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乳がんサバイバー(進行乳がんを生き抜いて)

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17年前のステージ3Cの乳がん闘病記。壮絶な治療の果て絶望の淵から立ち上がった記録です。傷だらけですが元気に生きています。 エッセイ特別賞受賞しました。たくさんの方に読んで欲しい…
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#手術

乳がんサバイバー 第30話 子宮と卵巣の摘出

乳がんサバイバー 第30話 子宮と卵巣の摘出

 9センチにもなっているという卵巣の腫瘍は、悪性か良性か組織を取り検査しないとわからない、ペットスキャンも可能だが、卵巣も子宮も手術での切除が良いと言われた。

医者が子宮の摘出も勧めた理由の1つは飲んでいる抗ホルモン剤が子宮がんにかかる率が高いこと。それから出産時から子宮を支える筋肉が傷つき弱っているので、将来子宮脱になる可能性が高かったこともある。

私が躊躇した理由は抗ホルモン剤で女性ホルモ

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乳がんサバイバー 第29話 生きる気力を失う。

乳がんサバイバー 第29話 生きる気力を失う。

翌日4月5日 大きいインプラントをごく小さいバッグに入れ替える手術をすることになった。卵巣と子宮の手術は延期することにした。もう手術は十分だ。今までで4回。この2つを入れると6回になる。

いつものように前日から飲食禁止で朝早く病院へ行く。8時半から4時間待たされた。やっと着替えてさらに1時間。12時半からやっと用意。空腹よりものどの渇きが辛い。注射をされガラガラとベッドごと移動中まで覚えていた。

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乳がんサバイバー 第26話 いよいよ再建手術が始まる。

乳がんサバイバー 第26話 いよいよ再建手術が始まる。

2004年 3月30日

ついにこの日再建用の前手術をした。左乳房全摘出手術をしてから約一年経っていた。

手術をした左胸の皮膚の下にティッシュエクスパンダーというものを入れた。これは簡単に言うと水風船のようなもので、この袋の中に徐々に生理食塩水を入れて皮膚を少しづつ伸ばしていく。

大変な手術ではないらしいのだが、私の場合は皮膚が癒着していたのと皮膚も火傷のあとのケロイドに近く固まっていて、とて

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乳がんサバイバー 第9話 手術の傷から感染して再入院 思いやりとは

乳がんサバイバー 第9話 手術の傷から感染して再入院 思いやりとは

胸の下に開いている2つのチューブの穴は赤く腫れている。夜熱が高かったが解熱剤を飲んで下がったので、様子を見ることにした。

翌日、病院で検査。車を降りてから病院入り口まで歩くことが出来ずに車いすで病院に入る。
チューブを抜いた穴を消毒して注射で麻酔をして長めの針を差し込んでの検査。中には菌が入り込んでなかったので再手術は避けられた。

しかし2日後また高熱が出た。39度まで上がり涙が熱湯のように頬

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乳がんサバイバー 第8話 退院 はじめて胸の傷を見る。

乳がんサバイバー 第8話 退院 はじめて胸の傷を見る。

驚くことに、乳房全切除から3日目に退院できることになった。自力で歩けて食事ができたら、もう入院の必要はないそうだ。日本では考えられないと思う。ちなみに出産のときも基地の病院で翌日退院させられた。体力のない私はフラフラだった。

退院時に固く巻いた包帯の上からコットンの柔らかいブラをして、手術前に買っておいたかぶるタイプのワンピースをなんとか着た。左腕は全く上がらない。 

最初の日は吐き気がひどく

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乳がんサバイバー 第7話 手術後 止まらない吐き気とモルヒネ

乳がんサバイバー 第7話 手術後 止まらない吐き気とモルヒネ

――暗闇の中、遠くから声が聞こえる。

「……終わりましたよ、聞こえますか?」

「麻酔薬をいれますよ」から「聞こえますか?」まで一秒くらいしか過ぎていない感覚だった。しかし実際には4時間ほどの手術を終えて、さらに数時間が経っていた。

まだ目がはっきりと覚める前だったがガクガクと震えていた。やっとのことで振り絞った声は老婆のようにガサガサに枯れていた。

”I feel nauseous”(気持

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乳がんサバイバー 第6話 手術前夜そして、いよいよ手術当日。麻酔まで

乳がんサバイバー 第6話 手術前夜そして、いよいよ手術当日。麻酔まで

手術は3月18日に決まった。

前日17日の朝8時に麻酔医との予約があった。この日の血圧は上が98下が77だった。血液検査もする。

手術に関しての注意も聞く。真夜中過ぎから何も食べてはいけない。飲み物もだめだった。水さえも。 朝歯磨きをしてうがいをした水は残さず吐き出すこと、と言われた。

アメリカらしいと思ったのはボディーピアスは全部外すことと書いてあったことだ。耳のピアスだけではなく、おへそ

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