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【南米旅行116日目】2022年8月5日 いいからさっさと狂犬病ワクチンを打て!!! 〜ボリビア スクレにて〜


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まさかの2日間連続で犬に噛まれ、深夜に病院を三軒はしごするという衝撃的な一夜が明けた。前日に寝たのは2時半ぐらいだったので、さすがに目が覚めたのは7時半〜8時ごろとちょっと遅め。この日は金曜日だったのでCarmenは普通に仕事あるよなあ、着いてきてくれるかなあと内心ちょっと不安だったが快く着いてきてくれた。本当にありがたい。


この日Carmenの家で食べた朝食


寝不足状態でなんとかZoonosisに着いたはいいものの、病院の入り口前には犬が踏ん反り返っていた。


動物の傷専門病院に犬がいるの、最強に矛盾してると思いませんか。
しかも服着てるしどうやら飼い犬っぽいぞ。頼むからやめてくれ。


飼い犬・野犬にかかわらず、もはや全ての犬に対して恐怖しかない筆者



営業時間は平日8:00-14:00、土曜日9:00-10:00のみ
たまたま木曜に噛まれたから翌日すぐ来れたけど
土日にやられたら月曜まで待たないといけない



なかなかワクチンを打ってくれようとしない



結論から言うと、どんなに説得しても頑なにワクチンを打つのを拒まれた。


病院に狂犬病ワクチンが置いてあるのにもかかわらずだ。
そこら辺にある薬局にもワクチンは打っている、のに打ってくれない。
意味が分からない。
彼らが接種を拒む理由は主にこんな感じだ。


  • 野犬・飼い犬にかかわらず基本的にボリビアの犬はワクチン接種済み

  • 未接種の犬が狂犬病に感染してしまった場合、5〜10日で死んでしまうから今生きている犬が感染している可能性はほとんどない

  • 今すぐワクチンを打った場合お金がかかる。一旦噛んだ犬の家を訪問してその犬がちゃんとワクチン接種済みかどうか調べてからならタダで打てるから焦るな、しばし待て


今すぐワクチンを打たないと命にかかわる恐れがある、と何度主張しても同じ理由を繰り返されてしまった。基本的にCarmenが医師とやり取りしていて、話の流れから彼らにワクチンを打つ意思がないと分かると私は押し黙ってしまった。彼らになんとか納得してもらうような他の言い回しはないか?と頭の中を巡らせるも、何も思い浮かばない。やばい、こんなことしてる間にも狂犬病に感染しているリスクは一分一秒ごとに上がっている。さっさと打ってもらわないとなんのためにわざわざ病院に来たのか分からない。


ワクチンはすぐにそこにあるのだから箱から1本取り出してチクッとやってくれればいいだけなのに、なぜその気になってくれない?
ただワクチンを打ちたいだけなのに、なんでそこに至るまでこんなにめんどくさいやり取りをしないといけないの?


昨日に引き続き今日ものれんに腕押しの繰り返しだ。
私の脳内では、


もうこれ以上説得するのはめんどくさいから一旦折れてしまおう
VS
いやこんなことで諦めてどうする?自分の命に関わってんだぞ
もっとしつこく粘ってワクチン打ってもらえよ


というほぼ諦めに近い感情と、一方でまだ引き下がれない気持ちが闘っていた。せめてもの抵抗(?)として、駄々っ子のように「なんで打ってくれんのか理解できん」「こうして無駄なやり取りをしている間にも感染のリスクは上がっている」「金が欲しいんか?金ならいくらでも積むからさっさと打て」という主張を繰り返すしかなかった。実際にどれだけ相手に伝わっていたかはよく分からんが。


結局、私は彼らとの戦いに負けてしまった。


一旦諦めて薬局に薬をもらいに行く



彼らに飼い主の住所を教えるため、携帯の番号を教えてから病院を後にし、昨日Santa Barbaraで処方された薬を薬局にもらいに行った。
傷を消毒するための抗生物質らしき薬は二種類で159.60Bs(≒3,100円)もかかってしまった。
くそう、今回の治療にかかった費用全部飼い主に請求してやる!


Santa Barbaraで処方してもらった抗生物質


一応薬局にもワクチンは置いてあるので、金さえあれば自分で買って病院に持って行って打てと言うことはできる。(実際に打ってもらえるかどうかはともかく)もう自腹でワクチンを手に入れて医者を脅して強制的に打たせるしかないか、と思って買おうとしたがCarmenに止められた。


自分で買って病院に持って行ったところでどうせ彼らは打ってくれない。
彼らが飼い主の家を調査してからなら病院でタダで打ってもらえるから、ちょっと待って様子を見た方がいいよ。


ちなみに薬局で買った場合、ワクチン1回分につき約300Bs(≒5,800円)する。病院にもよるけど、日本で打った場合1回分で13,000円〜15,000円ぐらいするので日本よりは安い。日本のワクチンは最低3回、ボリビアのワクチンは最低7回打たないと効果が出ないので、トータルコストで考えるとほとんど差はないけど。


Zoonosisの診断書


Zoonosisでもらった薬のメモ
左:狂犬病ワクチン
右:抗生物質



薬局でもワクチンを買わずに終わってしまった。



ああ、私のばかやろう。自分がもっと気が強かったなら病院でもCarmenに対してももっと強い姿勢を取れたのに、元々気が弱いせいで大して強い主張もできずに彼らの言いなりになってしまった。この時ばかりは自分の気の弱さを本当に恨んだ。


と、その時いきなり携帯が鳴った。
さっき番号を交換した病院の医師からだ。
私の代わりにCarmenが出てくれた。
どうやらもう一度病院に帰ってくるように言われたようだ。
なんでだろう、まだなんかあるのかな。。。


とうとうワクチン接種に成功!!!


結論から言うと、病院に帰るなりあっさりとワクチンを打ってくれた。
え、今までのやり取りなんやったん?ぐらいのレベルである。


私のしつこい粘りが効いたが故なのかどうかは分からんが、ともかく1回目の接種に成功した!!!やった!!!これで少なくとも狂犬病に感染する可能性はかなり軽減できるはずだ。心からホッとした瞬間だった。


さっきも書いたけど、ボリビアのワクチンは最低7回打たないと効果が出ず、この日から毎日病院に来ないといけない羽目になった。が、自分の命のためには仕方がない。
※あくまでボリビアのスクレで私が行った病院の場合です。病院や地域によって接種回数は異なると思うので、その都度事前に医師に確認が必要です。


昨日からずっと不安定だった心が嘘のように、晴れ晴れとした気持ちで病院を後にした。ここで私はCarmenに初めてちゃんとお礼を言うことができた。ワクチン接種までこぎつけることができたのは、ひとえに彼女のおかげだ。きちんと感謝の気持ちを伝えないといけないと思いつつ、ワクチンを打つまではずっと不安でなかなか上手く言葉が出てこなかった。


彼女はワクチンを打つ必要があるという外国人ならではの考え方も、ワクチンなんか必要ないというボリビア人の意見もどっちも理解してくれていた。
一旦病院を出た後で、彼女にどうしてもワクチンを打ちたいと主張したところ、

「あなたの気持ちはよく分かる。でもボリビア人は基本的に犬に噛まれた後ワクチンを打つという概念がないんだ、だからこそお医者さんはああやってあなたの主張が理解できずに拒むの」と言っていた。


これはあくまで私の想像でしかないが、もしかしたら彼女は両方の気持ちが理解できるが故にその間に挟まれてしんどい思いをしていたのではないか。どうしてもワクチンを打てないという医師に対し、一方で何がなんでも打てと主張する訳のわからん日本人。そんなめんどくさい状況によく付き合ってくれたなと思う。


ワクチンを打った後Carmenの家で食べたお昼ごはん
何故か全身に沁みた



こうして私は無事狂犬病ワクチンを打つことができた。
ここで言えることはただ一つ。



Carmen、本当にありがとう!!!


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