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谷郁雄の詩のノート30

昨日、駅前のマツキヨにトイレットペーパーと歯磨きを買いに行きました。店内でキョロキョロしていたら、何やらカラフルなパッケージが目にとまりました。なんと、コン◯◯◯のパッケージではありませんか! 「いちばん気持ちいい恋をしよう」という詩の1行を思わせる言葉が大きく印刷されています。しゃがみこんでスマホで撮影するぼくはかなり怪しかったことでしょう。素敵なパッケージですが、この製品をレジまで持っていく勇気がある人は、それほど多くはないでしょう。この世は面白いものであふれています。(詩集「詩を読みたくなる日」も読んでいただけると嬉しいです)


「壁際」

人生に
壁際まで
追いつめられる
その日

君は
はじめて
その武器を
使うことになる

勇気という名の
まぶしい
一振りの剣


「祈り」

祈りは
どこにも
届かない

さっきの
ぼくの
祈りは

空に
届かず
途中の
電線に
ひっかかっている

それを
風が
からかうように
ひらひら
ひらひら
させている

祈りを
信じようと
思ったこともあった

やさしかった
友達が
志半ばで
他界するまでは


「パンクロッカー」

ご主人
お元気ですか?

あの人
昔はね
ライオンみたいに
おっかない人だったのに
年を取ったら
猫みたいに
おとなしくなっちゃって
日がな一日
寝てばかり
何を
思ってるんだか
たまには
散歩でもすればって
言うんだけど
めんどくせえよ
だって

あれでもね
若い頃は
パンクロック
やってたのよ
ギターぶっこわしたり
客席に飛び込んだり
いつ死んでもおかしくなかったのに
こんなに長生きしちゃってね
パンクロッカーは
長生きしちゃだめでしょ

好きな歌があったの
悲しくなると
一人で
口ずさむの
ねえ
聴いてよ
ちょっと
照れくさいけど

©Ikuo  Tani  2023


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