フグタ社長業務日誌【とどのつまり】『辞任表明』
フグタ社長業務日誌(巻10-4):9月1日(月)
8/29(金)。久しぶりに南青山のアントニオに行く。秘書たちと夕飯を食べる。
「来週から9月ですねえ」と秘書が言う。
「そうだね・・」と私。
夏休みが終わってしまう・・、もの悲しいちびまる子ちゃんのような心境だ。洞爺湖に行って遊んだり、生でオリンピックを見たり、それなりに楽しかったことを思い出している。
8月30/31の土日は社宅にいて、書類の整理をしたり夕食会をしたり、夏休み最後の日を静かに過ごす。
9/1(月)。2学期だ、ではなく今日は「防災の日」。
朝早くから会社では本社の防災訓練に参加。その後、大阪で防災イベントがある。10時半過ぎに会社を出て羽田へ向かう。社有機で行くという。
「あれ?」
「あれ!」
秘書が指さす先は、軽自動車のようなU4。北京に行ったときに乗った小さなやつだ。
「ガソリン代が高いんすよ、だから節約で・・」
「伊丹?」
「関空。発着回数が足りないから、関空に降りてくれって。ハシシタ支社長から言われてるんすよ」
午後0時34分、関西空港着。
イベント会場に行く車が迎えにきた。中古の白いクラウン。
え、レクサスじゃないの?
現場はハシシタ支社長が仕切っている。腰掛ける椅子を勧めてくれたり、いろいろ気を遣ってくれるが、「防災の日」というより「敬老の日」のイベントのようでもある。
関空から羽田へ。帰りの機内で作業着から背広に着替える。
私、クールビズも作業着も似合わない。
作業着姿になったとき、東北の地震現場に見舞いに行ったことを思い出した。
そこで言われたこと、
「やることが遅い」 「何の役にも立たん」 「お前なんか、いらん」・・。私の中で、何かがぷっつりと切れた。
羽田着午後4時10分。
マチムラ君とアソ専務に、6時に社長室に来るよう伝えてある。1時間ほど話す。
「辞めようと思う」
その瞬間、二人はすぐさま段取りを決めて出て行った。まるで葬儀屋のようだった。
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