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ついに決定!超個人的!!2023年映画ベスト10!!!

新年のあいさつ


 皆さん遅ればせながら新年あけましておめでとうございます。今年も心の琴線に触れた作品についてつらつらと記事を書いていこうと思っておりますのでよろしくお願いします。
 私事ではございますが、2023年の12月30日から1月7日までインドの方に旅行に行っておりましたので本来なら年を越す前に投稿したかったのですが、このタイミングになってしまいました。
 さて、今回は私が2023年に見た映画の中からベスト10作品を発表し、ランキング形式で各作品ごとの感想など簡単に語っていこうと思います。※尚今回はネタバレを含んだ内容となっておりますのであらかじめご注意ください

2023年映画ベスト10

第10位『市子』

(C)2023 映画「市子」製作委員会

 第10位は『市子』 杉咲花演じる市子がプロポーズ受けた翌日に失踪してしまう。彼女を捜索していくうちに市子の過去が明らかにされていく。
 この作品で特に印象的なのが杉咲花の演技である。壮絶な家庭環境下で育ち全てにおいて絶望している表情が素晴らしい。さらに、終盤の平凡な幸せを掴んだときの市子はこれまでの苦痛がやっと報われたような穏やかな表情を見せ、観客としては「良かったねぇぇぇ」とジーンと来るのだが、ラストまで気が抜けないのがこの作品。市子の本性は一体どういったものなのか、ニュース速報は市子のことを報じていたのか、と見手によって解釈が異なるような結末を迎える。是非見た人同士で解釈を共有し考察して見てはいかがでしょうか。

第9位『月』

(C)2023「月」製作委員会

 第9位は『月』 この作品は2016年におこった相模原障害者施設殺傷事件が起こるまでを物語っている。障害者施設の劣悪な環境が恐ろしい程鮮明に描かれており、そこで働くヘルパーは善意や人間性といったものがじわじわと蝕まれていく。その結果、植松聖は45人を殺傷するに至った。
 主人公の宮沢りえが計画を実行しようとする植松を糾弾する際の植松による理論武装された反論は自らの無意識な矛盾を突かれているような感覚を受けた。
 今日ではかなり触れ難いテーマを扱い、観賞後感としては体力をごっそり削られたようにかんじたが、演技も申し分なく、クオリティの高さから非常に見応えのある作品である。

第8位『エンパイア・オブ・ライト』 

(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 第8位は『エンパイア・オブ・ライト』 私が映画館で映画を観る理由を代弁してくれたように感じた素晴らしい映画。港町に佇む寂れた映画館、そこで働いているのは少し訳あり、言い換えるならマイノリティな人々で、映画館はそういった人々を映画というフィクションで癒している。
 80年代初頭という時代背景だけでなんとも言えないノスタルジックさと最高の映像美は心に心にこないわけがないでしょう。
 今日ではサブスクサービスによって映画館へわざわざ足を運ぶ人は減っているので、そういう意味で映画館で映画を観る人というのは本当に映画愛に溢れた人なのではないでしょうか、もれなく私もその類の人間なので、この作品は私の映画ライフを肯定してくれているように感じた。

第7位『PERFECT DAYS』

(C)2023 MASTER MIND Ltd.

 第7位は『PERFECT DAYS』 役所広司のカンヌ国際映画祭主演男優賞作品ということから公開前からかなり話題になっていた。また、公開日12月22日と年の瀬にも関わらずベスト10に入ってくるなんて思っても見なかった。素晴らしい作品である。
 なんと言っても役所広司の演技である。無口なトイレ清掃員である彼は早朝から仕事へ出発し夕方に仕事を終えると銭湯へ行き居酒屋へ決まったメニューで一杯やり読書をした後就寝するという、完全にルーティン化された毎日を送っている。しかしそのルーティン化された中にも時折イレギュラーは発生し、それに対する表情の変化やほんの一言二言のセリフで多くを感じ取らせる素晴らしい演技であった。
 この映画はほとんど説明しない。なぜ彼は一人でこんな生活をしているのか、家族との関係はどう言ったものなのか。しかし考察の材料は各所に散りばめられておりそれを紡ぎ合わせるとなんとなくだが彼のバックボーンが見えてくるように感じる。
 個人的に大きなポイントなのが、決して貧乏人ではないということである。二階建てのアパートに車と駐車場まで持っており、実家も非常に裕福な家庭であることが作品を見てわかる。にもかかわらず贅沢はせずに質素な生活をしている点には「住んでいる世界が違う」というセリフがしっくりくる。
 彼の人生の終着点はおそらく孤独死である。しかし自ら選んだ生活の中から幸せを見出しそれに満足するという彼の生き方には羨ましささえ感じた。

第6位『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』

(C)映画「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」

 第6位は『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』 今日の10代から20代前半のいわゆるZ世代にはぜひ見てもらいたい作品。マッチョイズムから脱却し、己の弱さを認識すること、さらにLGBTQといったマイノリティに対しての抱擁である一方で、未だに社会は厳しくそういった考えの下では回っていないという現実を突きつけるようなリアリズムを感じた。そしてそのリアリズムが作品を単なる若者特有の"なぜなぜ"映画から社会に一石を投じる作品へとワンランク押し上げているように感じた。
 ぬいぐるみとしゃべるという行為や主人公の風貌からさまざまなメタファーを感じ取ることができるし、すでに見た人にはわかると思うがこのポスターだけでもかなりのヒントが現れている。
 若者にとっては自信を肯定してくれる素晴らしい作品になってくれるだろう、またかつて若者であった人にとっては新しい考え方を理解するきっかけとなってくれるだろう。 

第5位『ゴジラ−1.0』

(C)2023 TOHO CO.,LTD.

 第5位は『ゴジラ−1.0』 この作品に関してはすでに記事として投稿しているので是非そちらを読んでいただきたい。しかし、あえて一言いうとしたら、「実際めちゃくちゃ売れてるんだからみんなそこまで批判しなくてもいいでしょ」である。

第4位『世界の終わりから』

(C)2023 KIRIYA PICTURES

 第4位は『世界の終わりから』 紀里谷和明監督の引退作にして彼の作品に込めたメッセージが伝わる作品。世界の存亡が委ねられた少女、デマに踊らされる愚かな群衆、絶望的な世界にそれでも救う価値はあるのか。
 主演の伊藤蒼は『さがす』以来であったが、泣きの演技や悲惨な目に遭うキャラクターがどハマりで今回も素晴らしい演技を見せてくれた。絶望と極限の環境下で下した世界の崩壊という選択は彼女の境遇を考えると仕方ないとさえ思えてくる。しかしそれだけでは終わらないのが素晴らしいところで、崩壊した世界からの一筋の希望、破壊と創造で次元を超えたバッドエンド回避には本当にシビれた。紀里谷監督の世界に対する絶望が強烈に感じる一方でそれでも尚、この世界を捨て切ってはいないような考えを受け取った。監督引退作としてふさわしい大作であるが、今後彼の新たな作品を見ることができないと考えると残念でならない。

第3位『先生!口裂け女です!』

(C)2023 REMOW

 第3位は『先生!口裂け女です!』 「ここに来てまさかのB級映画かよ」と思う方もいると思います。そうです、B級映画です。しかもとびきりの。ビッグバジェットにはない創意工夫、高濃度の監督の趣味嗜好を感じてもらいたい。
 青春×ホラー×アクション=最強の方程式が完成してしまったこの作品。口裂け女との熱い友情、内臓飛び出るバトルアクション、痛快なラスト、エンドロールが終わったときに清々しい気持ちになれること間違いなし。
 白石晃士監督作品『コワすぎ!』シリーズには欠かせない工藤D役の大迫茂生が口裂け女をテーマとした本作に登場しているのは『コワすぎ!』ファンとしては思わず笑ってしまうポイントだった。

第2位『少女たちは卒業しない』

(C)朝井リョウ/集英社・2023 映画「少女は卒業しない」製作委員会

 第2位は『少女たちは卒業しない』 鑑賞後感の「これがエモいという感覚か…」と深くため息が出てしまうほどに食らってしまった。卒業式間近の浮き足立ちながらもどこか寂しさを感じるあの感じ、自分も経験したはずなのにどこか違う。リアルとフィクションの間を絶妙に描くことによってより多くの観客に共感してもらえるようになっているのではないか。
 10代の恋、アラサーへと差し掛ろうとしている自分にはもう経験できないみずみずしさには終始ニヤニヤしっぱなしで自分がおっさんになっているという実感がした。そして何と言っても一番の見せ場は「ダニーボーイ」のアカペラのシーンである。今まで散々過小評価されてきたキャラクターがここぞという時にブチかます、最高じゃないですか?
 本当に実在するかのような登場人物たち、誰もが経験したイベント、スクリーンに映る全てが美しく、そして切なさを帯びている。記号化されていない最大限の”エモ”がそこにはあった。

第1位『グリッドマン ユニバース』

(C)円谷プロ (C)2023 TRIGGER・雨宮哲/「劇場版グリッドマンユニバース」製作委員会

 栄えある第1位は『グリッドマン ユニバース』 この作品をあえていうなら、”普通”の一言に尽きる。普通の作品が1位を勝ち取った理由は最強の普通だからに他ならない。巨大ロボとヒーローが仲間と共に巨悪と戦い、OPソングをバックに勝利を掴む、それ以外に欲しいものありますか?いや、断じて否。
 やれ設定に無理があるとか、リアリティに欠けるとか、そういった意見がレビューするにおいて目立ちがちだが圧倒的な熱量の前にはそんなものは無に帰す。フィクションを愛する我々を最大限に肯定してくれる円谷プロ、TRIGGERにはリスペクトしかありません。
 2Dアニメ、特撮、実写という3つの要素を見事までに融合した大傑作。テレビアニメ版を見なければ話についていけないという点を除いてはほぼ完璧であるといっても過言ではない。事実、個人的オールタイムベストは確定である。 

番外編『悪い子バビー』

(C)1993 [AFFC/Bubby Productions/Fandango]

 番外編として2023年上映の旧作から『悪い子バビー』を紹介したいと思う。正直言うとこの作品は新作だった場合間違いなくベスト10に入る傑作であり同時に衝撃作である。
 35年半地下で毒親によって隔離生活を送ってきた男が世界に触れることで全てを巻き込んでいく。まさにライフイズビューティフル。悲劇的な生まれでもBIGなLOVEでハッピーエンドを迎えられる。出会う人々の優しさに胸が熱くなった。
 こんな素晴らしい作品をなぜ30年もの間日本で上映しなかったのだろうか、愛と皮肉がたっぷりと込められたこの作品を2023年旧作ベストとしたい。

まとめ

 いかがだったでしょうか、以上が個人的2023年映画ベスト10です。1位〜5位はすんなりと決まっていたのだけれど、それ以下のランキングは考えるのに非常に苦労した。というのも去年の映画は佳作揃いという印象が強く、どれも面白くはあるのだが、一つ頭抜けていると感じれる作品はなかなか出会えなかった。是非みなさんの2023年映画ベスト10も教えていただけたら幸いです。
 今年も貪欲に映画をみて記事の投稿を継続できたらと思いますのでよろしくお願いします。

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