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フグタ社長業務日誌【あと4話】『一夜明けて』

このシリーズは2007年9月~2008年9月までの1年間にわたる、福田康夫総理の「首相動静」を基にしたフィクション(パロディ)です。
※いよいよ9月、局面は最最終盤へ。退任までの慌ただしい動静を追いかけます。さてフグタ社長の命運はいかに・・・?。(巻10は自2008年8月1日~至9月X日)

フグタ社長業務日誌(巻10-5):9月2日(火)

 昨夜は私の通夜だった(記者会見のことです・秘書注)。
 以前から「脳死状態」だの「死に体」だの言われ続けていたが、とうとう死んだ、ということか。
 通夜の席で、一人場をわきまえない無礼者がいたので、蹴りを入れておいた。「おめえとは違うんだよ」(心の声です・秘書注)

 一夜明けて・・。妙に清々しい目覚めである。
 朝から、辞任の事情説明。グループ本部で役員会、会社に戻って取締役会。どこでも言われるのは次のようなこと・・、

 「なぜ、突然の辞任なのか?」
 そう言われてもねえ、「突然でない辞任」なんてないでしょ。たとえば1ヵ月前に「何月何日に辞任します」と発表すれば、結局その発表した日が「事実上の辞任」とかなるわけで。それに社長が辞任するのが分かっていたら、まともに仕事しないでしょ、みなさん。

 「辞めるのは無責任だ、なぜ最後までぼろ雑巾になっても全うしないのか」
 あのね、いつ辞めるのか、今すぐ辞めろ、まだ辞めないのか、とわあわあ言ってたのは誰なのかね。それが、いざ辞めると「辞めるのはおかしい」ってねえ・・。

 まあいい、済んだことだ。
 どうせ、みんなすぐに忘れる、すべては「ひとごと」である。

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注:
新聞各紙はさらに引き続き畳みかけるように叩きつける。「打落水狗(=溺れる犬は石もて打て)」という故事どおりである。
いわく
「自民党には〝与党ぼけ〟がある。人材を育てる力が劣化している」
「二代続けての政権投げ出しは、世襲議員の増加による指導者にふさわしい人材の枯渇をはじめ自民の政権担当能力の限界などを露呈した」
「麻生幹事長にバトンを渡すことで、差し迫った衆院の解散・総選挙を有利に運びたいというのが福田首相の本音だとしたら、それは政権党の姑息な延命策にすぎない」
「潔く下野して野党に政権を委ねるのが筋である」・・・などなどだが、その後、1年ほどで自民党は潔く下野する。これはこれで新聞各紙はさぞ驚いたと思う。
※『フグタ社長業務日誌:一夜明けて』は、ブログ『tanpopost』に2008年9月3日 付けで掲載したものです。


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