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面白すぎて買うことにした高い本「料理と帝国」

本はまずは図書館で探す。特に、高い本や、なんとなく気になっただけで、繰り返し読むことはなさそうな本はなおさらだ。
この本もまずは図書館で借りたが、面白すぎたのと、あまりに情報が多く、ゆっくり何度も咀嚼したいので買うことにした。

レイチェル・ローダン「料理と帝国――食文化の世界史 紀元前2万年から現代まで」

定価7,000円以上する本。画集、写真集などのジャンル以外で買うのは初めてじゃないだろうか。

簡単に言うと、あらゆる食文化が人間世界でどのように広がったのかを解説している、非常に分厚い本だ。

時代に合わせて変化していく食事・料理というものの役割は、社会や技術、政治経済の影響を強く反映している。そのため、時代ごとの社会システムが、教科書で事象を読むよりもくっきりと頭に入ってくる。歴史が今までにないくらい立体的な像を結んでいくのを体感した。食事というものは、その地代の世界観を本当によく反映しているのだ。

例えば、教科書でも習った日本の明治時代の食事の西洋化。いったい食事を西洋化することにどんな意味があったのか。実は、それは日本だけで起きた事象ではなかった。そして日本は見事にその中でも西洋化を実現した。その時、食事というものが果たした役割とは?

あるいは、フランス革命前夜。豪華絢爛なフランス料理たちは、どのように広がっていったのか。そして、それはどんな意味合いを持っていたのか。食事で「贅沢」をすること、美味いものを食べたいという欲を反映することが非常に強く批判され、宗教上の問題すら生まれた中でも、フランス料理が広がった理由は、単なる食欲によるものだけはなかった。その合理的な理由とは。

はたまた、どうして穀物食がこのように広がったのか。

単なる事象の紹介ならば、それは二次元的な情報に終わるが、身近な要素から、歴史を肌(舌)で感じて立体的な像を捉えられるということの快感と贅沢さ。そしてそれは、今がどういう時代なのかを客観的に知る手がかりにもなるだろう。

非常に良質な教養書だと思う。

買っちまった。

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