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フグタ社長業務日誌『夜の反省会』

このシリーズは2007年9月~2008年9月まで1年にわたる、福田康夫総理の「首相動静」を基にしたフィクション(パロディ)です。※巻1は自2007年9月24日~至10月30日。

フグタ社長業務日誌(巻1-9):10月7日(日)

 土曜日(10月6日)は一日中、家にいた。会議で英語のスピーチをするので、本当はその練習をする心算だった。ところが実際は、昨日秘書(息子だ)と行ったイタリア料理店で、少しワインを飲みすぎて二日酔いである。これが失敗の基となった。

 本日7日6:47、日曜だというのに早朝叩き起こされて自宅を出る。7時過ぎの「のぞみ」に乗らなくてはいけない。京都に行くのだ。仕事だ。観光ではない・・。
 10:16、会議場着。わが社が協賛しているイベント「科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム」に出席。英語で開会スピーチを行う。
 若い頃2年間アメリカ駐在をしていたこともあり、みんな私が英語ぺらぺらだと思っている。私もそのつもりでいた。ところが5〜6分の挨拶だったが、ほとんど原稿棒読みで、途中で何回かつっかえたりもした。少しショックを受けつつ帰京。

 秘書(息子だ)が「野沢の家に帰るんだったらシンヨコ(新横浜のことを若い人はこう言う)でも近いんじゃない?」というので、帰りの新幹線は、東京駅まで行かずに途中下車する。まあ、あまり変わらなかった。

 夕方、紀尾井町のグランドプリンスホテル赤坂で、昔から色々お世話になっている学校の先生と会う。先生はつい先ごろ米国から戻られたところである。
 あれこれ渡米談を聞いているうち、ふと先生が仰る。
 「そういえば今日、英語でスピーチされたそうですね。うまくいきましたか」
 「ええ、まあ・・」と、私は慌ててごまかそうとしたが、「聞いてあげますから、もう一度やってごらんなさい」となった。
 それから思いもかけず3時間半ばかり、みっちり反省会。
 22:58、グランドプリンスホテル赤坂発。(先生が帰られてから、とばっちりでこっちも説教されました・秘書注)。同11時21分、自宅着。

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注:
「科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム」略称STSフォーラム。世界に共通する科学技術と社会に関するテーマを扱う世界最大規模の国際会議である。年次総会は毎年10月に国立京都国際会館で開催される。120か国から約1,500名の科学者、政治家、企業経営者などが参加、首相が開会スピーチを行う。
「グランドプリンスホテル赤坂で会った米国帰りの学校の先生」は、五百旗頭真氏(当時は防衛大学校長)。首相の私的懇談会「外交政策勉強会」立ち上げにあたって座長就任を要請した。そのための打ち合わせを兼ねた食事会であった。
※『フグタ社長業務日誌:夜の反省会』は、ブログ『tanpopost』に2007年10月8日 付けで掲載したものです。


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