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フグタ社長業務日誌【あと2話】『次期社長公募』

このシリーズは2007年9月~2008年9月までの1年間にわたる、福田康夫総理の「首相動静」を基にしたフィクション(パロディ)です。
※いよいよ9月、局面は最最終盤へ。退任までの慌ただしい動静を追いかけます。さてフグタ社長の命運はいかに・・・?。(巻10は自2008年8月1日~至9月X日)

フグタ社長業務日誌(巻10-7):9月9日(火)

 わが社の内規によって、次期社長は社員公募で決めることになっている。
もっとも落とし所は、アソ専務の昇格で話が通っている。しかし、あまりスムーズに事が運びすぎると、「禅譲」だの「密約」だの、訳の分からんことを言い出す輩がいる。そこで、形式上、社員投票の結果決まったというカタチを取りたいわけだ。

 問題は次期社長候補者だ。誰もやりたがらないのもまずいので社内調整した。
 まずはアソ専務。口は曲げてもいいが、万一、ヘソを曲げられるとまずいので、誠心誠意、平身低頭でお願いする。

 あとはバランスで出てもらう。ただし、これも万一、アソ専務より人気があると困る。それなりに気を遣う。

 年寄り組からはヨサコイさん。理屈が多いのを勘違いして、理論派と思われている節もあるが、実態は単なる窓際派である。
 若手からは、東京支社長の息子さんで、マーケティング本部にいたイシヤラ君。彼はOLたちに人気はあるが実力はないので安心だ。

 同じく若手でオタク系のイシヤブ君。会社の応接室に大事に飾ってあった、軍艦のプラモデルを壊して謹慎中だったが、彼は妙なところで人気がある。まあ、賑やかしに入れておく。

 女性管理職にも登用のチャンスがある、というアピールが必要だ。
 環境美化主任だったコイケ君に出てもらう。ノダさんとかオブチさんのお嬢さんは、とかの意見も出たが却下。若かったり美人だったりすると、瓢箪から駒になりかねない。

 第二事業部のヤマモトが、「私も出る」と手を上げたが、同僚たちに「百年早い」とボコボコにされて泣いていた。どこでも勘違いする人はいる。

 ということで、10日から社内公募キャンペーンが始まる。社員の皆さんは、せいぜい、わくわくしていただきたい。

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注:
福田首相の後継を選ぶ自民党総裁選には麻生、石破、石原、小池、与謝野の5氏が立候補した。基本は出来レースなので、要は自民党頑張ってますよという一大PRキャンペーンである。したがって街頭演説会は東京、大阪だけでなく全国17か所で実施。キャラバン総移動距離は述べ11,000kmに上った。
思惑通り、どのマスコミも大きく選挙について報じた。特にNHKではニュース番組の大半の時間を割いた。いくら何でもやりすぎというクレームに「自民党のPRです」と説明したことで、後に責任者が謝罪する始末となった。
選挙は9月22日に行われ、麻生氏が難なく圧勝(351票)、第23代自由民主党総裁に選出され、自動的に第92代内閣総理大臣となった。
※『フグタ社長業務日誌:次期社長公募』は、ブログ『tanpopost』に2008年9月10日 付けで掲載したものです。


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