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最適難度がいい感じ?

こんにちは。みなさん、妄想していますか?

 僕はラグビーが大好きなこともあり、いつもスポーツとビジネスの融合を妄想しています。スポーツをマネタイズすることではなくて、たとえばスポーツの強化システムをビジネスに活かせないかなーとか、そういう妄想です。実際仕事に応用できることってたくさんありますよね。今日はそんなお話です。


 近年いろんな企業で導入されてきた1on1(ワンオンワン)。上司と部下のひとり対ひとりのミーティングのことですね。この1on1を生かすか無駄にするかで、チームと、そして一人ひとりの戦力の進化が大きく分かれます。100と0くらい分かれます。


 そもそもこれ、みなさんは何のためにやっているでしょうか。部下と上司のコミュニケーションを活性化するため? そうですね、それは最低限ですし、言ってみれば、そんなのは1on1がなくても達成されているべきものです。そんなことにしか使っていないのなら、1on1というシステムを殺していると言ってもいい。


 僕は、1on1は、リーダーが部下の「最適難度」を見極めるためにあると定義します。


 たとえば部下がA君からZ君までいるとしましょう。A君からZ君まで、最適難度はそれぞれ違います。それぞれの最適難度を見極めて指事を出せるリーダーがいれば、間違いなくそのチームは伸びます。


 最適難度とはどういうことか?

 

 例えばこうです。僕の青春時代って体育会系根性論の時代でした。なので、

「お前たち、グランド10周走ってこい」

というふうに教えられたんですよね。でもたとえば、次のような指示を出したらどうでしょう。

「田中君、君は10kmを60分で走れるね。なので、今日は59分10秒でチャレンジしてみてください。どこのコースを走ってもいいです」

 この前者と後者の指示の違いがどういう差を生むでしょうか。

 まず前者は、「お前たち」つまり個人の名前を呼んでいないことからも、「俺の管理下の全員」を指します。その「お前たち」は、「俺の監視下のグラウンドを走ってこい」です。何も考えずに従え、というわけですね。なんという思考停止。


 かたや後者は、まずちゃんと田中君の名前を呼んでいる。人間ってやはり名前を呼ばれると心が開きますし、自分のことをちゃんと見てくれているという安心感につながる。


 そしてさらに、具体的な田中君の現在の能力(タイム)を言うことで、自分のことをちゃんと知ってくれているという承認欲求もクリアされます。


 そういう感じで信頼関係ができた上で、あなたは僕が見ている前で走るのではなくて、自分が考えるコースを走って来ていいよ、とさらに信頼されるわけです。マズローの五段階を、いまの会話の中だけでもひとつずつクリアしているとも言えますね。これは形だけのマニュアルではありませんよ。心がけです。こういうやり方をやっていると、その部下は確実に伸びます。


 部下の視点で考えて見ましょうか。

・今日はタイムを50秒縮めてみようかと言われた。どこを走ってもいいと言われた

 こうなったときに、タイムを縮めるために上り坂のないラクなコースを走ろうとするでしょうか。


 実は意外にも「否」なのです。人は信頼されると、信頼に応えようとするものです。きっと田中君はこの先もタイムを縮めるためには自分の何を鍛えるべきかを考えるでしょう。それをコース選択に取り入れるかもしれません。そして、提示された(最適難度の)ミッションをクリアしたときの爽快さは、想像に難くないはずです。がんばれば越えられそうな絶妙な難易度のミッションに立ち向かうとき、フロー状態というマジックタイムが訪れます。すごい力が発揮されて、ある種気持ちいいくらい夢中になれたりします。


 これはもしかしたら信頼からくる承認欲求にすぎないかもしれませんが、それでいいのです。最適難度をクリアする小さな成功体験の積み重ねこそが、自律する力を醸成していきます。

 

 上司のみなさん。部下とコミュニケーションを取り、相手の価値観や成長ペース、考え方、能力をきちんと把握しましょう。最適難度を考えてみましょう。それを一緒に考えるために、つくりあげるために、1on1を使いましょう。


 若いみなさん。自分の能力のちょっと先の目標をたててクリアしてみましょう。結構おもしろいですし、絶対あなたは伸びます。どんな仕事にも、あてはめることができます。


 最適難度で、進化を楽しみましょう!


                       田中安人



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