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【自由律俳句・鍋】腹に鍋のせてヨガマットで眠る

眠る家主を隣に鍋を凝視する

大学時代といえば鍋パだった。私は遠方から大学に通っていたので、友人宅での鍋パ後はよく泊めてもらっていた。そんな時私は、どうも人目が気になってしまい、みんなが寝てからでないと眠れない。

そして誰よりも早く目覚める。そして、粘度の高い鍋の残骸をひとりで見つめる朝の時間を過ごす。それが私の鍋パルーティーン。

桜色の鍋見つめて春を待つ

学生時代、友人宅にある鍋といえば、近所のホームセンターめいたところで買った1000円程度の薄グレーのような薄ピンクのような鍋だった。運が良ければ、主催者が中性的な男なら、少し気になる女子や、気になってはいなくともシンプルに可愛い女子とその桜鍋を囲むことができる。

しかし、チキンな私は特段何も行動に起こせやしない。ただ鍋を見つめ、手持ち無沙汰で何度か蓋を開けて煮え具合を確認するくらいである。

地獄と、気持ちばかりマイルドな地獄

かなり本場風の火鍋屋に来た。辛いのとマイルドなのと2色の出汁に分かれているが、しばらく食べ進めるともうどっちも辛い。タレも辛いし、口の中がそもそも辛い。うっすらマイルドの名残を感じる程度でもうどちらも同じだ。そして辛さを選べる時に調子に乗っているのか格好をつけているのかわからないが、たいていちょっと無理な辛さをチョイスしてしまう。それが私なのだから仕方ない。

腹に鍋のせてヨガマットで眠る

鍋パの後の雑魚寝では、スペースが足りないことだってある。もうどうしようもなければ、ちゃぶ台の下にヨガマットを滑り込ませてそこで眠る。腹の上に鍋があり、下にはヨガマットがある。眠りながらも食うのか運動するのか迫られているような心地がする。そしてむくりと起き上がったらそのまま残り鍋をこそいで食べるのだ。

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