フグタ社長業務日誌【あと4話】『一夜明けて』
フグタ社長業務日誌(巻10-5):9月2日(火)
昨夜は私の通夜だった(記者会見のことです・秘書注)。
以前から「脳死状態」だの「死に体」だの言われ続けていたが、とうとう死んだ、ということか。
通夜の席で、一人場をわきまえない無礼者がいたので、蹴りを入れておいた。「おめえとは違うんだよ」(心の声です・秘書注)
一夜明けて・・。妙に清々しい目覚めである。
朝から、辞任の事情説明。グループ本部で役員会、会社に戻って取締役会。どこでも言われるのは次のようなこと・・、
「なぜ、突然の辞任なのか?」
そう言われてもねえ、「突然でない辞任」なんてないでしょ。たとえば1ヵ月前に「何月何日に辞任します」と発表すれば、結局その発表した日が「事実上の辞任」とかなるわけで。それに社長が辞任するのが分かっていたら、まともに仕事しないでしょ、みなさん。
「辞めるのは無責任だ、なぜ最後までぼろ雑巾になっても全うしないのか」
あのね、いつ辞めるのか、今すぐ辞めろ、まだ辞めないのか、とわあわあ言ってたのは誰なのかね。それが、いざ辞めると「辞めるのはおかしい」ってねえ・・。
まあいい、済んだことだ。
どうせ、みんなすぐに忘れる、すべては「ひとごと」である。
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