正月から日常へ。ごはんで振り返る

「身体が重くなってきたから、きょうのごはんは軽いものにしようか」

そう言って夫がキッチンに消えた。今日は、年始休暇の最終日。今年の年末年始も、よく食べた。

夫の実家では恒例のすき焼きパーティー。10歳代半ばに家を出た夫は、自分の実家によりつかなかったこともあり、義母の中で20歳代くらいで成長を止めている。それだからか、義母が用意してくれる夫婦ふたり分のごはんは男子高校生ふたり分のごはんになる。

男子高校生だったら肉と寿司ははずせない。量だって必要になる。白菜を半玉、しいたけを1パック、しらたきは2袋、春菊は畑から3つかみ。そこに牛肉が1kg。去年、実家に戻った時に夫が「多すぎるから減らしてほしい」と伝えたのを覚えてくれていたみたいで、白菜と牛肉が去年の半分になっていた。

半分の量にしたすき焼きだけでは足りないだろうから、と。お寿司を4人前準備してくれていた。

子どもにおいしいごはんを食べさせたい。その気持ちはとてもよくわかる。だから、ありがたくいただく。きっと、高校生男子がふたり来たのなら、ほどよい量だろう。でも、40歳代を終わろうとする夫婦には(いくら大食いだといっても)かなりの量だ。80歳の義母とかろうじて40歳代の夫婦ふたりで、このすき焼きとお寿司たちを食べた。全てを食べられない自信があるから、翌日かえってくる義兄家族たちの分として、お寿司もとりわけて食べた。

「次来るときは、すき焼きだけでいいよ。お肉も兄貴の子ども達(甥や姪)にまわしてやって。この半分で十分だから」

義母にむけて、夫がそう伝えていたけれど、たぶんまた。次に実家へ戻った時も、食べきれないほどのすき焼きを一緒に作る。そして笑いながら3人で鍋をつつくのだ。お寿司もすき焼きも、3人で食べてほんとうにおいしかった。

(結局、すき焼きは半分、材料の形のままで残り。翌日に家族そろって戻ってくる義兄の家族5人分のすき焼きの材料に追加された。取り分けておいたお寿司3人前も、お義兄さんところの姪たちが喜んで食べてくれたと聞く)

*

わたしの実家では、畑の大根たちを消費するため「おでんパーティー」三昧。妹管理の下で、わたしがごはんづくりを担当する。普段は二人分だけのごはんづくりも、妹家族たちと母が加わり7人分となると、量が増えてそれだけで楽しい。

畑の野菜を使い放題なのも、嬉しいところだ。白菜やネギが足りないと思ったら、長靴を履いて畑に出て、ちょんちょんっと包丁をつかって収穫してくる。野菜を苦手としている甥はしぶい顔をするけれど、わたしの笑顔で(無理やり?)食べてもらう。

あたたかい鍋ものをみんなで食べて、ここでも笑いながら食事をした。

*

笑いながら食事をとると、つい。たくさん食べ過ぎてしまう。たのしくて、いつまでもその時間が続いて欲しくて。食べてしまう。

……ふたつの実家をめぐって、それぞれにたのしく食べて過ごした正月の終わり。体重計に乗ってみたらすごいことになっていた。いつもの体重よりも2kgオーバー。これを多いとみるか少ないとみるかは、微妙なところ。

身体がなんとなく重く感じられたのは、お休みで気持ちがぐだりとなって動くのがおっくうだったわけではないのね。物理的に体が重くなっていたのか。

家に戻ってきたから、暮らしも正月休みからいつもの休日モードへとシフトする。ごはんもハレのごはんから、日常のごはんへ。

そんな時、夫が作ってくれるという「軽いごはん」。なにが出来上がるか、楽しみに待つ。気になるからキッチンをのぞきこみたい。でも、我慢がまん。

そして、今。これを書いている。

???
キッチンから、カレーのにおいが届き始めた。夫が作ると言った「軽いごはん」はカレーだったもよう。

カレーは「軽いごはん」なのか。わたしのなかで「?」が渦巻く。

軽いごはんと言えば……みそ汁と白いごはん。白いごはんと漬物、お茶。ざぶざぶと多めの汁で煮込んだ野菜のすまし仕立て。そんなイメージだったのだけれど。

どうやら、今日のお昼はカレーのようだ。夫作の「軽い」カレー。

一度、「軽いごはん」についてのイメージを夫と共有した方がいいかもしれない。

それでも、誰かに作ってもらったごはんは、ごちそう。うれしく、おいしく、いただきます。

明日の朝から、平常運転。いつもの朝ごはんから一日を始める。朝ごはんは、みそ汁と白いごはん。

こうやって、少しずつ。正月から日常へと戻っていく。体重も、戻っていく(といいな)。

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