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【プロフェッショナルに聞く 第6回】K.Y コンサルティング 代表 屋敷健二氏 × タミヤホーム 田宮明彦

不動産や税務、建築、労務など、さまざまなプロフェッショナルに、これまで積み重ねてこられたキャリアと実績をお聞きする「プロフェッショナルに聞く」。第6回は、K.Y.コンサルティングの屋敷様がご登場くださいました。屋敷様は建築学科をご卒業後、三井ホームに就職し、43年間に渡ってご経験を積んでこられた人物です。その間、三井ホーム株式会社の常務執行役員、三井ホームテクノス株式会社の代表取締役社長、三井不動産リフォーム株式会社の非常勤取締役を歴任してこられました。そんな屋敷様がご自身のキャリアにおいて貫いてきたのが、「何が大事か」を考え、実践することでした。屋敷さまのキャリアを紐解きながら、仕事を進める上で大切となる「考え方」をお聞きしました。

<プロフィール>
屋敷 健二氏
K.Y.コンサルティング 代表/一級建築士
広島県出身。工学部建築学科卒。三井ホームに入社後、福岡支店、大阪支店を経て、東京支店の支店長に就任。同社常務執行役員を務めた後、三井ホームテクノス代表取締役社長、三井不動産リフォーム非常勤取締役を歴任。退社後、コンサルティング会社「K.Y.コンサルティング」を立ち上げ、営業支援からコスト改善まで幅広いアプローチでクライアントを支援している。


施工管理から営業職へ。お客さまと向き合いながら、営業手法を確立していった若手時代

田宮「屋敷先生は大学で建築学をご専攻された後、三井ホームに就職されたと聞いています。当時は、まだハウスメーカーはそれほど多くなかったのでは?」

屋敷様「おっしゃるとおり、ハウスメーカーと称する会社はそれほど多くありませんでした。当時、三井グループが住宅事業に力を入れようということになり、グループ内で仕入れた木材を用いて住宅を建設するため、三井ホームが設立されたのが1974年でした。私は、三井ホームの三期生です。」

田宮「入社後、一級建築士の資格を取得されたのですか?」

屋敷様「入社後6年の施工実務経験を積み、二度目のチャレンジで試験に合格しました。」

田宮「当初は現場からのスタートだったのですね。」

屋敷様「一級建築士の試験に合格したタイミングで大阪に異動になり、ここで初めて、営業の仕事に携わるようになりました。すぐに運良く契約が取れて、こうなったら腰を据えてやろうと覚悟を決めたわけです。」

田宮「三井ホームでは、当時から注文住宅を手掛けていらっしゃったのですか?」

屋敷様「ええ。住宅展示場に来てくださったお客様に注文住宅のご提案をし、設計、着工から竣工、入居までの期間、営業職がお客様をサポートします。」

田宮「その後も、順調に契約をかわされたのでしょうか?」

屋敷様「そうですね。ただ、振り返ってみると、当時は営業が何たるかもわからない状態でお客さまと向き合っていました。そんな状況のなか、4件目のお客様が私の名前に反応してくださったのです。「屋敷さんが担当してくれるなんて、縁起が良い」と。そう聞いて初めて、自分の名前が住宅と関連が深いことに気づきました。以来、お客様に初めてご挨拶する際、私の名前を大いに活用するようになりました。」

田宮「お客様にアピールしやすい名前だったのですね。」

屋敷様「営業担当としてお客様の家造りをサポートすることが当時の仕事でしたが、それまでは仕事の話以外は一切しなかったので、堅苦しい会話だったと思います。そこに自分自身の話も付け加えるようになってから、お客様が心を開いてくださることが多くなってきました。コツと言ったら言いすぎですが、会話のきっかけみたいなものをつかめたように思います。」

田宮「お客様との関わり方が変化したのですね。」

屋敷様「そもそも注文住宅の場合、建売住宅と違って「まだ存在しない建物」を提案・販売します。注文住宅を建てるのは、契約を交わしてから。だから営業職はお客様と住まいのイメージを共有して、ものづくりをしていくプロセスが非常に大事なんです。」

田宮「なるほど。」

屋敷様「言葉や図面、写真など、さまざまなツールを使って、お客様がイメージしている建物を具現化し、伝えることは決して簡単なことではありません。けれど、そこに注文住宅を手掛けるだいご味がありますね。」

東京支店長時代、「営業として何が大事か」についてとことん考えた。

田宮「三井ホーム時代は、著名なお客様をご担当された機会もたくさんあったとか。」

屋敷様「多かったですね。これは私が東京支店の支店長を務めていた時の経験ですが、部下が、ある野球選手を担当したことがあります。ただ、当社に依頼する気はなかったらしく、契約の見込みが薄いということで、部下が「同行してほしい」と懇願するわけです。部下は「負け戦になりそう」とすでに落ち込んでいましたが、私はなんとかしたいと思った。それで、いつも通り自分をさらけだすことから始めたのです。」

田宮「どんなアプローチをされたのですか。」

屋敷様「ご自宅にお邪魔した瞬間、最敬礼をして、その野球選手と同郷だったので、まずはその点を伝えました。そして、「ご契約いただくかどうかは別にして、野球界の英雄にお会いできたことをとても光栄に思います。一生の宝ものにします」と。それだけを伝えて、後は部下に託しました。もちろん、これらの言葉は私の心にあった正直な気持ちです。この時の私の対応が決め手になって、契約をいただくことができました。」

田宮「屋敷先生の対応に、野球選手が心を開いてくださったのですね。」

屋敷様「結局、“何が大事か”に尽きるのだと思います。まだカタチのない建物を売る注文住宅の営業として、何が大事なのか。それは、自分自身をお客様にさらけ出し、お客さまと“人と人の関わり”を築くことだと思うのです。」

田宮「長年、ハウスメーカーでご活躍されてきた屋敷先生の言葉は、とても深みがありますね。」

屋敷様「ありがとうございます。決して、特別なことをしているわけではないんです。今お話したエピソードは、私自身が“営業として何が大事か”を認識する良いきっかけになりました。」

田宮「三井ホームで常務執行役員を務めた後、三井ホームテクノス(*)代表取締役社長に就任されています。ぜひ、当時の思い出もお聞かせください。

*現在、三井ホームテクノスのホームサポート事業(点検・メンテナンス等)は、親会社の三井ホームに移管。

屋敷様「三井ホームテクノスは、三井ホームが手掛けた注文住宅のアフターメンテナンスを主要事業としている会社です。『雨漏りがしている』『ガラス窓が割れてしまった』など、不具合に関するご要望全般に対応してきました。同社の代表取締役社長に就任してまず取り組んだのは、社員がやる気をもって働けるような仕組みを作ることです。“テクノスWAY”という行動指針をつくり、全国の拠点をまわって直接、社員と向き合い、“三井ホームテクノスにとって、何が大事なのか”を説明しました。」

田宮「それは大変なご苦労でしたね。」

屋敷様「大変な部分はもちろんありましたが、それ以上に大きな効果がありました。全国の拠点に勤務する社員に“横串”を指したことで、社員の気持ちを一つにすることができたからです。その後、親会社の三井ホームの社長が交代になったタイミングで、三井ホームテクノスの事業内容や行動指針について報告をした際、後任社長が『私も屋敷さんと同じことを考えていました』と言ってくれました。後任社長が認めてくれたこともあって、5年間の在籍中、自信を持って“テクノスWAY”を貫くことができました。

43年勤務した三井ホームを退職して、独立。社外顧問として、社会に恩返しをすることが、今後の目標。

田宮「今、屋敷先生は三井ホームを退職され、独立してコンサルティング業務に携わっていらっしゃいます。独立のきっかけは、どこにあったのでしょうか。」

屋敷様「43年勤務した三井ホームを退職するにあたって、考えたことがあります。それは、お世話になった三井ホームと、三井ホーム時代にお世話になった社外の関係者の皆様に恩返しをしたいということです。そのきっかけを作ってくれたのが、以前から付き合いのあった不動産会社の社長でした。」

田宮「どのようなきっかけを作ってくれたのでしょうか。」

屋敷様「『屋敷さん、もう少しで退職でしょう。それなら、うちを手伝ってくれよ』と。最初に声がけをいただいたときはお断りしたのですが、再度打診があり、『私にできることがあるのなら』とお引き受けしました。」

田宮「屋敷先生の支援を求めているお客様がたくさんいらっしゃるのですね。」

屋敷様「私にできるのは、営業支援や施工改善、品質向上、業務改善、コスト改善などに関わるアドバイザリーです。さまざまな側面から社外顧問として顧客の経営をサポートしていくことで、三井ホーム時代にお世話になった方々に恩返しができたら嬉しいですね。」

田宮「弊社は戸建住宅の解体工事業を手掛けることが多いのですが、屋敷先生のように、いつか『お世話になった方々に恩返ししたい』と考えています。」

屋敷様「素敵な考えですね。どのような事業であっても、行き着くところは“社会貢献”だと思います。どのように社会と関わり、どのように社会の役に立つことができるのか。そこを考えながら、事業を進めていっていただきたいですね。」

田宮「“何が大事か”を考えるということですね。」

屋敷様「そのとおり。」

田宮「解体工事を取り巻く環境は、少子高齢化や人口減少に伴う空き家問題をはじめ、さまざまな問題が山積みです。けれど、これらの問題をネガティブに捉えてばかりいては、問題は解決しないと思っています。」

屋敷様「ポジティブな姿勢で、問題解決に向き合っていく覚悟があるということですね。それはとても頼もしいです。」

田宮「ありがとうございます。今回の屋敷先生のお話から、私自身、多くのことを学び取りました。特に“何が大事か”を常に問いかけることや、会社の指針を作って社員に浸透させていくことは、今すぐにでも実践したいと思っています。」

屋敷様「ぜひがんばってください。応援しています。」

田宮「屋敷先生、ありがとうございます。先生に少しでも近づけるよう、これからも精進してまいります。」


タミヤホームでは、年間1,000件の解体工事を手掛けています。
また、解体工事だけでなく、解体工事発生前の、空き家や相続、不動産に関するお悩みを解決する無料相談窓口も開催しています。
解体工事や鍛冶工事、相続、空き家、不動産についてお困り事がございましたら、お気軽にご相談ください。


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