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見ることと考えることの歴史 第1章

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人間の思考の形は時代によって大きく異なる。 その思考の形を左右したのは、他でもない視覚技術の変遷だ。このマガジンでは、人間の見ることと考えることに関する歴史的な変遷を紹介していき…
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#視覚表現

1-6.正しい視点

1-6.正しい視点

その観点で、ここでもう一度、遠近法の話に戻ってみたい。ようやく、何故この話を遠近法の話からはじめたかが説明できる段階にきたからだ。

遠近法はレオン・バッティスタ・アルベルティが1435年の『絵画論』の中ではじめて体系的にまとめたことはすでに紹介した。ただ、この『絵画論』の中でアルベルティが遠近法を「正しい制作術(コンストルツィオーネ・レジティマ)」と呼んだことはまだ言っていなかった。

アルベル

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1-5.内実VS見かけ

1-5.内実VS見かけ

実験を重視した16世紀、17世紀のミュージアムにおいては、解剖学劇場での解剖の公開も含め、様々な実験が公開されている。もちろん、ミュージアムであるから、実験以外にも、珍品奇物を集めた展示自体も公開されていた。

ただし、公開された実験や展示のどれもがまともだったかというと、そうではない。
そもそも、ミュージアムが新しい知の体系をつくるための試作(プロトタイピング)の場という位置付けであったことはす

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