阪の高校の友達の家に泊まらせていただくことになっているので、身を整えるべくコインランドリーで一通り整えた後、大阪でたまたま合流することとなった、これまた別の高校の友達が、ただいま福岡から千葉に向けて郵便局の風景印を集める青春18旅行をしているので、サプライズで徳島の風景印をプレゼントしようと思います。フェリー乗り場まで向かうバス停の近くに郵便局があったので、せっかく会うならと思ってもらってきました。

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バスに揺られて20分ほどで南海フェリー乗り場に到着です。ここで購入する「好きっぷ」という切符は2200円で徳島から和歌山までの南海フェリー代と和歌山から難波までの南海電鉄代が含まれている極めてお得な切符です。これにて、船で入り、鉄道で出て、バスで入り、船で出るという四国旅行が終了です。元々は最初呉からのフェリーではなくしまなみ海道から入る予定だったので、自転車で入って、鉄道で出て、バスで入って、船で出るというアクロバティックな四国旅行になる予定だったのですが、まあ、もうこれだけ四国を満喫したので結果オーライです。

南海フェリーの船内は大広間的な空間にみんなが寝そべる雑魚寝エリアと座席シートがあるエリアの大きく2種類あり、僕は少しでも寝ておきたかったので眠りにつきました。和歌山港駅の乗り換えはフェリーのボーディングブリッジと改札が直でつながっている構造をしています。南海の特急サザンの普通席で1時間半揺られて難波に到着です。久しぶりに大都会の喧騒。エスカレーターは右側で立ち止まります。難波で友達と合流し、蓬莱551の肉まんを食べたら、一度行って見たかった「スーパー玉出」まで散歩して、そのトチ狂った安さを誇る大阪のドンキホーテ的な店内の雰囲気を味わって、高校の友達の家へ向かいました。

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もう大阪まで来ると家に帰ってきたような感覚がします。鹿児島や高知にいた時からは確実に東京に近づいていますから、それはそうなんですが、東京に戻ったら大阪も遠い土地のように思えてしまうんだろうなと思います。明日はゆっくり奈良と伊勢を観光しようと思います。

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