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ペルソナ作って設計するより、腹に落ちた考え方(スモールマス)を共有します

UI/UXデザイン領域で働いてる方にとっては馴染み深いモデル化手法のペルソナ。

サービス設計やUX設計の際にもよく登場するペルソナ。

僕はUXメインに仕事してましたが、
このペルソナってやつをずっと腑に落としきることができなかったんです。

もちろん、
作り方や設計時における意味、合意形成やチームビルディングに有益なことも知ってるつもりですし、実際にペルソナ作ってWebサイトやアプリをリニューアルやローンチしたこともあります。

が、いまいち、こなかったんですよね。ピンと。

そもそもペルソナとは

サービスを作る際にそのターゲットユーザとなる仮想のユーザー像のことです。
定量データ(アンケートやアクセスログなど)定性データ(インタビューや行動観察など)を基に作り出すため、担当者が勝手に作り出した虚像(架空の人格)ではありません。


もう少し言うと、代表的なユーザー像をより関係者みんなが共感しやすくするために、属性データに加え
・名前
・年齢
・家族構成
・普段の行動
・価値観や感情
も書き出していきます。

また、対象サービスに大小に合わせ、
プライマリやセカンダリのペルソナを用意すべくみんなで議論を深め、時間をかけて作り上げていくものです。

とはいえ、実際、現場作業レベルでいうと、
毎回毎回調査をしワークショップしながら作ってる時間やお金はないので、顧客接点の高い各担当者などからヒアリングして経験則からデータを補完して作り上げることも多いかと思います。

ペルソナは関係者の意見を取りまとめワークショップ形式で、一緒に作りあげていくものなので、関係者がその人格に共感しており、合意形成が容易になります。そして、その恩恵は過去にいっぱい受けてきました。

ありがとうペルソナさん。

そして、作ったペルソナからカスタマージャーニーマップを作り上げて、ペインから理想のジャーニーマップを作り上げて、プロトタイプ作ってテストを繰り返し磨き上げていく。

そして、ついにペルソナが使ったときにエラーがなくなったページをリリース!

だけど、かけた労力に見合わないビジネスインパクト…

でも、みんな愛着湧いちゃってるので作られたペルソナは否定されることなく、ABテストで改善されていく…

そんなところが、なんか腹落ちしなかったんですよね。

出会った新しい考え方

それは、スモールマスというものです。

スモールマスとは、ヘルシアで有名な花王さんが提唱するマーケティングの考え方です。

「情報化社会の浸透により情報が多様化しておりマス市場が縮小し、スモールマスと呼ぶ一定の規模を持つ市場が数多く生まれている」といった現代社会の状態を前提とした考え方のようです。
なので昔のTVCMのようなマスマーケティングよりも個々のユーザーニーズや悩み、希望などに特化したものから一旦セグメントした上で、的確な施策を打つ形になります。

自分なりの解釈で間違えているかもですが、旧来のマーケティング手法であるSTPと違う点で言うと、STPはプロダクト設計時や作ったものを売るためのもので、
スモールマスはプロダクトが持つ複数の価値を誰にどうやって伝えるものの考え方なのかなと解釈してます。成果物としてはクリステンセン教授の「ジョブ理論」に似てるかなと思ってます。
ただ、スモールマスは顕在化してるニーズをいるだろうユーザーに当てるもので、ジョブ理論は顕在化してない潜在ニーズに気付くための考え方なので、生み出すまでの流れは異なるかと思います。

スモールマスの考え方

学んだばかりで間違えているところはあるかと思いますが、自分の理解の範囲で書いていきます。

例えば、Aという炊飯器に対し、一般的なユーザーが炊飯器に求める共通の価値が「おいしく炊ける」という全体に必要とされるものだとします。(マス)

これにスモールマスの考え方を取り入れると、その共通の価値に加えて、各ユーザーが求める以下のような個々の価値とそこに対するスモールマスを考えていきます。

「早く炊ける」→忙しい家庭層
「長時間保温ができる」→家族の帰りがバラバラ層
「パンも焼ける」→多機能に魅かれる層
「電気代がかからない」→節約思考高め層
など。

ここからマスとスモールマスに向けた訴求方法を検討します。

この場合、TVCM(マス)では、みんなに刺さる「おいしく炊ける」ことを謳ったものにします。ここまでは、過去のマスマーケティングと一緒です。

これに、スモールマスの考え方を取り入れていくと
例えばGoogleなどで、「炊飯器A  早炊き」などでユーザーが検索していたとしたら、そのユーザーには、「最短10分でふっくらおいしい」などの訴求をします。

また、別のユーザーが「炊飯器 電気代」などで検索している場合は、「1年間で◯◯円もお得」と言った内容で訴求する。と言った感じです。

あくまで、認知、理解、興味、検討、購入の購買ファネルのうち、上記は理解〜検討なので、最終的には刈り取りが必要になります。

ユーザーに寄り添ったスモールマスで検討フェーズまでストーリー仕立てで感情を動かし、最後はしっかりと価格だったり、それなりの、限定感を打ち出し購入に至らせる必要があります。

この考え方をアプリやウェブ設計に取り入れると表現の幅が大きく広がると思っています。さらには、メインペルソナから外れてしまった、潜在的なユーザーを拾い切れる可能性があると思ってます。

これを実現するためには、自分たちの顧客データやGoogleなど各プラットフォーマーのデータと紐付けることが必要になるかと思います。

ですが、成果が出る確度は高くなると思いますし、リリース後の仮説やさらなる打ち手の精度は高くなると思います。

今後ペルソナとどう付き合って行くか

ペルソナは作った方がいいと思ってます。
ただ、経験則で作る仮のペルソナで良いかなと思ってます。
他部署と揉めないための合意形成用として。

そこに時間かけるよりも、とにかく、素早くリリースして、実データと紐付けスモールマスを作り、テストをして行く。

デザインがビジネスにインパクトを出すためには、スピードと成果が重要だと思います。

報われないUXデザイナーが少しでも減ることを祈って書いてみました。

では、また。




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